早優利(さゆり):来歴や特徴と産地や旬

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●早優利(さゆり)とは

 「早優利」は鳥取大学が「おさ二十世紀」に「新水」の花粉を交配し育成した糖度が高く食味の良い8月上旬に成熟する極早生の赤ナシです。

◆早優利の来歴

 「早優利」は国立大学法人鳥取大学農学部園芸学研究室において1979(昭和54)年に「おさ二十世紀」に「新水」の花粉を交配し、得られた実生から選抜育成した赤ナシです。

 2009年に種苗法に基づく登録出願、2010年に品種登録され、育成者は田邉賢二氏と田村文氏となっています。この両者は「真寿(しんじゅ)」と「瑞秋(ずいしゅう)」の育成にも携わっています。

◆早優利の特徴

 「早優利」の果実は果重250gほどと小ぶりで果形は扁円形。果皮色は黄赤褐で、果点は赤ナシとしては小さめで果面も比較的さらっとしています。

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 ただし、果実の大きさはジベレリン処理することにより300g以上になります。

 果肉は黄白でやや柔らかく多汁で、糖度は12~15度と甘く、酸味も中となっています。

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 農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

 果実の形は扁円形、梗あの深さは中、梗あの幅は中、がくあの深さは深、がくあの幅は広、果実の大きさは小、

 果皮の色は黄赤褐、果点の大きさは小、果点の粗密は密、果面の粗滑(赤なし品種に限る)は滑、

 果柄の長さは長、果柄の太さは中、肉梗の有無は無、果芯の形は円心臓形、果芯の大きさはやや大、

 果肉の色は黄白、果肉の硬さはやや軟、果肉の粗密は中、果実の甘味は高、果実の酸味は中、果汁の多少はやや多、

 種子の大きさは中、種子の形は卵形、開花始期は中、成熟期は早である。 

 出願品種「早優利」は、対照品種「新水」と比較して、花序の花の数がかなり多であること、種子の数が多であること等で区別性が認められる。

 対照品種「愛甘水」と比較して、花序の花の数がかなり多であること、種子の数が多であること等で区別性が認められる。

 対照品種「ゴールド二十世紀」と比較して、果皮の色が黄赤褐であること、果芯の形が円心臓形であること等で区別性が認められる。

-----』以上、抜粋。

◆実際に食べてみた早優利の食味

 撮影試食した「早優利」は8月中旬に購入した鳥取県産で、果重は230~330gと幅がありました。

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 外見は赤ナシらしい色合いと果点の入り方で、皮をむいて食べてみると、果肉の歯触りは軽やかで、果汁と共に強い甘みが口に広がり、その甘味を引き立てるように適度な酸味もあってとても美味しい梨でした。

 計った糖度は13.6~18.2度ととても高く、甘さを裏付けるものでした。

●早優利(さゆり)の主な産地と旬

◆主な産地と生産量

 「早優利」の主な産地は鳥取県です。全国的に栽培面積はとても少なく、令和元年産特産果樹生産動態等調査には記録がありません。

 品種登録されてから既に10年以上経っているので、今後増えていくことも考えにくいのですが、極早生でありながら食味がとても良かったのでもっと増えても良さそうに思い少し残念です。

◆早優利の収穫時期と旬

 「早優利」は8月上旬に収穫最盛期を迎える極早生品種です。また、ジベレリン処理により果実は肥大し収穫時期も7月下旬に早めることができます。

品種 7月 8月 9月 10月
早優利                        

< 出 典 >

 ※ 「鳥取県のナシのニューフェイス 早優利」鳥取二十世紀梨記念館 なしっこ館

 ※ 「登録番号19507 早優利」 農林水産省品種登録データベース

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