サンドルチェ:来歴や特徴と産地や旬
●サンドルチェとは
「サンドルチェ」は沖縄県が「ゆがふ」と「サマーゴールド」を交配し15年の歳月をかけ育成した高糖度で病害に強く、台風にも強い「沖農P17」というパイナップルの商標です。
◆サンドルチェの来歴
「サンドルチェ」は沖縄県農業研究センター名護支所が果肉が白く香りが高い「ゆがふ」と、酸度が低く食味の良い「サマーゴールド」を交配し得られた実生から選抜育成したパイナップルで、正式な品種名は。「沖農P17」といい、2015年に種苗法に基づき登録出願、2017年に品種登録されています。
「サンドルチェ」という名称は沖縄県が「沖農P17」に対して取得した登録商標で、『「サンドルチェ」の名称は、 S u n(太陽:英語)とD o l c e(甘い、甘美な:イタリア語)からなる造語です。「沖農P17」の果汁糖度が19度以上と従来の品種と比べ非常に高いことからスイーツのようなイメージのネーミングとし、沖縄県ブランド品種の名称として商標登録した』とのことです。
◆サンドルチェの特徴
「沖農P17」の果実はサイズ的に中くらいとなっており、果形は樽型です。また、「サンドルチェ」として出荷される果実は果実重800 g 以上(冠芽込み)と決められているようです。
大きな特徴は、糖度が19度以上で、酸度0.64%ととても甘味が強いことです。また、栽培においては病害の発生が少なく、また果実を支える果柄(かへい)が短く、台風被害にも強いなどの良い面があります。
農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。
『-----
果形は円筒、果実の大きさは中、果実の長さは中、
果実表面の色は黄橙、小果の数は多、小果の大きさは軽、果皮の厚さは中、
果肉の色は淡黄、果芯の太さは中、甘味はかなり高、酸味は中、香気は中、肉質はやや硬、種子の多少は無、
開花期は中、収穫期は中、成熟日数は短、日焼指数は中、裂果は少である。
出願品種「沖農P17」は、対照品種「N67-10」と比較して、吸芽発生数が多であること、とげの密度が無であること、甘味がかなり高であること、糖酸比が高であること等で区別性が認められる。
対照品種「サマーゴールド」と比較して、草姿が斜立であること、冠芽の形状が斜立であること、葉色が濃緑であること、肉質がやや硬であること等で区別性が認められる。
-----』以上、抜粋。
◆実際に食べてみたサンドルチェの食味
撮影試食した「サンドルチェ」は石垣島から7月初旬に届いたもので、大きい方は1,750gありました。
いずれも表面が黄橙色に色付き、甘い香りが出ていました。
切った感じは一般的なパイナップルと大きな違いはなく、皮の厚みも普通で、果芯も硬く食べるには少し硬いと思います。
食べてみると強い甘みが口に広がり、適度な酸味もありとても甘くて美味しいパイナップルでした。また、パイナップルにありがちな後口に残るイガイガした感じもありませんでした。計ってみた糖度は19度前後だったので、「サンドルチェ」としては標準的な甘さという事なのでしょう。
この甘さと味わいなら一般的なパイナップルと明確な差別化が計れると思いました。
●サンドルチェの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
サンドルチェ(沖農P17)の栽培面積や収穫量が分かる資料が無く不明です。苗木の頒布が2015年に始まったばかりで、まだ栽培面積はそう広くなく、市場に出回る数も少ないです。今後収穫量が増えてくれば一般の店頭にも並ぶようになってくると思います。それまではネットなどでお取り寄せするしかないようです。
◆サンドルチェの収穫時期と旬
「サンドルチェ」の収穫時期は沖縄本島及び周辺離島地域が6~10月 (ハウス5~7月)、石垣島など先島地域では5~11月と、他の品種に比べ期間が長いです。
最盛期の旬は7~9月の夏です。
品種 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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サンドルチェ |
< 出 典 >
※ 「太陽の甘美な果実 サンドルチェ」 美ら島沖縄 2018.4 沖縄県
※ 「登録番号 第5932315号 サンドルチェ」 特許情報プラットフォーム 特許庁
※ 「登録番号 25572 沖縄P17」 品種登録データベース 農林水産省