ゴールドバレル:来歴や特徴と産地や旬
●ゴールドバレルとは
◆ゴールドバレルの来歴
「ゴールドバレル」は沖縄県農業研究センターにおいて1989(平成元)年に、「クリームパイン」にブラジルから導入された品種の「McGregor ST‐1」を交配し、得られた実生からおよそ20年の歳月をかけ選抜育成を重ね誕生した大果で高糖度のパイナップルです。
2006(平成18)年に種苗法に基づき登録出願、2009(平成21)年に品種登録されています。
「ゴールドバレル」という名称は、果肉の色『黄金』=GOLDと果形が『樽』=BARREL から付けられているそうです。
◆ゴールドバレルの特徴
「ゴールドバレル」の果実は平均果重1.4kgほどと大きく、果形は樽型です。果皮色は熟すと黄橙色になります。
果肉は黄色く、肉質は柔らかで、糖度16.5度、酸度0.53%と高糖低酸で食味が良いのが特徴です。
一方、他の品種が2年に1回収穫できるのに対し、3~4年に一回しか収穫できないことや、栽培に手間がかかるなどコストと労力が必要な品種とされています。
農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。
『-----
果形は円筒、果実の大きさは中、果実の長さは中、
果実表面の色は黄橙、小果の数は多、小果の大きさはやや重、果皮の厚さは中、
果肉の色は黄、果芯の太さは太、甘味は高、酸味は低、香気はやや少、肉質は軟、種子の多少は無、
開花期は中、収穫期は早、成熟日数は短、日焼指数は中、裂果は中である。
出願品種「ゴールドバレル」は、対照品種「N67-10」と比較して、収穫期が早であること等で区別性が認められる。
対照品種「ボゴール」と比較して、とげの密度が無であること、果実の大きさが中であること等で区別性が認められる。
-----』以上、抜粋。
◆タダオゴールド
「タダオゴールド」は沖縄県国頭郡東村で40年以上パイナップルを生産している玉城忠男氏が手塩にかけて栽培収穫した「ゴールドバレル」の登録商標です。
この商標で出荷されるものは収穫されたゴールドバレルの中でも、味や大きさ、色など品種が優れたものだけで、首のところに黄色いテープ状のラベルがまかれています。
◆実際に食べてみたゴールドバレルの食味
撮影した「ゴールドバレル」は7月上旬に届いた「タダオゴールド」で、ひと玉で2kg近い大きなものでした。頭部には冠芽が3つも付いていました。
果実表面は全体に黄橙に色付き、一つ一つの小果に残っている棘条の苞が長く印象的です。
持った感じが少し柔らかく、過熟しているような感じでした。
切ってみるととても柔らかく、包丁を持つ手にはあまり力を入れなくても半分に切ることが出来ました。皮も薄く、ぎりぎりのところまで熟している感じです。
食べてみると、果肉はとても柔らかく、強い甘味とそれをしっかりと支える丸みのある酸味で濃厚な味わいでした。以外にも、過熟したパインにありがちな嫌な風味は全くありませんでした。計ってみた糖度は16.5度で、パイナップルとしてはとても甘いレベルですが、ゴールドバレルとしては標準的な糖度という事になります。タダオゴールドにしては高いとは言えないです。
今回、ジュリオスター、サンドルチェと本種3種の食べ比べをしてみたのですが、甘味酸味のバランスや食感などトータルで見てやはりこのタダオゴールドが一番秀でていました。
ゴールドバレルの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
「ゴールドバレル」は沖縄県で作られており、令和元年産特産果樹生産動態等調査によると栽培面積は19.4haとなっています。これは沖縄県内で栽培されているパイナップル(N67-10、ソフトタッチ、ボゴール、ゴールドバレル)のうち3.7%となっています。
「ゴールドバレル」は食味は良いのですが栽培に手間とコストがかかることから、栽培面積はあまり広がらなかったようです。
ただ、食味の良さから人気は高く、他の品種の倍以上の価格となっています。
◆ゴールドバレルの収穫時期と旬
「ゴールドバレル」の収穫時期は石垣島あたりでは5月~7月、沖縄北部では7月上旬から中旬となっています。
品種 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | ||||||||
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ゴールドバレル |
< 出 典 >
※ 「パインアップルの品種開発と品種特性」沖縄県農業研究センター 果樹班 竹内誠人
※ 「ゴールドバレル」 公益財団法人中央果実協会 ホームページ
※ 「登録番号17245 ゴールドバレル」 農林水産省品種登録データベース