鹿ケ谷南瓜/ししがたにかぼちゃ 京都の伝統野菜
●鹿ケ谷南瓜(ししがたにかぼちゃ)とは
◆京の伝統野菜 「京のブランド産品」の一つ
鹿ケ谷南瓜は京の伝統野菜で知られ、「京のブランド産品」の一つにも認定されています。
来歴は、江戸時代の文化年間(1804~1818)の頃山城国粟田村(現・京都市東山区粟田口)の農夫が旅先の津軽から持ち帰った南瓜の種を愛宕郡鹿ヶ谷村(現・左京区鹿ヶ谷)の農家にあげ、それを栽培し始めたのがルーツだそうです。
当初は一般的な日本南瓜の菊型だったものが、数年栽培を繰り返すうちに今のようなひょうたん型になったとされています。
それ以来、鹿ケ谷でこの南瓜が作られるようになり、京都では、「おかぼ」と呼ばれ親しまれてきました。しかし、現在では西洋品種の栗南瓜に圧され極僅かしか作られなくなってしまい、一般市場にはほとんど出回らず百貨店や高級料亭などにおろされる程度となっています。
食用以外にも、その形の面白さや季節感から、お茶席などの飾りとしても用いられてきました。
◆鹿ケ谷南瓜(ししがたにかぼちゃ)の特徴
鹿ケ谷南瓜はひょうたんのように真ん中にくびれがある縦長の南瓜で、縦に幾条もの筋があり表面にはコブがびっしりとあります。この典型的なくびれとコブが出ているものが良いとされていますが、栽培環境が合わなかったり結実するところが高位節だったりするとこれがほとんど出なかったりするようです。表面の色は若いうちは濃い緑色ですが、熟すと共に柿色に色付き、全体に白く粉を拭いた状態になります。
大きさは2~4キロ程で大きく、くびれが大きいものだと南瓜を二個重ねたような感じになっています。断面を見ると分かるように、鶴首南瓜やバターナッツ同様、種は下部の大きいほうにだけあります。
果肉は日本南瓜らしい粘質で、栗南瓜のような甘さはあまり無く淡白ですが、煮崩れしにくく出汁をしっかりと吸い易いので古くから煮物に用いられてきました。
◆鹿ケ谷南瓜(ししがたにかぼちゃ)の旬
鹿ケ谷南瓜の収穫時期は夏の7月中旬頃から8月中旬頃で、食べ頃の旬は8月中旬から9月中旬頃となります。
品種 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | ||||||||
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収穫 | ||||||||||||
食べ頃 |
●鹿ケ谷南瓜(ししがたにかぼちゃ)の食べ方と主な料理
◆調理のポイント
表面を綺麗に洗い、皮ごと使います。煮物にする場合は味が染み込みやすいよう、部分的に皮を剥き、角を面取りします。京都の「おかぼの炊いたん」は一般的にカツオ出汁ではなく煮干が使われます。南瓜自体の味が淡白なので、あまり濃い味付けにならないよう注意しましょう。
◆主な料理
煮物やそぼろ餡かけなどがお勧め。その他天ぷらも美味しいです。