紅くにか:来歴や特徴と産地や旬
●紅くにかとは
◆紅くにかの来歴
長野県で野池今朝喜氏が発見し育成した「紅錦香(くにか)」という品種がありますが、これは「野池白桃」の枝変わりとして1990年に品種登録もされています。「紅くにか」はその「紅錦香(くにか)」から、さらに早生系を選抜育成したもので、「紅くにか」としては品種登録はされていません。
もとになっている「野池白桃」は品種登録はされていない品種で、その来歴に関しては野池今朝喜氏のご子息が運営されている川中島農園(くか桃園)のホームページに紹介されています。おそらくは川中島白桃の系統ではないでしょうか。
◆紅くにかの特徴
「紅くにか」は果重は330~350gと大玉で果形は扁円で、果頂部は尖らず縫合線は浅い傾向があり、果皮色は乳白の地色に全体に濃い紅色に着色しやすいです。
果肉は緻密でしっかりとしているが溶質で繊維は少なめ、多汁で糖度が高くなる傾向があり酸味は少ない品種となっています。
全体に、収穫時期を除けば「紅錦香(くにか)」の特性とほぼ同じと思ってよさそうです。
「紅くにか」での品種登録はされていないため、農林水産省の品種登録データベースに記されている、選抜の元となった「紅錦香(くにか)」の果実特性を参考として紹介しておきます。
『-----
果実の外観は扁円、果頂部の形は凹、果頂部の凹は中、梗あの深さは深、広さは中、赤道部及び果頂部の縫合線は浅である。
果実の大きさは極大(330g程度)、果皮の地色は白、着色はかなり多、着色の濃さは濃、形はぼかし、果面の毛じは有、密度は中である。
切った直後の果肉の色は白、果肉内及び核周囲の着色は少である。
果肉の粗密は密、果肉繊維の多少はやや少、果皮の剥離性はやや易、肉質は溶質、果汁の多少は多、甘味は多、酸味は少である。
-----』以上、抜粋。
◆実際に食べてみた紅くにかの食味
撮影、試食した「紅錦香(くにか)」は8月10日に百貨店で購入した15玉/箱の信玄等級のもので、1玉400g前後ある大きな桃でした。
果皮表面には果点もしっかりとあり、期待感も高まりました。
縫合線に沿って種に当たるまで一周ナイフを入れ、左右を手で持って軽くひねると果肉と種がはずれました。熟し具合も丁度良く、串切りしたものは手で簡単に皮がむけました。
切り分けた時のナイフの感触ではやや硬めの桃のような印象でしたが、食べた食感は硬さは感じず、白鳳ほどではありませんが柔らかく、甘い果汁と共に舌に滑らかな食感と共にほぐれていく感じでした。
酸味はあまりなく、また渋みもなく甘く美味しい桃でした。糖度を計ると14度を超えていました。
●紅くにかの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
「紅くにか」は長野県で育成された品種なので長野県でも栽培されていますが、最近の状況を見ると山梨県で多く作られているようです。
平成30年産特産果樹生産動態等調査では「紅錦香(くにか)」としての 記載はありますが「紅くにか」では記録がありませんでした。果たして区別されているのかどうかは不明です。
◆紅くにかの収穫時期と旬
「紅錦香(くにか)」が長野県長野市において8月下旬から9月上旬に成熟する晩生種であるのに対し、「紅くにか」は8月上旬~8月中旬頃となっています。
品種 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | ||||||||
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紅くにか |
< 出 典 >
※ 「紅くにか」株式会社イシドウホームページ
※ 「くにかについて」川中島農園(くか桃園)のホームページ
※ 品種登録データベース 農林水産省ホームページ