ハスカップ:来歴や特徴と産地や旬
●ハスカップとは
◆スイカズラ科スイカズラ属の実
ハスカップはスイカズラ科スイカズラ属に分類される和名「クロミノウグイスカグラ(黒実鶯神楽)」になる紫色のベリーです。
「ハスカップ」という名称はこの実を指すアイヌ語「ハシカオプ」に由来します。
原産地はロシアのバイカル湖周辺とする説の他、東アジアともいわれています。北海道のほぼ全域に分布するほか、サハリン(樺太)から千島列島、カムチャツカ半島、シベリア、そして中国東北部から朝鮮半島に及ぶ寒冷地に分布しています。
ハスカップはときに「不老長寿の果実」などともいわれたりしていますが、これはハスカップの加工品を売り込むために考えられたうたい文句であり、アイヌ民族にそういう言い伝えがあるわけではないそうです。
◆ハスカップの主な品種
ハスカップは在来種から選抜育成されるなど品種改良されたものがいくつかあり、現在ではそういったものが栽培出荷されています。
ゆうふつ
北海道立中央農業試験場が選抜育成した品種で1992年に登録されています。
※『果実の形は長円形、大きさは中(1.1g程度)、色は青黒、果粉の量は中、果梗の長さは中、果梗と果実の分離はやや易、果実の硬さは軟、日持ちは短、甘味は少(糖度10度程度)、酸味は少、苦みは無~極僅か、果汁の量は多である。満開期及び果実着色始期は早、成熱期は早で、育成地において6月下旬、収穫期間の長さは長である。』
ゆうしげ
2009年に勇払郡厚真町のハスカップ栽培農家、山口善紀氏によって登録された品種。
※『果実の形は銚子、果実の大きさは大、果実の色は青黒、果粉の量は中、果梗の長さは中、果梗と果実の分離は中、子房露出果実の多少は極少、果実の硬さは中、果実の日持ちは中、果肉の甘味は中、果肉の酸味は少、果肉の苦味は極少、果汁の量は多、満開期は早、果実の着色始期は早、成熟期は中、収穫期間の長さは長である。 出願品種「ゆうしげ」は、対照品種「あつまみらい」と比較して、株の姿が開張であること、果実の形が銚子であること等で区別性が認められる。 対照品種「ゆうふつ」と比較して、果実の大きさが大であること、成熟期が中であること等で区別性が認められる。』
あつまみらい
2009年に勇払郡厚真町のハスカップ栽培農家、山口善紀氏によって登録された品種。
※『果実の形は長円、果実の大きさは大、果実の色は青黒、果粉の量は中、果梗の長さは中、果梗と果実の分離は中、子房露出果実の多少は極少、果実の硬さは中、果実の日持ちは中、果肉の甘味は中、果肉の酸味はやや少、果肉の苦味は極少、果汁の量は多、満開期は早、果実の着色始期は早、成熟期は中、収穫期間の長さは長である。 出願品種「あつまみらい」は、対照品種「ゆうふつ」と比較して、果実の大きさが大であること、成熟期が中であること等で区別性が認められる。』
みえ
2012年に苫小牧市の黒畑ミヱ氏により品種登録されたもの。
※『果実の形は円、果実の大きさはかなり大、果実の色は青黒、果粉の量は中、果梗の長さは長、果梗と果実の分離は中、子房露出果実の多少は多、果実の硬さは中、果実の日持ちは中、果肉の甘味は低、果肉の酸味はやや多、果肉の苦味は極少、果汁の量は多、満開期は晩、果実の着色始期は晩、成熟期は晩、収穫期間の長さは中である。 出願品種「みえ」は、対照品種「あつまみらい」と比較して、成葉の形が短楕円であること、葉先の形が鈍であること、果実の形が円であること、子房露出果実の多少が多であること等で区別性が認められる。』
※『』農林水産省の品種登録データベースより
◆ハスカップの特徴
ハスカップの実はブルーベリーを縦長にしたような感じで、形は縦長ですが砲弾のような形のものや円筒に近い物、紡錘形のものなどばらつきがみられます。
今回入手したものは品種不明ですが、ハスカップの果実は、1~1.5cm位の大きさで、形は品種によっても他生の違いがあるほか、同じ木から穫れる実でも形にはばらつきがあります。
果皮はブルーベリーと同じような濃い青紫色で、収穫されたばかりの果実表面は白い果粉で覆われています。中の果肉は多汁で柔らかく、小さな種がいくつか入っています。
◆実際に食べてみたハスカップの食味
今回入手したものは厚真町産のものでした。札幌や千歳、厚真町辺りでは300gほど入ったパックが980円でスーパーなどに並んでいました。
生のまま食べてみると食感は少し柔らかいブルーベリーといった感じで、プチっと口の中ではじけると強い酸味が口に広がり、甘みもあります。特徴的な香りはほとんど感じられません。ブルーベリーよりも皮は薄くて柔らかく、ほとんど口に残りません。
●ハスカップの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
ハスカップは北海道のほぼ全域に自生しているようですが、中でも勇払原野が最大の群生地として知られていました。ところが開発が進み現在では部分的に残るのみとなっているようです。
現在では品種改良されたものが栽培出荷されており、平成3年のピークでは北海道全体で167haも栽培されていたそうです。ただ、その後減少に転じ減少しましたが、平成27年の時点でも97.5haで106tが収穫されています。主な産地は美唄市、厚真町、千歳市となっています。
収穫されたものの約半分が加工用に出荷されています。
◆ハスカップの収穫時期と旬
ハスカップの収穫時期は6月末頃から7月中旬頃までの約1か月間です。北海道でしか栽培出荷されていないことと、果実が柔らかく日持ちしないため青果としては遠距離物流に弱く、そのほとんどが道内で消費されています。
冷凍品は関東やそのほかの地域でも入手可能となっています。
品種 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | ||||||||
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ハスカップ |