パインアップル ジュリオスター:来歴や特徴と産地や旬
●ジュリオスターとは
◆ジュリオスターの来歴
ジュリオスターは1989(平成元)年に沖縄農業研究センター名護支所果樹班が「N67-10」に「クリームパイン」を交配し、得られた実生から選抜育成した大果で7月下旬に成熟する早生品種のパイナップルです。
2006年頃から系統名「パインアップル沖縄10号」として石垣島、西表島、沖縄本島北部で栽培が始められ、交配から実に20年間をかけ2009(平成21)年3月、種苗法に基づき登録出願、同年12月に品種登録されました。
また、その翌年2010(平成22)年には「パインアップル農林7号」として農林認定され、出荷が始まりました。
ジュリオスターという品種名は7月に成熟することから、『スペイン語の7月(Julio)と英語の星(star)を組み合わせたもので成熟期を表現した』とあります。
◆ジュリオスターの特徴
ジュリオスターの果実は平均果重1,200gほどで既存品種の「N67-10」と同じくらい大玉で、 成熟した時の果皮色が鮮やかな橙色になるのが特徴です。
果肉の糖度は16%ほどに対し酸度は0.6%程度と少なく甘味が強く感じられ、果汁も多く食味良好となっており、他の品種に比べ完熟してからの日持ちが良いとのことです。
また栽培面では、黒目病や花樟病などの果実病害が少ないという良い面と従来の生食用品種に比べ、出蕾率が低く、自然夏実の収量が低いという問題もあるようです。
農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。
『-----
果形は円筒、果実の大きさは重、果実の長さは長、
果実表面の色は橙、小果の数は多、小果の大きさはやや軽、果皮の厚さは中、
果肉の色は淡黄、果芯の太さは中、甘味は高、酸味は中、香気は少、肉質は中、種子の多少は無、
開花期は中、収穫期は早、成熟日数は短、日焼指数は少、裂果は少である。
出願品種「ジュリオスター」は、対照品種「N67-10」と比較して、果実表面の色が橙であること、成熟日数が短であること等で区別性が認められる。
対照品種「ボゴール」と比較して、とげの密度が無であること、果実の大きさが重であること等で区別性が認められる。
-----』以上、抜粋。
◆実際に食べてみたジュリオスターの食味
撮影試食したジュリオスターは7月初旬に届いた石垣島産で、ひと玉1,590gありました。
果皮色は全体に美しい橙色に輝き、2個のうち片方は綺麗な樽型で、もう一方は下部はもう一方と同じくらいですが上にいくほど細くなっていました。
切ってみると外見通り果肉も良い状態に熟しており、食べてみると甘みが強く酸味は控えめで、”甘いパイナップル”という印象でした。計ってみた糖度は15.9度で、この品種の標準的な甘さという事なのでしょう。
台湾産の”芯まで食べられるパイナップル”というのがありますが、ジュリオスターは芯も甘いのですが食べるには硬く感じました。
スーパーなどにはフィリピンから輸入されているものが手頃な価格で沢山積まれていますが、そういったものよりも完熟した状態で届くので、とても美味しいパイナップルが味わえます。
●ジュリオスターの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
ジュリオスターの栽培面積や収穫量が分かる資料が無く不明ですが、それだけ沖縄県の中でも栽培面積が少なく、市場に出荷される量も少ないという事だと思います。
◆ジュリオスターの収穫時期と旬
ジュリオスターは7月下旬に成熟する早生品種とされ、沖縄で最も多く作られているハワイ種「N67-10」より約3週間成熟期が早いとのことです。
また、沖縄県農業研究センターが11月上旬~翌年4月中旬に花芽誘導処理を行うと、7月上旬~9月中旬に高品質果実が収穫できると生産者向けに奨励しています。
実際に様々なチャンネルで販売されている状況を見ると、おおむね7~8月が多く出荷される旬となっています。
品種 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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ジュリオスター |
< 出 典 >
※ 「認定番号 パインアップル農林7号 ジュリオスター」農林認定品種データベース 農林水産省
※ 「登録番号 18685 ジュリオスター」 品種登録データベース 農林水産省
※ 「沖縄県北部地域における「ジュリオスター」の高品質果実栽培法」沖縄県農業研究センター 名護支所 果樹班