キウィフルーツ「甘うぃ」:来歴や特徴と産地や旬

キウィフルーツ 甘うぃの断面

●甘うぃとは

 「甘うぃ」は福岡県が「ゴールデンキング(盧山香)」の自然交雑実生から選抜育成した大玉で平均糖度が高く、果肉が緑黄色の品種で、「ヘイワード」よりも早く11月から出荷ができるキウイフルーツです。

◆甘うぃの来歴

キウィフルーツ 甘うぃ

 「甘うぃ」は愛媛県に次いでキウイフルーツの生産量が多い福岡県が、「ゴールデンキング(盧山香)」の自然交雑実生約1000個の中から選抜育成し2016年に品種登録されたキウイフルーツの品種です。育成の過程かは紀の通り。

2005(平成17)年 福岡県農業総合試験場果樹部のほ場においてに「ゴールデンキング(盧山香)」の果実から自然交雑種子を獲得。

2006(平成18)年 播種し、約1000個体の実生を育成。

2007(平成19)年 ほ場に定植。

2008(平成20)~2010(平成22)年 果実品質を中心に特性調査を実施、果肉色が黄色で果実が大きく、糖度も高い有望系統「福岡Q1号」を選抜。

2011(平成23)~2012(平成24)年  農林水産植物種類別審査基準(農林水産省 2011) に準じて特性調査実施。

2013(平成25)年 「甘うい」と命名。種苗法に基づき品種登録を出願、及び公表。

2016(平成28)年 品種登録完了。

キウィフルーツ 甘うぃ

 種子親である「ゴールデンキング」は別名「慮山香」という中国系の甘味が強い黄肉種で、商業栽培している生産者は少ないですが、苗木は種苗販売店で一般に販売されており、家庭菜園でも人気があるようです。

◆甘うぃの特徴

 「甘うぃ」の果実は140g前後で「へイワードJ よりもやや大きく、果形は丸みのある俵型です。

 食べ頃に熟した果実の果皮色は赤褐色で、毛じは短く、あまり密には付いていません。

キウィフルーツ 甘うぃの断面

 果肉は緑黄色で、糖度は16~18%と高く、酸味は「へイワード」よりも少なく甘いキウイフルーツとなっています。

 甘さの元となるスクロースとフルクトースの割合は美味しく感じるスクロースの割合が高く、これは親の「ゴールデンキング」から受け継がれた特性と考えられている。

 また、キウイフルーツにはシステインプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)である アクチニジンが含まれていることはよく知られていますが、これは肉を柔らかくしたり、消化を助ける働きがあると共に、食べた時に口の中を刺激する要因でもあります。「甘うぃ」は「へイワード」に比べこのアクチニジンが少なく、嫌な刺激も少ないようです。

キウィフルーツ 甘うぃの断面

 農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

 果実の重さは極重、果実の形は長楕円、果実中央部の横断面の形(扁平の程度)は円(小さい)、果頂部の形は平坦、果実のがくの周囲のリングは明らかに見える、

 果梗部の形は角ばる、果梗の長さは短、果梗の相対長(果梗長/果実縦径)は極小、

 果実の宿存がくの有無は有、果皮の色は赤褐、果実の毛じの粗密は粗、果実の毛じの種類は短い軟毛、果皮の色(可食時期)は赤褐、

 外果皮の色は緑黄、果心の色は黄白、果実の甘さは高、果実の酸度はかなり低、開花期は早、収穫期は中である。

 出願品種「甘うぃ」は、対照品種「盧山香」と比較して、果実の重さが極重であること、果実の形が長楕円であること、果実の甘さが高であること等で区別性が認められる。

 対照品種「魁蜜」と比較して、果実の形が長楕円であること、外果皮の色が緑黄であること、果実の甘さが高であること等で区別性が認められる。

-----』以上、抜粋。

◆実際に食べてみた甘うぃの食味

 撮影試食した「甘うぃ」は11月4日に届いたもので、果重104~130gと本種としてはやや小さめでした。

キウィフルーツ 甘うぃ キウィフルーツ 甘うぃの糖度

 届いた日に食べた食感はまだやや硬めでしたが、十分な甘さと程よい酸味があり、鼻から抜けていく香りがとても印象的です。この時点で計った糖度は14.3~15.8%でした。

◆甘うぃをフードドライヤーでチップにしてみた

 甘うぃをスライスし、フードドライヤーで55度で48時間ほどかけ、ドライチップにしてみました。

キウィフルーツ 甘うぃ キウィフルーツ 甘うぃの糖度

 48時間ではパリッと割れるような状態にはなりませんでしたが、透明感のある綺麗なチップになりました。

 食べてみると、歯切れは今一つですが、噛むほどに濃縮されたキウイの甘味が口に広がり美味しいです。ドライチップにした時の方が酸味が出ていてキウイらしい味が楽しめました。

●甘うぃの主な産地と旬

キウィフルーツ 甘うぃ

◆主な産地と生産量

 「甘うぃ」は福岡県のオリジナル品種で、福岡県内でのみ栽培されています。

 2016年に品種登録されて以降年々栽培面積は広がり、2020年産の「甘うぃ」の出荷はJAみなみ筑後管内では55㌧、福岡県内の6つのJA合計ではおよそ210㌧が集荷されたようです。

◆甘うぃの収穫時期と旬

 「甘うぃ」の収穫時期は11月初旬から始まります。収穫されたキウイフルーツはそのまますぐに出荷されるわけではなく、選果場に集荷された後、一旦冷蔵庫に貯蔵され、出荷の前に追熟庫でエチレンガスによる追熟を行ってから選果され出荷されます。

 出荷時期は「へイワード」よりも早く11月〜年内を中心に出荷され、出盛りの旬は11月上旬から12月上旬頃までとなります。

品種 10月 11月 12月 1月
甘うぃ                        

< 出 典 >

 ※ 「キウイフルーツ新品種「甘うぃ」の育成」福岡県農業総合試験場研究報告33号 p. 24-28 2014年

 ※ 「「甘うぃ」、「シャインマスカット」の生産拡大」福岡県 令和元年度南筑後普及指導センター普及活動成果

 ※ 「「甘うぃ」の集荷説明会を開きました」JAみなみ筑後 管内News 東西南北 2020.10.13

 ※ 「登録番号25166 甘うぃ」 農林水産省品種登録データベース

皆さんで是非このサイトを盛り立ててください。よろしくお願いします。