北原早生(きたはらわせ):来歴や特徴と産地や旬
●北原早生温州とは
◆北原早生の来歴
「北原早生」は福岡県みやま市において北原悦雄氏が発見した「原口早生」の枝変わりで、2007(平成19)年に南筑後農業協同組合によって種苗法に基づく登録出願、2009(平成21)年に品種登録されました。
名称は発見者の名前に因んでいます。
◆北原早生の特徴
「北原早生」の果実は扁球形で、果皮の着色が早いことくらいで、外見的には特に大きな特徴はありません。
ジョウノウ膜は比較的柔らかくて薄く、サジョウは濃橙色でこの時期のみかんとしては糖度が高く食味が良いのが特徴です。
農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。
『-----
果実の形は扁球、果頂部の形は平坦、果頂部放射条溝の有無は無、果頂部の凹環の有無は不明瞭、果梗部の形は切平面、果梗部放射条溝の多少は少、
果心の充実度は中、果心の大きさは中、果実の重さは中、
果皮の色は濃橙、油胞の大きさは中、油胞の密度は疎、油胞の凹凸は平、果面の粗滑は中、果皮の厚さは中、果皮歩合は小、剥皮の難易は易、
じょうのう膜の硬さは軟、さじょうの形は中、さじょうの大きさは中、さじょう(果肉)の色は濃橙、果汁の多少は中、甘味は中、酸味は低、香気の多少は中、種子数は無、
発芽期は早、成熟期はやや早、浮皮果の発生は中、裂果の発生は無である。
出願品種「北原早生」は、対照品種「原口早生」と比較して、果心の大きさが中であること、果皮の厚さが中であること等で区別性が認められる。 対照品種「上野早生」と比較して、葉身の大きさが中であること、果実の形が扁球であること等で区別性が認められる。
-----』以上、抜粋。
◆実際に食べてみた北原早生の食味
撮影試食した「北原早生」は福岡県のJAふくおか八女の産地ブランド「華たちばな」です。「華たちばな」は福岡県八女市でマルチ ドリップ栽培によって作られた高糖度の温州ミカンの地域ブランドで、糖度11度以上を基準としています。
果皮の色はほんのりと黄緑色が残る早生みかんらしい外見で、皮は薄くは無いですが、中野ジョウノウ膜は薄いです。
食べてみると酸味は少なく、この時期のみかんとしてはとても甘く感じました。計った糖度は12.8~13.7%ありました。この甘さはやはりマルチ ドリップ栽培によって水分量がしっかり管理されて育てられた証しなのでしょう。
●北原早生の主な産地と旬
◆主な産地と生産量
「北原早生」は福岡県で発見された品種という事から、主な産地は福岡県です。農林水産省がまとめた令和元年産特産果樹生産動態等調査でみると、全国の栽培面積は115.2haで、このうちの8割近くを福岡県が占めています。
それ以外では、長崎県12.7ha、佐賀県7.3ha、愛知県3.4ha、鹿児島県1.0haとなっています。
ちなみに全国で115.2haという面積は、温州みかん全体で見ると0.38%しかありません。
◆北原早生の収穫時期と旬
北原早生は極早生と早生の中核くらいの品種とされ、収穫時期は10月中旬頃から始まり11月上旬までとなっています。食べ頃の旬も同じ時期です。
品種 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | ||||||||
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北原早生 |
< 出 典 >
※ 「登録番号18160 北原早生」 農林水産省品種登録データベース