京山科なす(きょうやましななす) 京の伝統野菜
●京山科なす(きょうやましななす)とは
◆「京の伝統野菜」かつ「京のブランド産品」
山科なすは山科地区で古くから栽培され続けてきたなすで、「京の伝統野菜」のひとつに認定されている左京区吉田で栽培されていた「もぎなす」を改良したものという説があります。
とても美味しいナスとして明治以降京都の各地に栽培が広がり、昭和のはじめごろには京都市内でで栽培されるナスの6~7割を占めるほどだったようですが、栽培が難しく、秀品率が低かったことや、皮が薄く、肉質も柔らかい上、収穫後綺麗な紫色が褐色に変わりやすいなど流通に適さず、地元消費しかできなかった為、その後普及した千両茄子に転換が進み、一時はほとんどその姿を見ることができなくなってしまっていました。
近年、伝統野菜が脚光を浴びるようになり、山科なすも味の良さが見直されるようになり京都府農業総合研究所等が栽培試験を繰り返し、味をそのままに秀品率を向上をさせるなどの品種改良を経て、現在では「京山科なす」として「京の伝統野菜」に認定され生産の拡大が進められています。また、優れた品質が保証され、安心・安全と環境に配慮した生産方法に取り組んでいるものとして「京のブランド産品」にも認定されています。
◆京山科なすの特徴
京山科なすはもともとの山科なすを品種改良されたものですが、食感や風味などの特性はしっかりと受け継がれているようです。ふっくらと丸みのある卵形をしていて、皮は薄く手に持ったときにしっとりとした感触があります。
肉質も水分が多く柔らかいので、加熱調理すると出汁を良く吸い、とても柔らかくとろける感じになります。
◆京山科なすの主な料理
京山科なすは加熱するととても柔らかく美味しいナスなので、煮物や焼き茄子がお勧めです。古くから京都で親しまれてきた煮物の一つに「なすとにしんのたいたん」と言うのがあります。これは日本料理でいう「出合い物」の一つで春の「タケノコ」と「ワカメ」や、冬の「ブリ」と「大根」のようなその季節ごとの相性が良いもの同士の炊き合わせの一つです。その「なすとにしんのたいたん」には、この山科なすが最も適していると言われてきました。
このほか。皮が薄く歯切れが良いので京都では「どぼ漬け」にもよく用いられてきました。「どぼ漬け」とは京都でいうぬか漬けの事です。
●京山科なすの主な産地と旬
◆もともとは山科ですが・・・
山科なすはもともとは京都山科地区を中心に作られてきましたが、現在では山科では極僅かとなってしまっているようです。
京山科なすは大山崎町、木津川市、福知山市を中心に栽培され、出荷されています。
◆京山科なすの収穫時期と旬
収穫は一般的なナスとほぼ同じで、6月頃から収穫が始まり、10月頃まで続きます。食べ頃の旬は7月から9月となります。
品種 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | ||||||||||
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京山科なす |