半白節成胡瓜/はんしろふしなりきゅうり<キュウリの品種

馬込半白節成りきゅうり/相模半白胡瓜

■半白節成胡瓜/はんしろふしなりきゅうりとは

◆江戸以前に渡来した華南系胡瓜

 半白きゅうりは江戸以前に渡来した華南系の胡瓜が元とされる品種で、首の近く上部が緑色でそこから先に向けてグラデーションのように白くなる事から半白胡瓜と呼ばれています。馬込半白節成胡瓜をはじめ、それを改良した相模半白節成胡瓜、そして大阪の伝統野菜で知られる毛馬胡瓜も色合いは半白胡瓜ですが、少し形や長さは違い、特性も異なるので「旬の食材百科」では別系統の品種として扱います。

相模半白胡瓜 さがみはんしろふしなりきゅうり 馬込半白節成りきゅうり/相模半白胡瓜の黒いイボ

 この半白きゅうりは節(主軸から延びる葉柄の付け根)ごとに着果する傾向になる事から半白節成りきゅうりとも呼ばれています。また、現在主流となっている白イボ胡瓜に対し、半白胡瓜は黒イボ胡瓜です。

◆半白節成胡瓜/はんしろふしなりきゅうりの特徴と食べ方

相模半白胡瓜 さがみはんしろふしなりきゅうりの断面

 馬込半白節成り胡瓜は長さ20~25cm程で、一般的な白イボ胡瓜より少し大きめです。一方、相模半白胡瓜は18~20cm程のやや太短い形をしています。相模半白きゅうりは馬込半白きゅうりに比べ苦味が出にくいとされています。どちらもやや太めになるのですが、中に空洞ができやすい傾向にあります。

 いずれも胡瓜本来の風味が強く、みずみずしくパリッとした食感があり、浅漬けやサラダにすると美味しいです。また、古くからぬか漬けにつかわれてきました。

 ただ、昔からの胡瓜特有の苦味が首の部分にある場合が多いので、塩を散らしたまな板の上でごろごろと転がす板ずりと呼ばれる下処理をした方が美味しく食べられます。

◆馬込半白節成りきゅうり

 江戸東京野菜の一つに認定されている胡瓜で、明治時代に河原梅次郎氏によって華南系の大井胡瓜に瓜(うり)を掛け合わせて改良された品種とされています。

◆相模半白節成胡瓜/はんしろふしなりきゅうり

相模半白胡瓜 さがみはんしろふしなりきゅうり

 1929(昭和4)年に神奈川県農業試験場の竹内技師が地元で作られていた馬込半白きゅうりの系統を改良した品種です。1960年代頃までは馬込半白に代わってこの相模半白が主流となっていました。

■奈良半白きゅうり

奈良半白きゅうり 胡瓜 キュウリ

◆奈良の「大和野菜」

 奈良県でも古くから作られてきた半白きゅうりが「大和野菜」の一つとして扱われています。

 奈良では昭和30年代まで半白きゅうりが広く栽培されていたのですが、全国的な白イボ系緑色果キュウリに転作が進み、半白きゅうりは個々の農家が自家用に栽培する程度となってしまいました。

 そんな中、半白きゅうりの良さを見直し、平成元年ごろから葛城市の農家、西岡弥臣氏が半白きゅうり専門に作り始めたそうです。現在、葛城市でも専門に栽培しているのは西岡氏だけだそうですが、西岡農園ではガラス張の温室4棟(計約25アール)でこの半白きゅうりを専門に作って出荷されています。また、専門ではないにしても奈良県内で栽培出荷をするようになった生産者さんも出てきているようです。

◆奈良半白きゅうりの特徴

 奈良の半白きゅうりは相模半白節成胡瓜に比べややスリムな形のものが多いです。軸の付け根近くだけが緑色で大部分が白く、イボは黒いです。

奈良半白きゅうり 胡瓜 キュウリ

 皮は薄く硬いのも特徴で、漬物にした時にパリッとしたいい食感になりやすい。

◆奈良半白きゅうりの食味

 切ると断面から果汁が滴るほどあふれてきます。しかし、かじるとカリッという心地よい歯触りで肉質が硬めでぐずっと崩れない感じです。キュウリの青臭さはあまり感じられませんでした。

奈良半白きゅうり 胡瓜 キュウリ

◆適した料理

 生のままサラダで食べられるほか、酢の物にもよく合います。また、果肉がしっかりとしていて崩れにくいので炒め物にもお勧めです。

 

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