御代柿(みだいがき):来歴や特徴と産地や旬
●御代柿(みだいがき)とは
◆御代柿の来歴
「御代」は昭和15~16年頃、山梨県の川村実氏が「御所柿」の実生から選抜育成した甘柿とされています。(※奈良県農業研究開発センター果樹・薬草研究センターの中村氏から「カキ品種名鑑」遠藤融郎 著に紹介されている内容を教えていただきました。)
その他の情報はいろいろな文献等を探してはみましたが見つけることができませんでした。
撮影した「御代」は岡山県の花澤ぶどう研究所の花澤伸司氏が先代より自園で栽培されてきたもので、2005年に岡山県で行われた国体の折には、天皇陛下への食材として出され、陛下が美味しいと召し上がられたそうです。
◆御代柿の特徴
「御代」の果実は500g前後にもなる大果とされ(今回いただいたものは370g前後)、果形は果頂部が緩やかに頂を作り御所系に似ていますが果梗部、ガクの周囲に座と呼ばれるこぶ状のふくらみがあるのが特徴です。
半分に切った断面の形はハート形で、果皮色はやや明るい黄橙、果肉も橙色です。
果肉はち密でやや硬く、完全甘柿なので渋抜きの必要はありません。糖度が19度以上にもなるとても甘い柿とのことです。
◆実際に食べてみた御代柿の食味
撮影、試食した「御代」は岡山県で10月22または23日に収穫されたもので、送ってくださった花澤氏によると、通年よりも少し早く収穫したとのことでした。
果実は370gほどでしたが、それでもとても立派で、座と呼ばれるこぶ状の盛り上がりのある姿かたちがとても貫禄のある印象を与えています。
食べてみると、コリっとした食感が歯に感じられる硬さで、強い甘みが口に広がりました。それでいてしつこさなどはなく後口はすっきりとしてとても美味しい味わいでした。
数日室内で追熟させてから食べると、果肉はねっとりとした柔らかさに熟し、下に感じる甘味は一層強くなりました。
●御代柿(みだいがき)の主な産地と旬
◆主な産地と生産量
「御代」に関する情報は非常に少なく、栽培している生産者もごくわずかしかいないようです。
とても美味しい柿でありながら広く作られることなく今日に至っているのが不思議です。
奈良県農業研究開発センター果樹・薬草研究センターの中村氏から教えていただいた「カキ品種名鑑」(遠藤融郎 著)によると収量が多く大果で熟期も早く品質もいいが、着色が悪く樹上で軟化しやすく果頂裂果や蒂隙果(ヘタと果実の間に隙間ができたもの)が生じやすいしやすくと書かれており、やはり栽培の難しさなどが理由で広く栽培されていないようです。
◆御代柿の収穫時期と旬
「御代」の収穫時期は産地によってずれはありますが、10月中旬から11月中旬ごろにかけてのようです。
非常に希少な柿で商業栽培されているところは今のところ私には見つけることができませんでした。
品種 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | ||||||||
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御代柿 |