ベビーパーシモン(突核無):来歴や特徴と産地や旬
●ベビーパーシモン(突核無)とは
◆ベビーパーシモンの来歴
「ベビーパーシモン」として流通している小さな柿は1981(昭和56)年頃、佐渡郡赤泊村(現佐渡市)の近藤保氏が自身の農地で発見した、「平核無」由来の枝変わり(突然変異)品種(※)とされています。品種登録はされておらず、学会で発表された際には「平核無」の突然変異にちなんで「突核無」と名付けられています。
その後、2011(平成23)年に農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業の一つとして学校法人近畿大学を中心に岐阜県や新潟県などが商品化に向けた共同研究をはじめ、2013(平成25)年に学校法人近畿大学が「ベビーパーシモン」という名称を商標として出願し登録されています。
※新潟県農業総合研究所『小果、種なし、高糖度で、まるごと食べられるかき「突核無」の特徴』より
栽培は岐阜県と新潟県で始まっており、岐阜県では2014年頃から「ベビーパーシモン」という商品名で市場に出荷を始めています。
「ベビーパーシモン(突核無)」は果実がとても小さく、糖度も高い上に「平核無」の特性を受け継いで種がないことから話題性が強く、料理店や製菓店での需要が高まっています。
◆ベビーパーシモンの特徴
「ベビーパーシモン」は大きさに多少のバラツキはありますが、果重20~50g、直径3cmほどというとても小さな柿で、糖度は平均で19~20度もありとても甘いのが特徴です。また、種がなく皮も薄いためまるごと食べられるのがウリとなっています。
「平核無」と同様、この柿は渋柿なので、収穫したばかりで脱渋していないものは渋みが強くて美味しくはありません。
通常、脱渋はアルコールや炭酸ガスで可能ですが、「ベビーパーシモン」は炭酸ガスによる方法がとられています。
果実の形状は 「平核無」をそのままミニチュアにしたような形ですが、やや腰高で丸みがあり果皮色は橙色から少し緑が残っているものもあります。ただ、この柿はあまり着色していない状態でも糖度は高くなるそうです。
◆実際に食べてみたベビーパーシモンの食味
今回入手したものは岐阜県産のものを大阪でこだわり食材を扱うBonnie Tone(ボニートーン)さんから仕入れました。
果実はひとパックに9個入りで葉も2枚入っていました。実際に手に取ると本当に小さくて可愛らしく、柿とは思えないくらいです。果重は平均26gたらずでした。
果肉は橙色で種もなく、皮も果実が小さくなった分薄くなっていて丸かじりしてもさほど気にはならないくらいでした。そして、甘い。
また、着色が弱く少し緑がかったものも混じっていましたが、食べてみるとそれも同じように甘かったです。
●ベビーパーシモンの美味しい食べ方
◆果実の大きさ形を活かす
「ベビーパーシモン」は何といってもこのサイズ感が持ち味。このままの大きさと形を活かしたいですね。
もちろん、さっと洗ってヘタだけ取ってそのまま丸ごとパクっと食べても美味しいです。
◆まるごとピクルスやコンポートなどに
姿のままシロップで煮てコンポートにするのも良さそうです。スイーツに小さな柿のコンポートが添えられていると可愛いですね。
また、甘酸っぱいピクルスにしてもいいかもしれません。
◆八寸やオードブルに
小さくてかわいらしい柿を姿のまま使い、和食では八寸の一品に、また洋食ではオードブルに使うと見た目も楽しいですね。
写真はベビーパーシモンの中をくりぬいて、その果肉と刻んだモッツアレラチーズを和えて中に詰め、その上にワインで蒸したシュリンプを乗せたもの。
●ベビーパーシモンの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
「ベビーパーシモン」は岐阜県と新潟県で栽培が始まり、岐阜県では2014年から「ベビーパーシモン」という商品名で市場に出荷を始めています。
まだ生産量は少なく希少で、料理店などからの引き合いが強く高値で取引されています。
ちなみに、苗木は「さど乙女」という名称で一般に流通しているので、栽培自体はどこの産地でも可能ですが、「」ベビーパーシモン」という商品名が使えるのは今のところ岐阜県と新潟県です。
◆ベビーパーシモンの収穫時期と旬
「ベビーパーシモン」の収穫は「刀根早生」より少し早く。岐阜県では9月上旬ごろから始まり10月末頃までとなっています。
新潟県では9月中下旬ごろからとなっています。
品種 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | ||||||||
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ベビーパーシモン |