カンゾウ(野萱草/忘れ草)の若芽:特徴や産地と旬
●カンゾウ(野萱草/忘れ草)とは
◆ツルボラン科ワスレグサ属
「カンゾウ(萱草)」として春に出回るのは「ノカンゾウ(野萱草)」の若芽です。ノカンゾウはツルボラン科ワスレグサ属に分類される多年草の一種で、近縁種のヤブカンゾウやハマカンゾウなどとともに総じてカンゾウまたはワスレグサと呼ばれてます。
このワスレグサ(忘れ草)という名称は、平安時代に書かれた「和名類聚抄」に紹介されている『この若葉は憂いを忘れられるほど美味しい』と紹介されているそうで、それがもとかどうかはわかりませんが、古くからカンゾウを植えると悩みが忘れられるという言い伝えに因んでいるようです。
ノカンゾウは夏にユリによく似た赤、またはオレンジ色の花を咲かせることからベニカンゾウとも呼ばれています。この花は1~2日でしぼんでしまいます。ヤブカンゾウの花は花弁が八重になっていること、ハマカンゾウはその名の通り海岸に生えることで区別できます。
このカンゾウの蕾も食用になり、中国料理に用いられる金針菜(きんしんさい)は栽培されているホンカンゾウ(本萱草)の蕾を蒸してから乾燥させたものです。ノカンゾウやヤブカンゾウの蕾も食べることができます。
そして春に地上部に伸びてくる若い目の部分がここで紹介するものです。
◆カンゾウ(野萱草/忘れ草)の若芽の特徴
カンゾウの若芽は根本近くから左右交互に先がとがった細長い葉を伸ばします。この若芽の状態ではノカンゾウとヤブカンゾウを見分けることはほぼできないと思いますが、いずれも同じように食べられるのであまり気にしなくてもいいでしょう。
葉は薄く、若芽のうちは葉脈の部分を中心に左右内側に折ったような、断面がV字型になっていますが。成長して葉が長く伸びるに従って痕跡を残しつつ平たくなっていきます。
根元は白く、ネギのような感じになっています。
香りは強くなく、苦みやエグミなどクセはほとんどありません。
●カンゾウ(野萱草/忘れ草)の若芽の主な産地と旬
◆主な産地と生産量
カンゾウの若芽はほぼ日本全国の野山に自生している野草で、国内では商業的な栽培は行われていないと思います。春になると各地の直売所で稀に見かける他、飲食店向けに収穫出荷されているものもわずかに出回ります。
(※写真は滋賀県高島市の高島自然農法研究会さんがくさつFarmersMarketで販売されていたもの)
◆カンゾウ(野萱草/忘れ草)の若芽の収穫時期と旬
カンゾウの若芽が出るのは地方によって差があり、南の温かい所ほど早く、きたに行くほど遅くなります。
おおよそフキノトウが出る時期と同じか少ししてからくらいと考えていいでしょう。
旬の時期は2月下旬ごろから4月頃にかけてとなります。
品種 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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カンゾウの若芽 |
< 出 典 >
※ 「ワスレグサ(忘れ草)」環境省 皇居外苑ニュース 2020年07月03日
●カンゾウ(野萱草/忘れ草)の若芽の選び方と保存方法
◆採るときのポイント
カンゾウの若芽を収穫する際に選ぶポイントは、大きくなりすぎていないもの、写真位のサイズを採ります。そして、根元が太く、葉に厚みがあるものが美味しいです。
採るときは手で引き抜くと根ごと抜けたり、表面の葉だけ外れたりしやすいので、ハサミやカマなど刃が付いた道具で根元から切りとるようにします。
◆保存方法
なるべく早く食べるようにしましょう。それまでは乾燥しないよう保存袋などに入れ、冷蔵庫の野菜湖に建てた状態で入れておきます。
冷凍する場合はアクが少ないので、さっと水で土などを洗い流し、水気をとってから使いやすい幅に切り、生のまま保存袋などに入れて冷凍します。
使うときは凍ったまま汁物に加えたり、さっとゆでて和え物に使ったりします。
下茹でしてから冷凍する場合は短時間でさっと片目にゆでるのがポイント。しっかりと水気を絞って冷凍します。
●カンゾウ(野萱草/忘れ草)の若芽の美味しい食べ方と料理
◆調理のポイント
ノカンゾウの若芽は強い香りや苦み、エグミなどのクセはありません。一般的には加熱調理して食べます。食感はネギに似ていますがぬめりはありません。
◆カンゾウの若芽の和え物やお浸し
さっと下茹でしたカンゾウの若芽は出汁の利いたつゆをかけてお浸しにしたり、鰹節をのせてだし醤油を書けるだけでも美味しいです。
写真はからし酢味噌で和えています。
その他、胡麻和えなどでも美味しく頂けます。
◆カンゾウの若芽の汁物
手っ取り早く、汁物に使っても美味しいです。味噌汁の場合は、沸騰してきた出汁に食べやすい長さに切った生のカンゾウの若芽を加え、ひと煮立ちしたら火を止めて味噌を加えます。食感が残るように煮過ぎないのがポイント。
上品な吸い物に使う場合は下茹でしてからの方が仕上がりが良いでしょう。沢山ある場合は鍋料理に使ってもいいでしょう。
◆カンゾウの若芽の天ぷら
野草料理の王道はやはり天ぷらではないでしょうか。ヨモギやフキノトウなどと共に野草の天ぷら盛り合わせも春を感じられてお勧めです。
写真はカンゾウの若芽とシイタケの天ぷらです。
◆カンゾウの若芽の炒め物
カンゾウは油で炒めても美味しいです。単体でカンゾウの炒め物でも良いですが、鶏肉、あるいは豚肉などに色々な野菜と合わせて炒めても良いでしょう。
味付けはニンニク醤油や中華風にオイスターソースでも、洋風にアーリオ・オーリオも美味しいです。パスタの具材にも使えます。
クセがなく繊細な風味なので、魚料理の付け合わせなどにも向いています。
◆カンゾウを使った料理をレシピサイトで探す
主な料理レシピサイトのカンゾウを使ったレシピのページにリンクしています。参考にされると良いでしょう。
クックパッド | レシピブログ | 楽天レシピ |