西洋梨(せいようなし)の品種:ラ・フランスの旬や特徴と産地
■ラ・フランスとは
●フランス生まれの洋ナシ
ラ・フランスはフランスのクロード・ブランシェ氏が1864年に発見したとされる西洋梨で、日本には1903年に食用としてではなく、当時主流だったバートレットなどの受粉用として導入されたようです。
当時は西洋梨の中では早い時期に花を付けるにもかかわらず結実までに時間がかかり、その分病害虫や台風の影響も受けやすいため手間がかかるということで、あくまでも受粉用としてのみに用いられていたようですが、主に缶詰に加工されるバートレットから次第に生食の需要が高まるにつれ、ラ・フランスの美味しさが見直され、その後のグルメブームで一気に世に広まった西洋梨です。
現在日本で作られる西洋梨の中では最も沢山作られている品種となるに至っていますが、もともとのフランスでは、手間がかかりすぎるということで敬遠され、ほとんど栽培されなくなってしまったようです。
●ラ・フランスの特徴
ラ・フランスの果実は、250~300g位の中玉で一見外見がごつごつとしていていびつでで不揃いで、色はグリーンから黄緑の地に暗灰色や灰褐色のサビだらけで決して美味しそうとか美しいとは言えない姿をしています。
しかし追熟を経たラ・フランスの果肉は、まさにこれぞ西洋梨 と言わしめる美味しさを感じさせてくれます。果肉は、石細胞が少なく多汁でとろけるように柔らかく、高級マスクメロンのような食感で、糖度も14~15度にもなりそれでいてそれを脇でしっかりと支えるやさしい酸味があるので甘ったるいわけではなく、濃厚な味わいが楽しめます。そして何よりも、芳醇な芳香があり、西洋梨の最高峰といわれてきました。
■ラ・フランスの産地と生産量
●ラ・フランスの主な産地と栽培面積
ラ・フランスは山形県が有名ですね。政府がまとめた平成30年産特産果樹生産動態等調査でみると、全国のラフランスの栽培面積は867.5haで、これは西洋梨全体の約64%を占め、最も広く栽培されている品種となっています。
産地ではそのうち山形県が全国の約85%を占めています。次いで長野県、青森県となっています。
●ラ・フランスの収穫時期と食べ頃の旬
ラ・フランスの収穫時期は産地によって多少幅があります。また、収穫時期は低温年には早まり、 高温年には遅延するそうです。おおむね、10月の中旬頃から下旬にかけて収穫されています。
また、ラ・フランスなどの西洋梨は収穫後一定期間追熟させてから食べ頃を迎えるので、旬は収穫されてから2週間ほど後になります。
山形県では、収穫から出荷まで2週間余り時間を置く「追熟」の徹底により品質の向上を目指し、11月1日を「統一販売開始日」の設定に向けた動きがありました。そして、2013年からは販売開始基準日が儲けられ、農協や県内の市場、出荷団体等も含む県全体で取組まれ、2020(令和2)年に「山形ラ・フランス」が地理的表示(GI)保護制度に登録されるに至っています。
その他の産地ではそういった取り組みはなく、収穫でき次第出荷するところもあるため、10月の早い時期には予冷追熟が足りない低品質のものも多く出回っていると考えられます。
旬のカレンダー | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ラフランス |
< 出 典 >
※ 「山形のラ・フランス情報!」 山形県ホームページ
※ 「登録の公示(登録番号第99号)」 農林水産省 地理的表示(GI)保護制度