東京紅(とうきょうべに):来歴や特徴と産地や旬

東京紅(とうきょうべに) 柿

●東京紅(とうきょうべに)とは

 「東京紅」は東京都が早生のオリジナル品種を開発すべく「興津2号」に「花御所」を交配し育成した柿で、果実の形がやや扁円、大きさが大、果皮色が橙朱の育成地(東京都立川市)では10月下旬に成熟するやや早生の完全甘柿です。

◆東京紅の来歴

 「東京紅」は東京都が出回る時期が「次郎」や「富有」などと競合しない早生で東京都オリジナルの新品種を開発すべく1968(昭和43)年から東京都農業試験場(立川市)において新品種育成試験が開始され、その中の、「富有」と「晩御所」から生まれた「興津2号」に「花御所」を交配し、その実生から選抜育成された品種です。

 この「東京紅」にさきがけ、1988(昭和63)年に「東京御所」が品種登録されていますが、こちらも同じ時期に選抜された系統で、「富有」と「晩御所」から生まれた「B-17」と「花御所」との交配から育成され、世に送り出されましたが、渋抜け時期が遅れるケースが発生したことからその問題を解消すべく「東京紅」が育成されたといういきさつがあったようです。

東京紅(とうきょうべに) 柿

 2002(平成14)年に種苗法に基づき登録申請が出され、2005(平成17)年に品種登録されています。

 東京都内への配布は2002年から始まり、10年間は東京都のオリジナル品種として栽培は都内に限定されていましたが、2012年以降は解放され全国どこでも栽培が可能となっています。

◆東京紅の特徴

 「東京紅」の果実は果重250gほどでやや大きく、果形はやや腰高で縦断面は幅広のハートのような形で、ガクの周囲、肩の部分がふっくらと丸く膨れています。赤道切りした断面は丸みを帯びた方形です。

東京紅(とうきょうべに) 柿

 果皮色は品種名に『紅』と付くように、橙朱色で赤みがあり、花粉が多いのも特徴です。

 果肉はやや緻密で、糖度が13~18度と高く「富有」に比べ甘いのが特徴となっています。

東京紅(とうきょうべに)の断面 柿

 農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

 果実の形はやや扁円、縦断面の形は円宝珠、果頂部の形は円、微尖は少、果実横断面の形は方円、斜線溝は不明瞭で短、蒂部の皺及び果皮の亀甲紋は無、果粉の多少はかなり多、蒂窪平面の形は正円形、側面の形は凹U~V、

 果梗の長さ及び太さは中、果心の形は長三角、太さはかなり太、果実の大きさは大、

 果皮の色は橙朱、光沢は良、果実の座の有無は無、条紋の発生程度はかなり少である。

 蒂の全形は中太肩平、長短はやや細長、大きさは中、先端の形は中尖である。

 果肉の色は橙、褐斑の大きさは無、果肉の粗密はやや密、甘味は多、子室数は8、種子数は3~4、種子の形は円~方円、長短はやや短、厚さは中、色は褐、大きさはやや小である。

 発芽期はやや早、雌花の開花期は中、成熟期はやや早で育成地においては10月下旬、花性は雌花と雄花、甘渋性は完全甘、脱渋の難易は極易、果頂裂果性は無、蒂隙性は中である。

 「伊豆」と比較して、葉が大きいこと、甘味が多いこと等で、「西村早生」と比較して、節間長が長いこと、果肉の褐斑が無であること等で区別性が認められる。

-----』以上、抜粋。

◆実際に食べてみた東京紅の食味

 撮影試食した「東京紅」は岐阜県産のもので果重260~274gでした。果皮の色がとても紅く、一見熟し柿のような色で売り場に並ぶ他の柿の中で目を引く色合いでした。

東京紅(とうきょうべに)の断面 柿 東京紅(とうきょうべに)の糖度 柿

 色は熟し柿のように赤いですが、果肉はしっかりとしており、食べた時の食感は硬くもなく柔らかくもなく中間といった具合で、甘味が強く美味しい柿でした。計った糖度は14.1~16.4度でした。

 種子は3個前後入っています。

●東京紅(とうきょうべに)の主な産地と旬

◆主な産地と生産量

 「東京紅」は2002年から東京都オリジナル品種として都内での栽培が始まり、2011年までは栽培地が都内に限定されていました。2012年以降は限定が解除されどこでも栽培が可能となっていますが、主な産地はやはり東京都です。主に直売所などで販売されてきました。

東京紅(とうきょうべに) 柿

 農林水産省の特産果樹生産動態等調査を見ると、平成22年から記録があり、東京都で1haとなっていたものが、平成23年に2haとなり、平成24年に4ha、平成25年には一気に10haまで広がっています。その後平成28年までそのまま維持しますが、平成29年、30年には4haとなり、令和元年には記録が無くなっています。

 現在は栽培地の限定もないので、都内を含め各地の柿産地で個々の農園で少量栽培され、直売所などで販売される程度となっています。

◆東京紅の収穫時期と旬

 「東京紅」の収穫期は「次郎」「富有」より10日前後早い10月下旬となっています。

品種 9月 10月 11月 12月
東京紅                        

< 出 典 >

 ※ 「完全甘ガキ新品種'東京紅'の特性把握と栽培指針の作成」東京農総研研報 6:11-17,2011

 ※ 「早生で着色の良い完全甘柿「東京紅(とうきょうべに)」」TOKYO★ブランド 農畜産物 東京都

 ※ 「登録番号12720 東京紅」 農林水産省品種登録データベース

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