マスカット・オブ・アレキサンドリア < ぶどうの品種

マスカット・オブ・アレキサンドリア < ぶどう

■マスカット・オブ・アレキサンドリアとは?

●「果物の女王様」とも

 日本では一般的に「マスカット」と言えばこのマスカット・オブ・アレキサンドリアを指していると言って良いでしょう。これまで様々な新しい品種が生み出される中、その容姿、風味共に非常にエレガントなブドウとして長年高級ブドウの代名詞として君臨し続けています。

 マスカット・オブ・アレキサンドリアはもともと北アフリカ原産とされ、紀元前からエジプトを中心に栽培されてきた非常に古い品種で、エジプトの王妃クレオパトラも食べていたとされています。

マスカット・オブ・アレキサンドリア < ぶどう

 名前の由来は、エジプトのアレキサンドリア港から各地へ輸出されていたことから"アレキサンドリアのマスカット"と呼ばれるようになったと考えられており、「マスカット」とは「MUSK=麝香(じゃこう)」が語源とされ、ジャコウのような香りがする、あるいは、ジャコウのように強く芳醇な香りがするブドウとして名付けられたといわれています。

 日本には明治時代に兵庫県印南新村の播州葡萄園に導入されたのが最初とされ、その後岡山県の山内善男氏と大森熊太郎氏がその苗木を持ち帰り温室栽培を成功させたとされています。

●ワインの原料にも

 マスカット・オブ・アレキサンドリアには様々な亜種が生まれ、ワインの原料にもなっています。代表的なもので言えば、イタリアワインの原料となるモスカート(Moscato)種やフランスで言うミュスカ・ブラン・ア・プティ・グラン(Muscat Blanc a Petits Grains)がこれにあたります。フランスでアレキサンドリアはミュスカ・ミュスカ・ダレクサンドリーと呼ばれています。日本でも一部でワインが造られています。

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●マスカット・オブ・アレキサンドリアの特徴

マスカット・オブ・アレキサンドリア < ぶどう

 マスカット・オブ・アレキサンドリアの果房はボリュームのある円錐形にまとめられ、やや楕円気味で大粒の果粒は美しいエメラルドグリーンの色をしています。皮は比較的薄く、そのまま食べられないことは無いかな・・・といった感じで、果肉は甘味と共に適度な酸味があり、上品な美味しさを感じることができます。最大の特徴は香りで、マスカット香と呼ばれる特有の香りが強いことです。

 国内で生食用に作られる際は、花房の時点で上部の花を取り去り、実が膨らんだときに綺麗な形と十分な大きさになるよう整形されています。これをせず、自然のままに生育させると房は縦にとても長い状態になり、実も小粒で沢山付いた状態のブドウになります。

 また、マスカット・オブ・アレキサンドリアには「紅アレキ」または「紅マスカット」と呼ばれる皮が赤い枝替わり品種もあります。

●種無しと種有り

 マスカット・オブ・アレキサンドリアはデラウエアなどのようなジベレリン処理だけでは種無し果にする事ができない品種の為、長年ずっと種有りのブドウとして定着してきました。また、生産者もマスカット・オブ・アレキサンドリアは種がある物という固定感が強く、今なお種有りのものが一般的となっています。

 ただし、種無しにする技術が開発されていないわけではなく、ストレプトマイシンとジベレリン、それにフルメットを用いた手法があり、一部種無し果も出回っているようです。

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■マスカット・オブ・アレキサンドリアの主な産地と旬

●主な産地

 マスカット・オブ・アレキサンドリアの主な産地は岡山県で、平成22年の栽培面積を見ると87haと全国の96%を占めています。次いで香川県2ha 福岡県1.3haとなっています。

 これはこの品種がもともと地中海性気候に適したブドウで、雨などに弱く露地栽培に向かないことや国内では気候や地質が合わなかったようです。それを岡山県では導入当初からガラス温室栽培に取り組み、今日まで120年に渡り品種改良・技術開発が進められて「マスカット・オブ・アレキサンドリアと言えば岡山」というブランドが築き上げられたのです。

●マスカット・オブ・アレキサンドリアの収穫時期と旬

 岡山のマスカット・オブ・アレキサンドリアは、ハウス内を加温機で温めて栽培する加温栽培と無加温栽培が行われ、早期加温栽培のものは5月下旬頃には初出荷が行われています。9月頃からは無加温栽培のものも収穫が始まり11月まで出荷されます。

 当然加温栽培のものは燃料費がかかることや希少性などもありかなり高級なブドウとして主に贈答用などにされる事が多く、一般的な食べ頃の旬はやはり無加温栽培のものが出回る9月中旬から10月となります。

マスカット・オブ・
アレキサンドリア
5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月
無加温栽培                            
加温栽培                            

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