べにこはく:来歴や特徴と産地や旬

べにこはく,りんご

●べにこはくとは

 「べにこはく」は福島県が「ほおずり」と「陽光」の交配から育成した、果皮が赤く日持ち性に優れ、甘味酸味ともに強く濃厚な味わいで、果肉に琥珀色の蜜がたくさん入るオリジナルリンゴ品種です。

◆べにこはくの来歴

 「べにこはく」は福島県農業総合センターにおいて「ほおずり」に「陽光」の花粉 を交配し、得られた実生から48の個体を定植し、その中から20年の歳月をかけ選抜育成されました。育成の過程は下記のとおりです。

1992(平成4)年 種子親を「ほおずり」、花粉親を「陽光」として人工交配。

1993(平成5)年 得られた種子を播種。

1994(平成6)年 実生48個体を定植。

2000(平成12)年 初結実。一次選抜開始。

2002(平成14)年~2005(平成17)年 

 個体番号41-45が蜜入り及び着色に優れることから保存系統とする。

2008(平成20)年 注目系統として選抜。

2009(平成21)年 「リンゴ福島6号」の系統番号を付与。

2010(平成22)年~ 現地試作開始。

2014(平成26)年 栽培特性及び普及性を調査 育成完了。

2015(平成27)年 品種登録することが決定。

2016(平成28)年 種苗法に基づき登録出願。

2018(平成30)年 品種登録完了。

べにこはく,りんご

 「べにこはく」という名称は公募により決められ、『外観が濃い紅色で、果肉には琥珀色の蜜がたくさん入ること』に因んでいます。また、ひらがな名については、『読みやすく柔らかい印象を持っていただくため』だそうです。

◆べにこはくの特徴

 「べにこはく」の果実は果実重は320~340gと「ふじ」よりやや小ぶりで、形は円錐形で王冠は無く、あってもわずかです。

べにこはく,りんご

 果皮色は全体に濃赤から暗紅色に着色し温暖な気候でも着色しやすい。

 果肉は硬く、糖度15%前後、リンゴ酸含有量は 0.5~0.7g/100mLと甘味酸味ともに強く濃厚な食味で、果心部から放射状に蜜が入りやすいのが特徴です。

べにこはくの断面,りんご

 農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

 果実の大きさは大、果実の形は円錐形、果実の王冠の強弱は無又は弱、果実のがくの開閉は中、

 果皮のろう質の多少は無又は少、果面の粗滑は滑、果皮の地色は黄緑、果皮を被う色の面積は極大、果皮を被う色は紫紅、果皮を被う色の濃淡は濃、果皮を被う色の型は不明瞭なしま模様を伴った全面着色、

 梗あ周辺のさびの量は無又は小、果実側面のさびの量は無又は小、がくあ周辺のさびの量は無又は小、果点の数は中、果点の大きさはやや小、スカーフスキンの多少は少、

 果柄の長さは中、果柄の太さは中、梗あの深さは深、梗あの幅は広、がくあの深さは中、がくあの幅は中、

 果肉の硬さはかなり硬、果肉の色は黄白、果実の甘味はやや高、果実の酸味は中、果実の蜜の多少は多、果心の形は円錐形、

 開花始期は中、収穫期はかなり晩である。

 出願品種「べにこはく」は、対照品種「ふじ」と比較して、果皮を被う色の面積が極大であること、果皮を被う色の型が不明瞭なしま模様を伴った全面着色であること、果実の酸味が中であること等で区別性が認められる。

-----』以上、抜粋。

◆実際に食べてみたべにこはくの食味

 撮影試食した「べにこはく」は12月27日に福島県の菱沼農園さんから届いた6個/2kg箱です。

べにこはくの断面,りんご べにこはくの糖度,りんご

 リンゴは324~383gで、果皮色は部分的に黄色いところがあるものの、どれもがくあ部まで赤く着色していました。

 切ってみると中にはしっかりと蜜が入っており、「べにこはく」の特徴がよく表れていました。いくつか切った感じでは、縦長の果実よりも丸い果実の方が蜜の入り方が強いようです。

 食べてみると食感は結構固く、それでいて果汁感もあり、本種の特徴らしく甘味酸味ともに強く、糖度も15%前後ありました。またそれらが活き活きとしていて収穫されたばかりであることを感じさせてくれました。

 この食感の硬さや甘酸っぱさは「ふじ」などとはタイプが違いますがとても美味しいです。

●べにこはくの主な産地と旬

べにこはく,りんご

◆主な産地と生産量

 「べにこはく」は福島県のオリジナル品種で、福島県内でのみでしか栽培することはできません。

 2018年に品種登録された新しい品種で、まだ令和元年産特産果樹生産動態等調査にも記載がなく市場に出回る数も少ないですが、今後栽培面積が広がり、一般のスーパーなどに並ぶようになることを期待します。

◆べにこはくの収穫時期と旬

 「べにこはく」は「ふじ」より遅い極晩生種で、福島県での収穫は11月中・下旬から12月上旬となっています。

 本種は貯蔵性に優れ、低温貯蔵すれば、酸味は少し減るものの、蜜の状態はかなり長く持つそうです。

 2月からの出荷・販売も可能となっています。

 ただ、まだ出荷量が少ないので、収穫時期に合わせて購入した方が良いと思います。

品種 11月 12月 1月 2月
べにこはく                        

< 出 典 >

 ※ 「りんご「べにこはく」の紹介」福島県農業振興課 平成28年11月

 ※ 「リンゴ新品種「リンゴ福島6号」の育成」福島県農業総合センター研究報告 8号 p. 29-38 2016年3月

 ※ 「着色が良く、「ふじ」の後に販売可能な新品種「べにこはく」の育成」福島県農業総合センター 普及成果情報

 ※ 「登録番号26853 べにこはく」 農林水産省品種登録データベース

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