■きらぴ香とは?
「きらぴ香」は静岡県が「紅ほっぺ」をもとにその近親系統同士交配を重ね選抜育成した、大果で整った円錐形で、果面が濃い赤色で際立った光沢が特徴で、酸味が少なく食味が良い静岡県オリジナルイチゴ品種です。
●きらぴ香の来歴
「きらぴ香」は「章姫」や「紅ほっぺ」を生み出してきた静岡で誕生した新しい品種で、「紅ほっぺ」をもとにその近親系統同士を中心に9回の交配を繰り返し、累計28万株もの中から選抜された大果系で整った縦長の円錐形で際立った光沢があるのが特徴のイチゴです。2014(平成26)年に登録出願、2015年に公表され2017年2月に品種登録されました。交配親や育成過程に関する詳細は「イチゴ新品種‘きらぴ香(仮称)’の育成経過と主特性」静岡県農林技術研究所研究報告に載っています。
静岡県では2018年頃までに8割の生産をこの品種に切り替えたいと言っていたほど県として気合の入った自信作という事なのでしょう。
現在は静岡県でしか栽培が認められていません。
●きらぴ香の特徴
「きらぴ香」は栽培しやすく、クリスマスの時期にも間に合う早生品種であると共に、安定して長期間収穫し続けられ、味や外見に優れた品種に仕上がったとの事です。
イチゴは大果で、第一次服花房の第一果が乱形果になりやすいものの、その後の果形は縦長の円錐形で、果実の空洞は大果であってもほとんど発生しません。また、果皮色は赤色で、光沢が際立っているのも特徴です。
果肉はシーズンを通じてやや硬く、輸送性、棚持ちが良いイチゴとなっています。それでいて糖度はシーズン通して9%以上と高く、酸味は紅ほっぺより少ないため甘く感じます。香りも「紅ほっぺ」とは少し違い、強いです。
●実際に食べてみたきらぴ香の食味
今回入手したものは綺麗な三角錐の形で、色周りも良く全体に濃いオレンジ系の赤でした。表面のそう果の窪みはやや深く、果肉を切ってみると中も赤みが強めで、果芯の空洞は小さいです。全体の感じは「紅ほっぺ」に似ていて、血を引いているのが分かります。
食べてみると甘さと共に心地よい酸味が感じられ、全体的に味の濃さとして口に広がります。
農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。
『- - - -
果実の大きさはかなり大、果実の縦横比はかなり縦長、果実の形は円錐形、
果皮の色は赤、果実の光沢の強弱は強、そう果の落ち込みは落ち込み小、
果実のがく片の付き方は水平、果径に対するがく片の大きさは同等、
果実の硬さは硬、果肉の色は淡赤、果心の色は淡赤、果実の空洞は無又は小、季性は一季成りである。
出願品種「きらぴ香」は、対照品種「満春」と比較して、果柄の長さがやや短であること、花の直径が大であること、第1番果と第2番果の果形の差がやや大であること等で区別性が認められる。
対照品種「とちおとめ」と比較して、花の直径が大であること、果実の大きさがかなり大であること等で区別性が認められる。
- - - -』以上、抜粋。
■きらぴ香の主な産地と旬
●主な産地と生産量
現在はまだ静岡県でしか栽培が認められていません。
当初は2018年頃までに静岡での生産の8割を切り替えていくような話もありましたが、2022年現在は徐々に栽培面積は広がっているもののまだ「紅ほっぺ」を抜いていないようです。
●きらぴ香の収穫時期と旬
「きらぴ香」は早生品種とされ、11月下旬頃から出荷が始まるとの事です。その後も安定して収穫が続き、5月頃まで店頭に並ぶようです。
旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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きらぴ香 |
< 出 典 >
※ 品種登録データベース 農林水産省ホームページ
※ 「イチゴ新品種‘きらぴ香(仮称)’の育成経過と主特性」静岡県農林技術研究所研究報告 9号 p. 1-9 2016年3月
※ 「イチゴ新品種‘きらぴ香’の育成経過と特性」 あたらしい 農業技術 No.608 静岡県
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