宮川早生:来歴や特徴と産地や旬
●宮川早生とは
「宮川早生」は福岡県山門郡城内村(現柳川市坂本町)において宮川謙吉氏が発見した温州ミカンの枝変わり早生温州みかんで、現在も早生種の主要品種であるとともに、「ゆら早生」や「上野早生」などの元でもあり、「清美」の交配親でもあります。
◆宮川早生の来歴
「宮川早生」の来歴は下記のとおりです。
1915(大正4)年 福岡県山門郡城内村(現柳川市坂本町)において宮川謙吉氏が温州みかんの穂木をカラタチに接ぎ木し10年あまり栽培していたところ、その中から早熟で大玉の実をつける枝を発見した。
1916(大正5)年 中山農事試験場(立花家農事試験場)主催の品評会に出品し一等賞となり、その後6年間入賞を続ける。
1921(大正10)年頃 田中亀蔵氏、石井佐吉氏、持丸明三氏らによって「宮川大早生」という名称で全国的に苗木販売の販売が始まった。
1923(大正12)年 台北大学農学部の教授、田中長三郎博士が注目し翌年にかけて2度にわたり現地調査を実施。
1925(大正14)年 田中長三郎博士により普通温州の枝変わりの早生温州であると認められ「宮川早生温州」と命名される。
その後、早生温州みかんの代表的な品種として全国のミカン産地に広がり、現在もなお主要品種であり、まだ、本種から「ゆら早生」や「上野早生」が枝変わりとして生まれ、更に本種とトロビタオレンジの交配により「清美」が生まれ、この「清美」から現在市場で多くみられる様々な品種が生まれています。
◆宮川早生の特徴
「宮川早生」の果実は果重100~120gで果形は扁球径で温州ミカンの中ではやや腰高な形をしています。
果皮色は少し黄緑が残っているくらいのものから、完熟したものは全体に橙色に着色します。
食味は甘みと酸味のバランスが良く、糖度は収穫時期によって幅があり、早い時期に収穫されたものは10度に満たないものが多いですが、樹上で完熟させ12月以降に収穫されたものは糖度も高く、ジョウノウ膜も薄くなり濃厚でとても美味しいみかんとなります。
◆実際に食べてみた宮川早生の食味
撮影試食した「宮川早生」は11月27日に届いた愛知県産のものです。果皮は薄く、浮き皮もありませんでした。
食べてみると、ジョウノウ膜は薄く表面の白い綿も綺麗に取れて食感がとても良かったです。甘味もしっかりとあり、適度な酸味でバランスが取れていました。糖度を計ってみると11.2~11.5度でした。
「宮川早生」も栽培環境などによって味のバラツキがあるので購入する際には迷いやすいですね。
●宮川早生の主な産地と旬
◆主な産地と生産量
「宮川早生」は発見されてから100年以上経ちますが、今もなお各地で栽培され続け、早生種としては栽培面積のトップの座を維持しています。
農林水産省がまとめた平成30年産特産果樹生産動態等調査によると、全国の栽培面積は6974haとなっており、温州みかん全体の22%となっています。早生種だけで見ると約54%、極早生種を含めても約38%を占める主要品種となっています。
主な産地は和歌山県で全国の3割以上を占め、次いで愛媛県、愛知県と続きます。
◆宮川早生の収穫時期と旬
「宮川早生」の収穫は早い所では10月中旬頃から始まりますが、最盛期は10月下旬から11月下旬にかけてで、その後1月上旬頃まで樹上完熟させたものが収穫されます。
食べごろの旬は11月中旬頃から12月にかけてとなります。
品種 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | ||||||||
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宮川早生 |
< 出 典 >
※ 『「宮川早生」100年のあゆみ : 日本のかんきつ産業を支えてきた福岡生まれの温州みかん』福岡かんきつ技術者OB会・全国農業協同組合連合会福岡県本部 2012.5
※ 「愛媛の早生温州の代表格!「宮川早生」」愛媛県- かんきつ類の紹介 -