シナノリップ:来歴や特徴と産地や旬
●シナノリップとは
◆長野県オリジナルの早生品種
「シナノリップ」は長野県果樹試験場が「千秋」に「シナノレッド」を交配して得られた実生から選抜育成した早生種のリンゴで、2015(平成27)年に登録出願、2018(平成30)年に品種登録された新しい品種です。出願までの名称は「りんご長果25」となっていました。
まだ暑い8月の中旬から下旬ごろに出荷できる上質のリンゴとして今後長野県の主要品種へとなっていくでしょう。
市場へは品種登録された2018年8月に初出荷されています。
シナノリップは長野県がオリジナル品種として開発し、苗木は長野県内のみに限定販売されています。
「シナノリップ」という名称は高温でも綺麗に赤く色づくリンゴという意味が込められているそうです。
◆シナノリップの特徴
「シナノリップ」は平均果重300gほどで球形に近いものが多く、王冠はほとんどないかあってもあまり顕著ではないとされています。
果皮は早生リンゴの割に、黄色地に全体に紫紅色に色づきやすいのが特徴となっています。
果肉は果汁が多く、糖度は14~15度に対し酸度は0.4%となっていて、甘味酸味のバランスがいい。
農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。
『-----
果実の大きさはやや大、果実の形は球形、果実の王冠の強弱は無又は弱、果実のがくの開閉は大、果皮のろう質の多少は中、
果面の粗滑は滑、果皮の地色は黄、果皮を被う色の面積は大、果皮を被う色は紫紅、果皮を被う色の濃淡は中、果皮を被う色の型は不明瞭なしま模様を伴った全面着色、梗あ周辺のさびの量は中、果実側面のさびの量は無又は小、がくあ周辺のさびの量は無又は小、果点の数は中、果点の大きさは中、スカーフスキンの多少は中、
果柄の長さは中、果柄の太さは太、梗あの深さは中、梗あの幅は中、がくあの深さは中、がくあの幅は中、
果肉の硬さは中、果肉の色は帯黄、果実の甘味は中、果実の酸味は中、果実の蜜の多少は無又は極少、
果心の形は円錐形、開花始期は早、収穫期は早である。
出願品種「シナノリップ」は、対照品種「シナノレッド」と比較して、つぼみの色が濃桃であること、幼果のアントシアニン着色の広がりが大であること、果皮の地色が黄であること等で区別性が認められる。
対照品種「つがる」と比較して、果皮を被う色の面積が大であること、果実の酸味が中であること等で区別性が認められる。
-----』
◆選ぶ時のポイント
「シナノリップ」の貯蔵性は常温で1週間ほど、冷蔵でも一月ほどと言われています。夏の終わりごろのまだ気温が高い時期に出回ることもあり、なるべく収穫されてから時間が経っていないものを選びたいですね。
しっかりと熟した「シナノリップ」はお尻の部分が写真のように黄色っぽくなっています。緑が強いものは未熟なものと思っていいでしょう。
◆実際に食べてみたシナノリップの食味
今回入手したものは8月末に百貨店で購入したものです。果重は440g前後と大きめで、一つは球形に近く、もう一つは王冠が少し出ているものを選んでみました。
果肉はしっかりとした硬さがあり、かじった時に心地よい歯触りが感じられ、果汁が滴るほど出てきました。
まず強い甘さが広がり、それを追いかけるようにしっかりとした酸味が感じられ、この時期に出回るリンゴとしてはとても美味しいと思いました。
●シナノリップの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
「シナノリップ」は長野県が開発し、県内のみで栽培が許されているオリジナル品種となっているので、産地は長野県に限定されています。
まだデビュー間もない品種なので樹も大きく育っていないということもあり、生産量はまだ少なく、2018年産でみると「JAながの」全体での生産者は50軒ほどで、出荷目標が3,000ケース(15トン)となっていました。
◆シナノリップの収穫時期と旬
「シナノリップ」の収穫時期は8月中旬~下旬で、貯蔵性は冷蔵で1か月ほどとあまりいいとは言えないので、出回る時期は短いです。
品種 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
シナノリップ |