●あまえくぼとは

 「あまえくぼ」は農研機構が「濃姫」と「さがほのか」を交配しその実生から選抜育成した、うどんこ病および炭疽病に比較的強く、高糖度で食味が良い、観光農園や直売所に適したいちご品種です。

◆あまえくぼの来歴

 「あまえくぼ」は九州沖縄農業研究センターにおいて2006年からおよそ10年間かけて開発された、うどんこ病および炭疽病に比較的強く、高糖度で食味が良いいちご品種です。

いちご あまえくぼ

 交配親となっているのは種子親に「濃姫(「アイベリー」×「女峰」)」、果粉親には「さがほのか(「大錦」×「とよのか」)」が用いられています。

 2017年10月に種苗法に基づき登録出願、翌2018年1月に公表されていますが、2024年3月の時点ではまだ検定中で登録には至っていません。

◆あまえくぼの特徴

 「あまえくぼ」の果実は円錐形で、ガク片の付け根からなで肩になっているものが多く、ヘタを切り落としやすい形をしています。

 果皮色はやや薄い赤から赤色で、果形や色合いなど外見は「とよのか」によく似ています。

いちご あまえくぼの断面

 果肉は糖度が高く酸味は少なめで、食味が非常にいいイチゴとなっています。

 ただ、果皮が柔らかく輸送性や日持ち性が低いため、市場出荷には不向きで、完熟した状態を収穫してその場で食べるいちご狩りの観光農園や直売所に適した品種となります。

 九州沖縄農業研究センターの成果情報には以下の通り記載されています。

●果実は約15gと大果で、円錐形、果皮色は淡赤~赤色で光沢は中である。収穫期間を通じた平均糖度は「さちのか」よりも1割以上高く、酸度は「とよのか」と同等で、食味は極良である。硬度は「さちのか」並に高いが、果皮がやや弱く日持ち性がやや劣る

●うどんこ病および炭疽病には、中程度以上の抵抗性を示す。

●観光農園での現地適応性評価では、大果で糖度が対照品種よりも1割程度高く、食味の安定性が優れ、食味評価が極めて高い。また、栽培が容易で、栽培管理作業時間を「紅ほっぺ」よりも1割程度短縮でき、管理作業の省力化が可能である

以上、抜粋。

◆実際に食べてみたあまえくぼの食味

 今回撮影試食した「あまえくぼ」は高知県宿毛市の”さんごいちご”さんから取り寄せた「15玉入り2パック(ゆりかーごでイチゴ安心輸送)4,000円(税込 / 送料別)」という商品です。

いちご あまえくぼいちご あまえくぼ

 このイチゴは果皮が弱く輸送に強くないこともあり、包材にはいちごに負担がかからない”ゆりかーご”が用いられています。近頃進物向けなどの高級いちごではよく見かけるようになってきましたね。イチゴ一粒一粒がハンモックに包まれている感じです。

 パックを開けると何とも言えないイチゴの香りが広がりました。そして、中のいちごの状態は・・・ご覧の通り擦れなどはほぼ無くとても綺麗でした。

いちご あまえくぼ

 イチゴの大きさは15粒入りサイズで16~17gでした。外見的には「とよのか」によく似た感じで、ヘタは小さく、少しクビがある形状のものが多かったです。

いちご あまえくぼの断面 いちご あまえくぼの糖度

 食べてみると、果肉は優しい歯触りで、果汁が染み出しとても強い甘みが広がりました。酸味は強くなくめっちゃ甘いです。これでイチゴミルク作ったら最高だろうな・・・もったいなくてしませんでしたが。

 触った感じはやはり皮が柔らかそうで、この甘く熟した状態のものがスーパーなどで販売することは出来ない理由として納得できます。

 今回の「あまえくぼ」の糖度を計ってみたところ、14%ほどで、下3分の1だけを潰したものは17%を超えていました。

 いちご狩りでこのイチゴを思う存分に食べてみたい、ジャム用を買ってイチゴミルクにしてみたい、そう強く思いました。

< 出 典 >

 ※ 「大果で高糖度の観光農園・直売向け良食味イチゴ新品種「あまえくぼ」」九州沖縄農業研究センター 2017年の成果情報 農研機構

 ※ 「登録番号 32514」 農林水産省品種登録データベース

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