姫レモン/ヒメレモン:来歴や特徴と産地や旬

ヒメレモン,姫レモン,紅レモン

●姫レモンとは

◆姫レモンの来歴

 「ヒメレモン」と呼ばれている柑橘は中国からインドにかけて分布する「廣東レモン」”Citrus limon (L.) Osbeck”の橙色有酸品種とされ、熟すと濃い橙色に着色するのが特徴で、1919年に「台湾植物の父」とも呼ばれた植物学者、故・早田文藏氏によって「ヒメレモン」”Citrus limonelloides HAYATA”と命名されています。

 熟した時の色の濃さから「紅レモン」とも呼ばれています。

 国内に導入された時期や経緯は不明ですが、愛媛県果樹試験場岩城分場で古くから植栽されており、この岩城島内や、ここの「ヒメレモン」に着目し、穂木を持ち帰って栽培を始めた岡山県の倉敷ひらまつ農園などで作られています。

 上記の出典は「日本柑橘図譜」 (田中諭一郎著)で、倉敷ひらまつ農園さんに見せていただきました。

青切りのヒメレモン,グリーンの姫レモン

◆姫レモンの特徴

 「ヒメレモン」はゴルフボールほどの大きさでライムよりも小さく、果皮の色は未熟なうちは濃い緑色ですが、熟すにつれて黄色くなってきて、完熟すると全体に濃い橙色になります。

 9月中旬に収穫された、グリーンのヒメレモンの大きさや色合いなどが分かるようにスダチと比べてみました。

青切りのヒメレモンとスダチの比較

 スダチのサイズにもよりますが、スダチよりも少し大きく、1果重32~40gです。

青切りのヒメレモンとスダチの断面比較

 中の果肉の様子です。スダチよりも皮は薄めで果肉はレモンに近い感じで少し黄色っぽいです。

 食味はしっかりと酸味が活きていて、香りも清々しく、和洋中色々な料理に合わせられます。ただ、この状態の時点では青々しいフレッシュな香りが強く、この柑橘特有の山椒のような香りはあまり感じられません。

グリーンのヒメレモンからオレンジの完熟ヒメレモン

 そして12月中旬に収穫された完熟ものがこちら。全体にオレンジ色になっています。

ヒメレモン,姫レモン,紅レモン

 中の果肉はオレンジ色でジョウノウ膜とサジョウ膜は柔らかく果汁がたっぷりと包まれています。種は比較的多く入っています。

ヒメレモン,姫レモン,紅レモン

 ”レモン”と名についていますが、レモンほど酸味は強くなく甘みもあり、レモンとミカンを足して割ったくらいの甘味酸味です。

 果皮はレモンでもライムでもない独特の山椒のような香りがあります。

◆実際に食べてみた姫レモンの食味

 撮影・試食した「ヒメレモン」は愛媛県の岩城島産で、「わらしべ」を運営されている岡氏からいただいたものです。「わらしべ」ではヒメレモンを全国に発送されています。

ヒメレモン,姫レモン,紅レモン

 いただいたのは12月中旬で果実は全体に濃く色付いて完熟したものでした。

 驚いたのはこの独特の香りで、山椒のようないい香りがします。以外かもしれませんが実は「山椒」も植物学的にはミカン科に分類されており、山椒の発する香り成分は柑橘の成分と通じています。

 試しにまるごとかじってみましたが果皮はそのままではやはり美味しく食べられるとは言えませんが、強烈な香りが広がります。山椒のようなしびれるような味わありませんが苦みはあります。

 果肉はとてもジューシーで、香りは違いますが熟したユズくらいの酸味と甘みがあります。

 ヒメレモンの持ち味はこの適度な酸味もそうですが、何よりもこの独特の香りではないでしょうか。ジュースやカクテルはもちろんですが、いろいろな料理にも活かせそうです。

●姫レモンの主な産地と旬

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わらしべの岡氏に案内していただいた岩城島の圃場にて

◆主な産地と生産量

 「ヒメレモン」の主な産地は愛媛県の岩城島をはじめ、レモンの産地として知られる広島県などですが、大規模な商業栽培をしている産地は見当たりません。

 温暖な気候でレモン栽培に適した各地の産地で個々の農園で少量ずつ栽培されている状況だと思います。今回、ヒメレモンに関する情報をいただいた岡山県の倉敷ひらまつ農園さんもその一つです。

 「ヒメレモン」の苗木はいくつかの種苗販売会社が扱っており、だれでも入手し栽培することができます。

◆姫レモンの収穫時期と旬

 「ヒメレモン」の収穫時期は秋から初冬にかけてで、まだ緑色の状態のものは10月初旬頃から、完熟して濃い橙色に色づいたものは11月下旬頃から12月にかけて収穫されます。

旬のカレンダー

品種 9月 10月 11月 12月
姫レモン                        

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