ルートチャービル/セルフィーユルート/根セルフィーユ

ルートチャービル,セルフィーユルート,根セルフィーユ,Chaerophyllum bulbosum

●ルートチャービル、セルフィーユルートの概要と特徴

◆ルートチャービル、セルフィーユルートとは

分類:セリ目 > セリ科 > Chaerophyllum属 

学名:Chaerophyllum bulbosum L.

英名:turnip-rooted chervil、tuberous-rooted chervil、bulbous chervil、parsnip chervil

仏名:Cerfeuil tubéreux、Cerfeuil bulbeux、Cerfeuil à bulbe、Chérophylle bulbeux

和名:カブ根菜チャービル/根セルフィーユ

別名:ルートチャービル、セルフィーユルート

 ルートチャービルあるいはセルフィーユルートと呼ばれている野菜はニンジンやパースニップに近い、根の部分を食用とするセリ科の二年生植物です。根菜チャービルや根セルフィーユとも呼ばれたりしますが、チャービル(=セルフィーユ)が”Anthriscus”(シャク属)なのに対しルートチャービルは”Chaerophyllum”(キャエロフィルム属)で別のグループに分類される別種です。葉を食用とするチャービルに対し、本種の葉は有毒な成分を含むため食べられません。

 色々な名称で呼ばれていますが、ここではセルフィーユルートとして紹介していくことにします。

 セルフィーユルートはヨーロッパ中部および南東部に自生する植物でしたが、塊根部分を食用として栽培されるようになり、その後1800年代にヨーロッパを襲ったジャガイモの疫病により、ジャガイモの代替え作物として注目され、フランスで一時広く栽培されるようになりました。

 しかし栽培が難しく、現在ではジャガイモとは違った特有の風味をもつ根菜としてフランスの一部地域で作られているだけとなっています。フランス料理の食材として一部料理人の間では知られていますが、日本ではまだまだセルフィーユルートの美味しさが認知されていません。

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◆ルートチャービル、セルフィーユルートの特徴

 セルフィーユルートの塊根はちっちゃいパースニップといった感じで、果形は長さ4~7cm、直径2.5~4cmの円錐形から楕円形です。

 表皮は薄い灰茶色で、中の肉色は乳白色です。

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 肉質はジャガイモに近いですが、切るとほのかにせり科特有の清々しい香りが感じられます。

 写真は6月下旬に大阪のこだわり青果店ボニートーンさんから仕入れた国内産のセルフィーユルートです。

●ルートチャービル、セルフィーユルートの産地と旬

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◆主な産地と生産量

 セルフィーユルートはこれまでフランスから極わずかに輸入される程度で、とても希少で高価な輸入食材として扱われてきました。

 近年、国内でも数軒の生産者さんが現れ、フレッシュな国産のものも手に入るようにはなりましたが、セルフィーユルートは本場のフランスでさえ栽培が難しく一部地域でしか栽培されていない状況とあり、国内でもどこでも作れるという訳にはいかないようです。

 いずれにしても、なかなか一般家庭で気軽に使える根菜ではありません。

◆ルートチャービル、セルフィーユルートの収穫時期と旬

 セルフィーユルートの収穫時期は、フランスでは7~9月で、収穫後貯蔵することでアミラーゼの働きによりデンプンが加水分解され糖度が増しあまくなります。国内に輸入されるのは11月下旬ごろから12月にかけてで、初冬が旬の野菜として扱われています。

 国内では北海道や大分県などで栽培に挑戦されている状態で、まだ安定的な商業生産されているとは言えない状況です。また収穫時期も北海道では11月から12月にかけて収穫されていたのに対し、撮影した大分県産のものは5月に収穫され、その後生産者が低温貯蔵したのちに6月下旬に出荷されたもので、状態はとてもいい物でした。これを見ると日本での旬がいつとは一概に言えないようです。

ルートチャービル
セルフィーユルート
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
フランス産(輸入)                    
北海道産                     収穫  
大分県産         収穫              

●ルートチャービル、セルフィーユルートの選び方と保存方法

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◆選ぶポイント

 触って硬い物がよく、水分が抜け柔らかくしぼんだ感じのものや傷や痛みがあるものは避けます。ふっくらと丸みのあるものがいい。頭部の芽が伸びると塊根の栄養分が芽に吸い上げられてしまうので伸びているものは避けましょう。

◆保存方法

 乾燥しないよう湿らせたキッチンペーパーなどにくるんで袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に入れておきます。

◆調理のポイント

 セルフィーユルートは通常、表面の皮をむいて加熱調理して食べます。火の通りが早く、火の通し加減でサクッとした食感を残したり、ホクっとした粉質の食感にしたりします。

 しっかり加熱調理するとジャガイモや栗のようにホクホクした食感になり、甘味と優しい香りが楽しめます。

 セリ科の風味があるので、牛肉をはじめ豚肉などの肉料理や鶏料理によく合いますが、魚料理にも合わせることはできます。

 茹でたり煮足りする場合は、火を通し過ぎると煮崩れしやすいので加熱する時間は注意が必要です。

●ルートチャービル、セルフィーユルートの美味しい食べ方と料理

◆マッシュにする

 セルフィーユルートの皮をむき、少し塩を加えて茹でたものを潰し、生クリームを加え塩胡椒で味を調えるだけ。生クリームの代わりにバターと牛乳でも作れます。

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 パンにのせて食べたり、肉料理や魚料理の付け合わせに。

◆揚げる

 セルフィーユルートを素揚げし、塩を振ってそのまま食べても甘味があってほくほくととても美味しい。

 また、薄くスライスしてポテトチップのように揚げることもできます。

 加熱調理するとジャガイモと同じような状態になるので、贅沢に使えるならミートコロッケにしても美味しいと思います。

◆ロースト、焼く

 セルフィーユルートを皮付きのままオーブンでじっくりと焼き上げると、サツマイモのように甘味が増して美味しくなります。

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 焼いたものをそのまま食べても美味しいです。また、ジャガバターのようにバターを付けて食べてもよし。肉や魚料理の付け合わせにもよし。

◆スープ

 皮をむいてスライスやさいの目に切ってスープの具にしたり、たっぷり使い、ジャガイモと合わせてポタージュにしても美味しい。

◆煮物

 皮をむいたセルフィーユルートを他の野菜や肉などと共にブイヨンで煮たり、ビーフシチューなどに加えても美味しい。

◆アヒージョ

 ジャガイモのようにアヒージョにしても美味しい。アヒージョにするときは皮はむき、生の状態から加えます。火はジャガイモよりも早く通ります。

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< 出 典 >

※ 取材協力:母良田さやかさん 青果店ボニートーン

※ フランス料理仏和辞典 イトー三洋株式会社 P.298

※ 「Cerfeuil tubéreux」Les Papilles Estomaquées…

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