● 「さがほのか」の変異株
「淡雪(あわゆき)」は鹿児島県志布志市の山下氏によって育成された白いちごの品種で、「さがほのか」の変異株とされています。2011(平成23)年に品種登録の申請が出され、2013(平成25)年12月に登録された品種となっています。
「初恋の香り」がデビューして以来白いイチゴが各地で話題となっていた中での登場で、品種登録されたばかりにもかかわらず、2014年には百貨店や果物専門店などで福岡県産の淡雪をよく見かけるようになっていました。その頃の価格は右の写真のものが1000~1500円程で、「初恋の香り」に比べかなり手の届く価格だったのですが、近年は他の産地にも栽培が広がり価格も更に手頃になっています。
●淡雪(あわゆき)の特徴
「淡雪」の果実はやや縦長の円錐形で、少し大き目となっています。粒の揃いは良いようで店に並んでいるものはどれも形が整ったものが多いです。
特徴となっている表皮の色は白ではなく淡橙色となっていますが、ほんのりとした桜色といった感じの物もみられます。
表面のそう果の窪みは浅めで、そう果の色は赤いです。
果肉の色は中央部分が白く、その周りは外皮と同じ色をしており、外皮の色が濃い部分は果肉も色がほんのり橙赤色をしており、色が付かず白っぽい部分は果肉も白いです。空洞は少し見られますが、ほとんど気にならない程度です。
「初恋の香り」など他の白いちごの多くは果肉も白いので見分けが付きます。
農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。
『- - - - -
果実の大きさはやや大、果実の縦横比は縦長、果実の形は円錐形、
果皮の色は淡橙、果実の光沢の強弱は中、そう果の落ち込みは落ち込み小、
果実のがく片の付き方は水平、果径に対するがく片の大きさはやや大、
果実の硬さはやや硬、果肉の色は橙赤、果心の色は淡赤、果実の空洞は無又は小、季性は一季成りである。
出願品種「淡雪」は、対照品種「和田初こい」と比較して、たく葉のアントシアニン着色の強弱が無又は極弱であること、果肉の色が橙赤であること等で区別性が認められる。
- - - - - -』以上、抜粋。
◆実際に食べてみた「淡雪」の食味
「淡雪」の味ですが、固さは適度に歯ざわりを感じる固さがあり、糖度は13~15度と言われていますが、酸味は少なくそこそこ甘いイチゴという印象です。見た目の印象に対して意外に甘いかも・・・というギャップが持ち味なのでしょう。
2022年4月中旬に購入した奈良県産の淡雪は一粒38g前後のやや大粒のもので全体にむらなく淡い橙赤色でした。
果肉は食感もしかりとあり、やはり酸味があまりなく糖度の割に甘く感じました。計った糖度は12.5度ほどでした。
●「淡雪」の主な産地
「淡雪」は各地のいちご産地で栽培出荷されています。主な産地は福岡県をはじめ、熊本県や佐賀県、鹿児島県など九州が多く、その他近畿では奈良県、関東では千葉県や茨城県などで作られています。関西の市場には福岡県産のものが大量に入ってきています。