なつおとめ:来歴や特徴と産地や旬
●なつおとめとは
◆栃木県が開発した夏秋いちご
「なつおとめ」は栃木県農業試験場いちご研究所が2005(平成17)年に、盛夏期の受精能力に優れた四季成りいちご「栃木24号」に、大果で形が良い「00-25-1」を受粉させ、そこから生まれた実生130個体の中から選抜育成された夏秋用いちご品種です。
2009(平成21)登録出願、翌2010年に出願公表と共に販売が開始され、2011年に種苗法に基づく品種登録がされています。
「なつおとめ」というの名称はケーキショップやレストランなどでの商用利用を意識し、そういったところからのアンケートをもとに『夏秋いちごの特性といちごの女性らしいイメージ』から命名されたそうです。
栃木県はオリジナル品種として冬春期の「とちおとめ」と夏秋期の本種、その他「スカイベリー」なども併せて季節を問わず1年を通していちごを供給できることになり、まさに「いちご王国“とちぎ”」となりました。
◆なつおとめの特徴
「なつおとめ」の最大の特徴は準高冷地における夏から秋にかけて収穫できるいちごであるということ。
果実の大きさは中程度で円錐形の綺麗な形にそろいやすく、果皮は全体に赤く色付き、果肉も果芯が赤く空洞もできにくいとされ、糖度は8%程度、酸度 0.8%程度で食味が良いのが特徴となっています。
農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。
『-----
果実の大きさは中、果実の縦横比は縦長、果実の形は円錐形
果皮の色は濃赤、果実の光沢の強弱は中、そう果の落ち込みは落ち込む
果実のがく片の付き方は下向き、果径に対するがく片の大きさは同等
果実の硬さは中、果肉の色は赤、果心の色は赤、果実の空洞は無又は小
季性は四季成りである。
出願品種「なつおとめ」は、対照品種「とちひとみ」と比較して、果肉の色が赤であること、果心の色が赤であること等で区別性が認められる。
対照品種「ペチカ」と比較して、草姿が立性であること、果皮の色が濃赤であること、果肉の色が赤であること等で区別性が認められる。
-----』以上、抜粋。
◆実際に食べてみた「なつおとめ」の食味
今回入手したのは7月中旬で、栃木県の那須町産のものでした。
果実は全体に濃い赤色に色づいており夏いちごにありがちな色むらはなく良く熟していました。
香りもイチゴらしい華やかな香りがしっかりとあり、切ると中まで赤く好印象です。食べてみると果肉は想像したよりも柔らかく、十分に熟してからパック詰めされたのだと思われます。
甘さは夏いちごにしては十分な甘さがあり、酸味は穏やかでとてもジューシーでした。一般的なイチゴと比べると全体に弱い感じはしますが、果肉が硬く酸味が強い傾向にあるう夏いちごの中では秀でた感じがします。
「なつおとめ」は色味や形が綺麗で、強すぎない程よい酸味もありケーキやデザートの素材としてはとても優れていると思います。
●なつおとめの主な産地と旬
◆なつおとめの主な産地
「なつおとめ」は栃木県オリジナル品種として現在のところ県内のみで栽培されています。
主な産地は県北部の日光市や大田原市から那須郡にかけての高原地帯。
「なつおとめ」は輸送性も高く、首都圏など大消費地へも出荷されています。
◆なつおとめの収穫時期と旬
いちごと言えば通常冬から春にかけて沢山出回りますが、この「なつおとめ」は2年目の株になると、通常のいちごの収穫が終わる5月頃から収穫が始められ、早いものが出始める11月頃まで続きます。ちょうど端境期が収穫時期となるため、スウィーツ業界にとってはありがたい品種となっています。
こういう品種が出てくると、それでなくともあいまいになってきているいちごの旬がさらに複雑になってしまいますね。
ちなみに。この「なつおとめ」の収穫盛期(旬)は7月中旬から11月中旬となっています。
品種 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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なつおとめ |