桃薫/とうくん<イチゴの品種

桃薫/とうくん<イチゴ

■桃薫/とうくんとは?

●桃のような甘い香りのいちご

 「桃薫」は、(独)食品産業技術総合研究機構野菜茶業研究所と北海道農業研究センターが共同で育成した品種で、「カレンベリー」と桃のような香りの野生種”F. nilgerrensis”を交配して得られた艶のある系統に、「とよのか」に、桃のような香りの野生種”F. nilgerrensis”を交配して生まれた、香りが良い「久留米IH1号」を交配し、得られた実生から選抜育成されたとされています。2009(平成21)年に登録出願され、2011(平成23)年に品種登録された新しい品種です。

 淡い桃のような色合いと、華やかな桃やココナッツの香りが強く、一般的ないちごとは一線を画する品種となっています。

桃薫/とうくん<イチゴ

 桃薫(とうくん)という名称は、『桃のような甘く芳醇な香りが隅々まで漂う(薫る)様子をイメージし、各地に広く普及していくことを願って命名された』となっています。

●桃薫(とうくん)の特徴

 桃薫(とうくん)の果実の大きさはやや大きめとされ、形は縦横比が同じくらいの円錐形です。表皮の色は完熟してもとても淡い桃白で、真っ赤ないちごのイメージとは違います。

桃薫,とうくん,いちご

 そう果(種のようなもの)のくぼみが一般的なイチゴに比べかなり深く、イチゴの表面が凸凹している感じです。

桃薫/とうくん<イチゴ

 そして何よりの特徴である香りですが、『桃やココナツ、カラメルのような香り成分が多く含まれている』とされているように確かにこのイチゴから立ち上る華やかで芳醇な香りは普通のイチゴフレーバーとは全くといっていいほど違います。

 桃薫(とうくん)の果肉は果皮近くから真に至るまで真っ白で、柔らかくジューシです。味的には特別甘いと言う程ではありませんが、柔らかな酸味と、それを包み込むほどに十分な甘さを感じます。

桃薫/とうくん<イチゴ

 農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

 『-----

 果実の大きさは大、果実の縦横比は同等、果実の形は円錐形、

 果皮の色は桃白、果実の光沢の強弱は中、そう果の落ち込みは落ち込む、

 果実のがく片の付き方は水平、果径に対するがく片の大きさはやや小、

 果実の硬さは軟、果肉の色は白、果心の色は白、果実の空洞は中、

 季性は一季成りである。

-----』以上、抜粋

■桃薫(とうくん)主な産地と旬

桃薫,とうくん,いちご

●主な産地と生産量

 (独)食品産業技術総合研究機構のサイトによると、桃薫は現在、長崎県や茨城県などで生産されているそうです。苗は市販されているほか、ネットでも購入することが出来、それ以外の各地でも栽培されているようですが、まだまだ生産量は少なく、注文生産を中心にしている農家も多いようで、一般のスーパーなどで見かけることはありません。

 また、特徴がある品種なので、各地でブランド化も進められているようです。

 長野県軽井沢では「軽井沢貴婦人」として、北海道北斗市では「もものか」という名称で出荷されています。

●桃薫(とうくん)の収穫時期と旬

 桃薫の株は生育が旺盛で、収穫開始時期は遅めですが、春までの全期間の収量は多く、収量性に優れているとされています。収穫は12月下旬頃から始まり、軽井沢などで行われている栽培方法では8月頃まで収穫できるようです。

 とは言うものの、やはり食べ頃の旬の時期は2~4月頃となります。

 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構が桃薫の栽培や利用に関する手引き書をWebで公開しています。

「桃薫」の栽培と利用の手引き pdfファイル

桃薫/とうくん<イチゴ

< 出 典 >

 ※ 「芳香性イチゴ10倍体種間雑種品種‘桃薫’の育成とその特性」野菜茶業研究所研究報告 第10号 (P59~P67)

 ※ 「芳醇な香りと淡く優しい色合いが特徴の新しいタイプのイチゴ新品種「桃薫(とうくん)」」みんなの農業広場

 ※ 「登録番号21165 桃薫」 農林水産省品種登録データベース

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