ジャガキッズ パープル 90 :特徴や産地と旬
●ジャガキッズ パープル 90 とは
◆麒麟麦酒株式会社が開発した品種
ジャガキッズパープルは麒麟麦酒株式会社が「ネオデリシャス(アンデスレッド)」をプロトプラスト培養し、それによってできたプロトクローンの中から選抜育成した品種です。
プロトプラスト培養とは、細胞壁を酵素で取り除いた細胞(プロトプラスト)を培養する技術手法で、プロトプラストは突然変異を起こしやすく、これを利用して新しい品種を生み出すのに利用されています。これで生まれたものはF1(一代交配種)とは違い固定種となります。人為的にDNAを組み替える遺伝子組み換え作物でもありません。
こうして生まれたジャガキッズパープル90は1990(平成2)年に登録出願され、同じ培養体の中から選抜されたジャガキッズレッドと共に市販が始まり、1994(平成6)年に品種登録されています(2009/08/23 ※育成権 期間満了)。
◆ジャガキッズ パープル 90 の特徴
ジャガキッズパープルはプロトプラスト培養により表皮が紫色に変異しているのが特徴です。
いも形状は球形に近く、目は男爵ほど深くはありません。肉質は黄色で紫色が輪状に入るとされますが、部分的に紫が差し込んでいるものやほとんど入っていないものなども見られます。
農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記されています。
『----- いもの長短は中、形は球形、皮色は紫、表皮の粗滑はやや滑、目の数及び深浅は中、肉色は黄色で紫色が輪状に入る。
休眠期間はやや短、枯ちょう期は中、早期肥大性は中、上いも重及び数はやや多である。
でん粉価はやや低、黒変の程度は少、煮くずれの程度はやや多である。
肉質は粉、チップ・フライの褐変程度は中、食味は中上である。
「アンデス赤」と比較して、幼芽の色が紫であること、いもの皮色が紫であること等で区別性が認められる。』以上、抜粋。
◆ジャガキッズ パープル 90 の食味と適した料理
今回入手したものは鎌倉の直売所にて7月中旬に購入したものです。
表皮は黒っぽい紫色で、中の肉色は黄色ですが、中には環状の紫部分は見られず、ところどころ目の部分から紫が差し込んでいました。
皮付きのままわずかな水を張り蒸し茹でにしてみると、煮汁は見事に紫色になり、アントシアニンが溶け出したのがわかり、その分表皮の紫は薄くなっていました。皮をむくと中の肉にもほんのり紫色が染みていて、あまり綺麗な見栄えではない感じ。
半分に割ってみると肉質はややほくほくで、舌触りはさらっとした感じ。皮をむいて煮ると煮崩れしやすいタイプです。
味はほんのり甘味がありジャガイモらしい味は濃く感じられ美味しいいもに感じました。茹でたものをポテトサラダにしたのですが、潰して和えてしまうと表面の薄紫はほぼ分からないようになり、やや黄色が濃いポテトサラダに仕上がります。味はとても美味しく仕上がりました。