あまとう:来歴や特徴と産地や旬
●あまとうとは
◆「あまとう」の来歴
「あまとう」は福島県の斎藤賢一氏が「川中島白桃」に「紅国見」を交配し、その実生から選抜育成された早生種の白桃で2001(平成13)年に株式会社福島天香園によって品種の登録出願が出され2004(平成16)年に品種登録されています。
厳密には同時に福島天香園から出願された「あまとう1号」というものもあり、本種の正式品種名は「あまとう2号」です。「あまとう1号」の方はその後出願が取り下げられたので、「あまとう」といえば本種という事になります。
まだ比較的新しい品種ですが、早生種としては色づきがよく大玉で食味も優れているので、すでに市場にはそこそこ数が出回っています。
◆あまとうの特徴
「あまとう」はやや大玉の果実で果形は球から扁円、果皮の地色は薄い緑で濃い赤に色づきやすく今回入手したものは全体にむらなく綺麗に赤く色づいていました。
果肉は乳白色で種の周りも赤くなりにくいのが特徴。肉質は繊維感が少なく緻密で硬く、福島天香園のホームページでは『肉質はコキコキする食感』と紹介されています。糖度は14~17度と高くなる傾向があり、それに対し酸味は少ないのも特徴。ただ、香りはわずかとなっています。
農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。
『----------
果実の外観は扁円、果頂部の形は凹、凹みは中、梗あの深さはやや深、広さは中、赤道部及び果頂部の縫合線の深さは中、
果実の大きさはやや大、果皮の地色は緑白、果皮の着色の多少は多、濃さは濃、形はぼかし、果面の毛じの有無は有、密度は粗である。
切った直後の果肉の色は乳白、果肉内の着色は少、核周囲の着色は微、果肉の粗密は中、果肉繊維の多少は少、果皮の剥離性は難、肉質は溶質、果汁の多少及び甘味は多、酸味及び渋味は微、苦味は無、香気は微である。
核と果肉の粘離は粘核、核の形は楕円、大きさは中、色は褐、核面の粗滑は中である。
開花期及び発芽期は中、成熟期(満開から成熟までの日数)は91~100日で育成地においては7月下旬である。
果実の着色の難易は易、生理落果の多少、核割れの多少及び裂果は少である。』 以上、抜粋。
◆実際に食べてみたあまとうの食味
今回入手したものは大阪市中央卸売市場の青果卸、東海商店さんから仕入れた山梨県産JAふえふき八代支所からの「あまとう」ハウス物 等級「一桃匠」です。
さすがに特秀品「一桃匠」だけあってどれも全体に綺麗に赤く色づいています。JAふえふき八代支所では最先端の透過式糖度カラーセンサーが用いられ、外見だけでなくハウス物でも糖度12度以上をクリアしたものだけを 「一桃匠」として出荷しているそうです。
まず、香りですが、果実に顔を寄せると桃らしいいい香りがします。ただやはりこれだけ色づいているにしてはやや弱く感じます。
果実を縫合線に沿って縦に一周ナイフを入れ、両側をもってひねってみましたが種と果肉はしっかりと結合していてはずれませんでした。
ナイフで切り分け食べてみると、特徴に肉質は硬いとありますが、これはいい具合に熟しているのか硬さはあまり感じられず、緻密で果汁と共に口の中で崩れて溶けていくような食感でした。
食味の面では十分に甘く感じますがハウス物という事もあり感動するほどではありません。ただ、この時期の桃としてはとても甘いと言えるでしょう。露地物は更に味が濃くなると思われるので楽しみです。
●あまとうの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
「あまとう」は山梨県をはじめ山形県や福島県などで栽培されています。
現在市場にはまだあまり多くは出回っていませんが、出回っているものの多くは山梨県産です。今回入手したものは山梨県JAふえふきからのものでした。
農林水産省がまとめている平成28年産特産果樹生産動態等調査にはまだ記録がなく正確な収穫量はわかりませんでした。
◆あまとうの収穫時期と旬
「あまとう」の収穫は山梨県のハウス物で5月中下旬から始まり、露地物が7月上旬ごろからとなっています。また山形県あたりでは8月初旬辺りから始まるようです。
食べごろの旬の時期はやはり7月から東北産が出始める8月上旬ごろまでとなります。
あまとう | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | ||||||||
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ハウス物 | ||||||||||||
露地物 |