さやか:来歴や特徴と産地と旬
●「さやか」とは
◆来歴
「さやか」は1983(昭和58)年に北海道農業試験場において、「Pentland Dell」(疫病抵抗性主働遺伝子R1R2R3をもつイギリスで育成された大粒多収品種)に「R392-50」(ジャガイモシストセンチュウ抵抗性主働遺伝子H1を3重式に持つ品種)を交配し生まれた実生からおよそ8年間にわたり選抜育成され、1995(平成7)年に「ばれいしょ農林36号」として農林認定されるとともに独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構(現 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構)によって登録出願、1998(平成10)年に品種登録されました。
大粒で外観が優れ皮を剥いた後も黒くなりにくいことなどからポテトサラダなどの加工用品種として定着しています。
◆「さやか」の特徴
「さやか」は大粒で収量が多いこと、イモの形が卵型で目が少なく浅いため皮を剥いた時の歩留まりがとてもいいのが特徴。
でん粉価はやや低く「男爵薯」のようなホクホク感はありませんが、皮を剥いた後も黒くなりにくく、また光にあてても緑化しにくく有害なソラニンを含むグリコアルカロイドが生成されにくい特性を持っています。
写真でも分かるように目が少なく浅いですね。凸凹が少なく形も整っているのが分かります。
光に当たっても緑化しにくいという事は保存性にも優れているという事になります。
農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。
『------
いもの長短は中、形は卵形、皮色は白、表皮の粗滑は滑、目の数は少、深浅は浅、肉色(1次色)は白である。
休眠期間はやや長、枯ちょう期及び初期生育は中、早期肥大性はやや速、上いも重は多、数は少、平均1個重はかなり大である。
でん粉価及び肉質は中、黒変の程度は微、煮くずれの程度は少、食味は中である。
葉巻病、Yモザイク病、青枯病、そうか病及び粉状そうか病抵抗性は弱、塊茎腐敗病抵抗性はやや強、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性推定遺伝子型はH1である。
「男爵薯」と比較して、萌芽時の葉色が緑であること、花色(1次色)が白であること、いもの形が卵形であること、目が浅いこと、枯ちょう期が晩いこと、上いも平均1個重が大きいこと、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性推定遺伝子型がH1であること等で、「農林1号」と比較して、萌芽時の葉色が緑であること、いもの形が卵形であること、休眠期間が長いこと、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性推定遺伝子型がH1であること等で区別性が認められる。
------』以上、抜粋。
◆調理のポイント
「さやか」は目が浅くつるっとした形をしているので皮がとても剥きやすい薯です。また、皮を剥いた後も黒く変色しにくいので、ポテトサラダに最適なジャガイモとなっています。
食味としては「男爵薯」程風味が強くなく比較的あっさりとした感じですが、ほんのり甘味はあります。
揚げ物にはあまり向いていません。
●「さやか」の主な産地と旬
◆主な産地と生産量
「さやか」は主に北海道の広大な畑で作られ、業務用加工品種として出荷されています。
日本いも類研究会によると北海道における2014(平成26)年の作付面積は1,436haだったそうです。
「さやか」は主に加工用に出荷されるため、一般のスーパーなどに並ぶことはほとんどありませんが、コストコではカルビーポテトのものが販売されていました。また、ネットではいろいろなショップが扱っています。
◆「さやか」の収穫時期と旬
早中生北海道における「さやか」の収穫時期は9月ごろです。収穫後すぐに出荷されるものもありますが、貯蔵され翌年の夏ごろまで出荷は行われています。
品種 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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さやか |
●「さやか」の写真ギャラリー
撮影機材: CANON EOS 5DⅣ , EF24-70mm F4L IS USM , EF100mm F2.8Lマクロ IS USM
各画像をクリックしていただければ拡大画像がご覧いただけます。