ナガイモ(長芋/ながいも):収穫時期と旬や産地と特徴
●ナガイモ(長芋)とは
◆ヤマノイモ科ヤマノイモ属(英)Chinese yam(仏)Igname de chine chinoise
ナガイモ(長芋)はヤマノイモ科ヤマノイモ属の根菜で、中国が原産とされています。すりおろしたナガイモの「とろろ」でみなさんよくご存じの野菜ですね。よく似たものに「自然薯」がありますが、同じヤマノイモ属ではありますが品種は異なります。
◆ヤマノイモ(山芋)の三つのタイプ
一般にヤマノイモ(山芋)と呼ばれるものには、大きく分けてヤマノイモ、ジネンジョ、ダイジョの3つの種類に分かれます。また、 ヤマノイモはさらに、よくスーパーで見かける長いナガイモ群、関東で大和芋として売られていることもあるイチョウのような形のイチョウイモ(銀杏芋)群、塊状のヤマトイモ群の3つに分けられます。
ここでは、文字通り長い棒状のナガイモについてみてみます。
◆主な品種 「ガンクミジカ」
現在主流になっているナガイモの品種は青森県の在来種を改良した「ガンクミジカ」と呼ばれているものです。ガンクとは首を意味し、首が短く均一に太く肉付きが良い事からそう呼ばれるようになった芋で、色が白くアクが少ない上、シャキッとした歯触りが特徴です。
◆ヒゲ根のない「和稔(わねん)じょ」
北海道幕別町では1998年、町内で見つかったヒゲ根のないナガイモが1本発見され、それを増殖していき、2004年には農水省の品種登録を受け、2006年から幕別町の特産として「和稔(わねん)じょ」という名称で特産化されています。
●ナガイモ(長芋)の特徴
◆すりおろしたナガイモが変色する原因
すりおろしたナガイモや切り口が黒っぽく変色する事があります。これはナガイモに含まれているアク成分のひとつポリフェノール系物質ドーパミン(3、4-ジヒドロキシ・フェニルエチル・アミン)が酸化する事によるものといわれています。
このドーパミンは先端部分などの細胞の活発な部分に多く含まれていて、特に細胞分裂が盛んな夏の新いもには多く含まれています。そう言う意味でも収穫時期は晩秋まで待って行われています。
防ぐには切ったらすぐに酢水につけると、酸化を抑え白く保つ事ができます。
ドーパミンと言えば、スポーツ選手の薬物で知られていますが、これを食べてもすぐに体内で分解され、薬物としての効力は働かず全く問題は無いそうです。
◆ナガイモのアレルギー
ナガイモが人に及ぼすアレルギーには2つのタイプがあります。一つはIgE抗体が引き起こすアレルギーによるもの、もう一つはナガイモに含まれるシュウ酸カルシウムの針状の結晶が、直接皮膚を刺激して起きるものです。
ナガイモの皮を剥いたりすると手がかゆくなる事がありますが、これは上記の二つ目、シュウ酸カルシウムの結晶が皮膚のうすい毛穴などに入って反応をおこすことによって起こるものです。
●ナガイモ(長芋)の主な産地は
◆ナガイモ(長芋)の主な産地と生産量ランキング
右のデータは政府がまとめた平成22年の全国のナガイモの生産量です。最も多く生産しているのは北海道で、主に十勝の幕別町や帯広で作られています。
次いで青森県で、東北町や三沢などで主に作られています。
北海道と青森県だけで全国の87%を占めています。その他には長野県や岩手県、鳥取県などがあります。
●ナガイモ(長芋)の収穫時期と旬
◆ナガイモの収穫時期は年2回
ナガイモの大部分が青森県と北海道と東北地方で作られていますが、通常春に植え、その年の晩秋11月初旬頃から積雪前の12月にかけて収穫する「秋掘り」が全体の約6割で残りの4割は雪解け後の3月から4月頃に収穫する「春掘り」となります。北海道では冬に土が凍りつくため秋掘りのみとなっていましたが、最近では凍らない工夫がされ春堀りも行われるようになってきました。
◆ナガイモが美味しい旬の時期
「秋掘り」のナガイモは、みずみずしく、新じゃががそうであるのと同じで皮も薄く、ひげ根を火で軽くあぶれば皮ごと食べられます。
「春掘り」のナガイモは旨味も成分も凝縮され熟成されたおいしさがあります。
通常秋掘りの物と春堀りの物の切り替え時期は5月頃となっています。そう言った事から、ナガイモが収穫したてで美味しい旬の時期は12月から1月の冬と、春堀りが出回り始める4月から5月頃の春となります。
品種 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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ナガイモ(長芋) |