なつしずく:来歴や特徴と産地や旬
●なつしずくとは
「なつしずく」は農研機構が「平塚25号」に「筑水」を交配して育成した早生種の青ナシ品種です。
◆なつしずくの来歴
「なつしずく」は国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構が早生で栽培性が優れ、品質優良な品種の育成を目的として「平塚25号」(「幸水」×「菊水」)に「筑水」を交配して得られた実生から選抜育成した青梨品種です。育成の過程は下記の通り。
1990年 早生種の「平塚25号(「幸水」×「菊水」)」に同じく早生種で果実品質が優れる「筑水」を交配。
1991年 得られた種をまき、苗を養成。
1992年 「323-17」の個体番号を付して選抜圃場に定植。
1996年 初結実。
1998年 一次選抜。
1999年 系統名を「ナシ筑波50号」とし、ナシ第7回系統適応性検定試験に供試
2005年 平成16年度果樹系統適応性・特性検 定試験成績検討会(1月)及び平成16年度果樹試 験研究推進会議(2月)において新品種候補に決定。「なつしずく」と命名され、「なし農林23号」として農林認定品種に登録。種苗法に基づく登録を出願。
2008年 品種登録完了。
◆なつしずくの特徴
「なつしずく」の果実は平均果実重は326gと早生品種としては大果で「幸水」と同じくらいとなっています。
果皮色は黄緑色で小さな果点が密に分布し、無袋でもさびの発生が少ないのが特徴です。
果肉は白くち密で柔らかく果汁も多い。また、糖度も12度ほどと「幸水」と同じくらいで香りは少なめですが食味が良い青ナシとなっています。
農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。
『-----
果実の形は扁円、梗あの深さはやや浅、広さは中、ていあの深さは深、広さは広、有てい果の有無は無、果実の大きさは中、
果皮の色は黄緑、果点の大きさは小、密度は密、果面の粗滑は滑、
果梗の長さはやや短、太さは太、肉梗の有無は無、果芯の形は円心臓、大きさは小、
果肉の色は白、硬度は軟、粗密は密、甘味はやや高、酸味は弱、果汁の多少は多、
種子の大きさはやや小、形は卵である。
開花始めは晩、成熟期は早で育成地においては8月中旬、裂果は無である。「八里」と比較して、梗あが広いこと、ていあが深いこと等で、「幸水」と比較して、果皮の色が黄緑であること等で区別性が認められる。
-----』以上、抜粋。
◆実際に食べてみたなつしずくの食味
撮影試食した「なつしずく」は8月中旬に購入した奈良県産で、平均果重は300gほどのものでした。
食べた食感は歯触りが優しく、青ナシらしいみずみずしさが感じられ、甘味と控えめな酸味があり、さっぱりとした甘さで美味しい梨でした。計ってみた糖度は11.7度ほどでした。
暑い時期に冷やして食べるととても美味しいです。
●なつしずくの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
「なつしずく」を栽培出荷しているところは少なく、令和元年産特産果樹生産動態等調査を見る限りでは全国の栽培面積の記録は山口県の1.5haのみとなっています。
それ以外の産地では、個々の農園で少量ずつ栽培され、産地の直売所などで販売されている程度のようです。
◆なつしずくの収穫時期と旬
「なつしずく」の収穫時期は「幸水」より一週間ほど早く、産地によって山口県など早い所では8月上旬頃から始まり、東北など遅い所では8月下旬ごろからとなります。
品種 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | ||||||||
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なつしずく |
< 出 典 >
※ 「ニホンナシ新品種‘なつしずく’」果樹研究所研究報告9号,p.11-22(2009-04) 農業技術研究機構果樹研究所
※ 「なつしずく」果樹茶育成品種紹介 農研機構
※ 「登録番号16480 なつしずく」 農林水産省品種登録データベース