佐波賀だいこん:来歴や特徴と産地と旬
●佐波賀だいこんの概要と特徴
◆佐波賀だいこんとは
「佐波賀だいこん」は「京の伝統野菜」の一つで、舞鶴市佐波賀地区が発祥とされ、江戸時代の嘉永年間(1848年〜1854年)または安政年間(1854年〜1860年)には栽培され、晩成種であることから「四月だいこん」または「真壁だいこん」と呼ばれていたそうです。
◆佐波賀だいこんの来歴
江戸時代から舞鶴市の特産物として作られてきた「佐波賀だいこん」は昭和30年代の最盛期には舞鶴市を中心におよそ50haで作られ約1,100t以上出荷されていたのですが、栽培期間が長いことや重く引き抜くのに力がいる「佐波賀だいこん」は、生産者の高齢化のなか次第に生産者が減少し、一時はほとんど生産されなくなりました。
近年、伝統野菜を見直す流れが強まる中、「佐波賀だいこん」も平成22年から京都府が保管していた種子を用いて、復活させる取り組みが始まり、平成24年12月に「佐波賀だいこん」の食文化継承と全国への情報発信を目的に生産者をはじめ、京都丹の国農業協同組合、舞鶴市、京都府京都中丹広域振興局、イオンリテール株式会社の間で「京の伝統野菜 佐波賀だいこん食文化振興研究会」が設立され、生産から販路の拡大、ブランド化が進められています。。
◆佐波賀だいこんの特徴
「佐波賀だいこん」は葉がタンポポのように地表に這うように広がるのが特徴で、葉は先の方まで切れ込みが深く入っています。出荷の際にはこの特徴的な葉も付けたまま袋に入れられ店頭に並びます。見た目大根よりも葉の方がメインに見えるくらいのボリュームがあります。
大根の部分は葉の付け根辺りが太く、先の方は細く尖った形になっていますが、通常出荷される際に先の部分は切り落とされています。
大根の首の部分は写真のもののように全体に白いタイプと、青首大根のように淡い緑色になるタイプがありますが、いずれも「佐波賀だいこん」として扱われています。
果肉は水分が少なく、生のままかじるとカリッとした食感で少し辛味があります。
●佐波賀だいこんの美味しい食べ方と料理
◆調理のポイント
「佐波賀だいこん」はアクがほとんどない今時の大根とは違い、昔ながらの大根で、生のままだと食感は硬く辛味がありますが、加熱調理すると甘味があり、煮崩れしにくいのが特徴です。ただ煮物の場合、すっきりとした味に仕上げるには昔ながらのアク抜き、(米ぬかを加えて一度茹でこぼしをする)をした方が良いでしょう。
水分が少ないので辛味大根のようにおろしにした時の汁が出にくく、その分、旨味が流失しない。
付いている立派な葉も、一見硬そうに見えますが、加熱調理すると軸も以外に柔らかく美味しく食べることができます。なので、『大根を買ったら菜っ葉もおまけに付いていた』という感じにお得感もあります。
◆佐波賀大根(さばかだいこん)の葉と豚肉の炒め物
「佐波賀だいこん」の葉を細かく刻み、豚肉とともにサッと炒め、酒と醤油、ゴマを加えて炒り煮にしたもの。
大根葉の太軸も硬くなく、ほんのり苦みがあってゴマとの相性がとてもいい。
◆舞鶴市 佐波賀だいこんレシピ集
舞鶴市が発信している「佐波賀だいこん」のレシピ集で、ナムルをはじめ海老そぼろ餡やかき揚げ、肉巻きなど7品紹介されています。
●佐波賀だいこんの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
「佐波賀だいこん」は京都府舞鶴市で作られています。2017年の時点で生産者は7人で作付面積は70アールだったと新聞で紹介されていました。
おもな取り扱い店は、JA京都にのくに彩菜館 東舞鶴店、舞鶴市内のスーパー、府内のイオン(京都桂川、東山二条、京都西、京都五条、久御山、洛南)となっています。
◆佐波賀だいこんの収穫時期と旬
「佐波賀だいこん」は晩成型の大根で、秋に種を蒔き収穫は年明けの1月中旬~3月上旬と、一般的な大根に比べ栽培期間が長いです。
市場に出回るのもその2か月ほどの期間だけです。
購入の問い合わせ先:京都にのくに農業協同組合 舞鶴広域営農経済センター(TEL 0773-82-0094)
品種 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | ||||||||
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佐波賀だいこん |
< 出 典 >
※ 「京の伝統野菜佐波賀だいこん」京都府舞鶴市ホームページ 2020年12月28日
※2 「京都の伝統野菜紹介 佐波賀だいこん」全農京都ホームページ