●チーバベリーとは

◆チーバベリーの来歴

 「チーバベリー」は千葉県農林総合研究センターが交配選抜を繰り返し生み出した、綺麗な円錐形で大果になり、食味良好で主要病害に抵抗性をもっ促成栽培向け千葉県オリジナル品種のイチゴです。育成からデビューまでの流れは下記の通り、長い期間がかけられています。

 1996(平成8)年に「みつる」 と「章姫」を交配し、大果,多収系統「96 -15」を選抜。

 2001(平成13)年にその「96 -15」に、うどんこ病抵抗性をもつ栃木県育成品種「栃の 峰((「F1orida69-266」×「麗紅」)×「女峰」)」を交配。

チーバベリー( 千葉S4号 )

 2005(平成17)年得られた実生から選抜された「02-19」に良食味で日持ち性に優れた品種 「とちおとめ」を交配。

 2006(平成18)年に一次選抜。

 2007(平成19)年に二次選抜で2系統に絞る。

 2008(平成20)年から特性調査を開始。

 2009(平成21)年現地栽培試験を実施し、食味がよく,大果でうどんこ病 に抵抗性をもつ 1 系統「7-1」を選抜。

 2010(平成22)年から2012年に場内栽培試験及び現地栽培試験を実施。

 2013(平成25)年に「千葉S4号」と命名し、品種登録出願

 2015(平成27)年に品種登録されました。

 2016(平成28)年に愛称が募集され、「チーバベリー」となりました。

チーバベリー( 千葉S4号 )

 「チーバベリー」は「ふさの香」に続く千葉県オリジナル品種として出荷用だけでなく、いちご狩りができる観光農園向けにもお勧めの品種となっています。

◆チーバベリーの特徴

 「チーバベリー」は平均果重約20gとやや大きく、小果が少ない傾向があり、果形は縦長の円錐形で、果皮色は全体に鮮やかな濃赤色に色付きます。

 果肉の色は橙赤色で空洞果は少なく合ってもわずかで,果汁が多く糖度は10度を越えますが、甘味だけでなくイチゴらしい酸味も持っているのが特徴です。

チーバベリー( 千葉S4号 ) 断面 果肉

 農林水産省の品種登録データベースには「チーバベリー( 千葉S4号 )」の特性として以下の通り記載されています。

『-----

 果実の大きさは大、果実の縦横比は縦長、果実の形は円錐形、

 果皮の色は赤、果実の光沢の強弱は強、そう果の落ち込みは落ち込み小、

 果実のがく片の付き方は上向き、果径に対するがく片の大きさはやや大、

 果実の硬さはかなり硬、果肉の色は橙赤、果心の色は淡赤、果実の空洞は無又は小、季性は一季成りである。   

 出願品種「千葉S4号」は、対照品種「山口ST9号」と比較して、草姿が開張性であること、頂小葉の基部の形が鋭角であること、果実の成熟期がやや早であること等で区別性が認められる。

 対照品種「こはる」と比較して、第1番果と第2番果の果形の差が小であること、果実の成熟期がやや早であること等で区別性が認められる。

 対照品種「とちおとめ」と比較して、花弁の重なりが接するであること、第1番果と第2番果の果形の差が小であること、果肉の色が橙赤であること等で区別性が認められる。

-----』以上、抜粋。

◆実際に食べてみたチーバベリーの食味

 今回撮影試食した「チーバベリー」は千葉県山武市の相葉苺園さんから取り寄せたものです。イチゴはどれも40g前後の大きなもので一粒で食べ応えがあり、形もとても綺麗でした。

チーバベリー( 千葉S4号 ) 断面 果肉

 果皮表面はヘタの付け根までしっかりと着色し、艶のある濃い赤色に色付いています。

 果実は比較的しっかりとしていてかじった時に程よい歯触りが感じられます。果汁は多く、甘味自体は今時の甘いイチゴが多い中にあっては中くらいといった感じですが、酸味が良い具合にあります。

 糖度を計ってみたところ、12度前後でした。

◆お勧めの食べ方

 「チーバベリー」は甘味だけでなくしっかりとした酸味を持っているのも持ち味です。また、大きい粒が多いので、さっと水洗いをしてからそのまま食べるもよし、酸味を活かし、生クリームやアイスクリームなどと合わせて色々なスイーツに使うのもお勧めです。断面もほんのり赤いので、断面が白いイチゴよりもトッピングした時の見栄えも美味しそうです。

●チーバベリーの主な産地と旬

チーバベリー( 千葉S4号 )

◆主な産地と生産量

 「チーバベリー」は千葉県のオリジナル品種なので、千葉県内でのみ栽培出荷されています。

 青果として出荷されるほか、県内各地の観光農園で栽培され、春のいちご狩りでも人気の品種となっています。

 令和元年度の栽培面積は約2haとなっていますが、まだまだ増えつつあります。

◆チーバベリーの収穫時期と旬

 「チーバベリー」の収穫は通常12月下旬ごろからとなっており、3月以降も収量が安定しているのが特徴となっています。

 収穫最盛期は2月から4月上旬頃までで、その時期が旬となります。春のイチゴ狩りシーズンに丁度旬を迎えるイチゴです。

品種 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
チーバベリー                        

< 出 典 >

 ※ 「イチゴ新品種「千葉S4号」の育成とその特性」千葉農林総研研報(CAFRC Res. Bull.)6:79-89(2014)

 ※ 「イチゴ新品種「チーバベリー」の育成」千葉県ホームページ

 ※ 品種登録データベース 農林水産省ホームページ

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