甲州百目(蜂屋柿・富士柿・江戸柿・代白柿):旬と主な産地と特徴
■甲州百目(こうしゅうひゃくめ)とは?
●甲州百目は不完全渋柿の一種
甲州百目は古くから日本各地でみられる大型の不完全渋柿で、その大きさと釣鐘状の形に特徴があります。
その大きさが百匁(ひゃくもんめ)=約375gもあると言うことからひゃくもんめ柿と呼ばれるようになり、それが訛ってひゃくめ柿になったと言われています。
名前の由来になっている甲州地方では主に干し柿にして食べられていますが、渋抜き処理をして生で食べても美味しい柿です。
●各地で土地土地の名称がつけられている
甲州百目は各地で作られてきたこともあり、その土地によって様々な名称で呼ばれています。代表的なものを挙げると、「蜂屋柿」「江戸柿」「代白柿」「富士柿」なども品種的には同じ甲州百目とされています。
●甲州百目の特徴
甲州百目の大きさは300gから400gが一般的で、大きいものになると500g以上にもなります。果皮は赤みが強いオレンジ色で、果皮に黒い点が出来やすい。渋柿なので干し柿にされる地方が多いのですが、その干し柿も地方によって作り方はいくつもあります。
渋抜きをした生食向けの物は、ネットリとした粘質で果汁が多く甘みも強く感じます。熟したものは透明感のある茜色の果肉で一般的な柿とはまったく別物のゼリーを思わせるようなジューシーさが感じられます。
●江戸柿・代白柿とは
江戸柿とは奈良や京都など近畿での名称で、奈良県西吉野の特産です。干し柿にされるほか、おき熟し柿(ずくしがき)にして食べたりしますが、ガスによる渋抜きを経て熟し柿にされ、京都中央卸売市場に出荷されたものが代白柿と呼ばれているようです。ただこの江戸柿としても店頭に並ぶので代白柿の違いはあいまいです。京都の料亭でも旬の時期には食後のデザートに提供されていたりします。
●蜂屋柿とは
蜂屋柿は岐阜県美濃加茂市蜂屋町で古くから作られてきたことから呼ばれるようになった名称で、この地の特産となっています。またこの柿を使った干し柿が「堂上蜂屋柿」として全国的に有名です。
●富士柿とは
昭和2年愛媛県八幡浜市の弁上三郎左エ門氏が発見した蜂屋柿の変異種とされています。同地の特産として栽培され、収穫後35度の焼酎で5日間じっくりと渋を抜くアルコール脱渋法のみを使うとされています。逆さにすると富士の山ににて大きいことから富士柿と命名されたとのことです。富士柿の解説参照
■甲州百目(こうしゅうひゃくめ)柿の主な産地は
●東北が一大産地
農林水産省のデータでは蜂屋柿と甲州百目は別々に集計されているようなので、それぞれの栽培面積と両方合算した栽培面積のグラフをつくってみました。甲州百目は福島県をはじめ東北地方で「あんぽ柿」の材料として沢山栽培されていて、あんぽ柿には蜂屋柿、甲州百目どちらの名称でも用いられているようです。これでみると福島県が全国の約半分を占めていることになります。
■甲州百目(こうしゅうひゃくめ)柿の旬は
●甲州百目の収穫時期と食べ頃の旬
甲州百目は早いところでは10月中旬頃から収穫が始まり、11月初旬ごろには各地で最盛期を迎えます。収穫期は11月いっぱいくらいまでとなりますが、そのほとんどは吊るし柿やあんぽ柿のような干し柿にされるものが多く、生食での流通は限られてはいます。
生食用のものは収穫後数日間かけて渋抜きされてからの出荷となり。食べ頃の旬は11月から12月初旬までとなります。熟したものは半分に切ってスプーンですくって食べると絶品です。
旬のカレンダー | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | ||||||||||
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甲州百目柿 | |||||||||||||||
江戸柿 | |||||||||||||||
蜂屋柿 | |||||||||||||||
富士柿 |