新芳露(しんほうろ):来歴や特徴と産地や旬
●新芳露の来歴や特徴
◆新芳露の来歴
新芳露は島根県農業試験場において角田重資氏らにより1960年頃に育成された露地栽培向けのパール系ネットメロンで、当時日本海沿岸の砂丘地がある各県を中心に栽培が広がったようです。
「新芳露」は芳醇な香りとメルティング質に富みとても美味しいメロンでありながら、日持ちが短く、またネットが粗いなどの欠点があり、さらに栽培上においても着果が不安定で、実がなっても収穫時期が梅雨時期と重なり病害が発生しやすいなど難点が多く、次第に新品種への転作が進んでいき、その姿を消していき、今では『まぼろしの砂丘メロン』などともいわれるようになりました。
しかし、京丹後地方ではその後も作り続けられ、現在この地ならではのメロンとなっています。
◆新芳露の特徴
撮影した新芳露は京丹後市の谷芳農園から送っていただいたもので、5L(1.9kgほど)×2玉入り送料込みで4000円余りでした。
果実表面にはアールスメロンのような盛り上がった網目ではありませんが、黄緑の地に全体がほぼ均一なネットに覆われとても美しいメロンです。T字に残された蔓も高級感を漂わせています。
新芳露は収穫時はまだ薄く緑色が残った状態ですが、数日で食べ頃になり、全体が黄色くなってきて、芳醇な香りが立ってきます。
果肉はパール系と呼ばれるように乳白色で、メルティング質に富み糖度も高いメロンです。
◆実際に食べてみた新芳露の食味
追熟させた新芳露はアールスメロンとは違ったいい芳香で、部屋中が香りで満たされる感じでした。
果肉を切る感じは柔らかく、食べると果汁と共に果肉が崩れていく、まさにメルティング質そのもので、鼻から抜ける香りもとてもいいです。
そして甘い。イメージではもっとあっさりした味わいかと思っていたのですが、甘味もしっかりとあり、糖度を計ってみると15度ほどありました。そして甘いのに後口はすっきりとしていて嫌なイガイガした感じやエグミは全くありませんでした。
緑肉や赤肉とは違い、このパール系の肉色もとても上品で美味しそうですね。
●新芳露の主な産地と旬
◆主な産地と生産量
新芳露の主な産地は京都府京丹後市で、網野町の谷芳農園では50aの畑でシーズン中6000玉出荷されているとのこと。また久美浜町の的場農園でも作られています。
食味や香りがとてもいい品種ですが、栽培は難しく、長年の技術と勘が必要なため生産者はわずかしかいません。
◆新芳露の収穫時期と旬
新芳露の収穫時期は短く、7月中旬の1週間程です。栽培している地域が限られているため、その短い期間だけしか出回りません。また、そのほとんどが産地周辺で消費されています。
品種 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | ||||||||
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新芳露 |
< 出 典 >
※ 「メロンの新品種「ゴールドスター」「島交2号」について」島根県農業試験場研究報告第13号(1975年12月)p1-11
※ 「メロン新品種’おくに’、’おくに春Ⅰ’」島根県農業試験場研究報告第30号(1996年)p165-173