クイーンルージュ(長果G11):来歴や特徴と産地や旬
●クイーンルージュとは
◆クイーンルージュの来歴
「クイーンルージュ」は長野県果樹試験場において2008(平成20)年に、旧ソ連原産で細長い実が特徴の「ユニコーン」に「シャインマスカット」を交配して育成した品種で、無核栽培ができ、高糖度で皮ごと食べられる食味が優れた赤いぶどうです。
2017(平成29)年に「長果G11」という品種名で種苗法に基づく登録出願、名称が一般公募され、翌2018年に出願公表、名称を「クイーンルージュ」と決定し商標登録、そして2019(平成31)年に品種登録されました。
正式な品種名は「長果G11」といい、「クイーンルージュ®」は長野県の登録商標で、このぶどうやこのぶどうを使った加工品を販売する上では商標を使うことになっています。
2021年に本格的な市場への出荷が始まったばかりの新品種で、長野県としては「ナガノパープル」や「シャインマスカット」と肩を並べる高級品種に育てたいとブランディングに力を注いでいます。
海外にむけて出荷する際の商標は「 妃紅提®」(ヒコーテイ)となっています。
◆クイーンルージュの特徴
「クイーンルージュ」の果房は400~450gの円筒形に仕立てられ、開花前のストレプトマイシン処理と2回のジベレリン処理により種無し果となっています。
果粒は12~13gの楕円形で、果皮色は紅紫から濃紫赤で、ボニートーン(大阪のこだわり青果店)さんによると色合いによって紅系と黒系があるそうで、撮影したものは黒系とのことです。
果肉は崩壊性で皮が薄く、皮ごと食べられます。糖度が22~23%と高いのに対し酸含量は0.3~0.4g/100mLで食味が良いブドウとなっています。
また、適熟果にはほのかなマスカット香があるのも特徴です。
農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。
『-----
果房の大きさは極大、果房の着粒密度は中、穂梗の長さは中、穂梗の色は淡緑、
果粒の大きさはかなり大、果粒の形1は丸卵形体、
果皮の色は濃紫赤、果粉の多少は中、果皮の厚さは薄、果皮と果肉の分離性は難、
肉質は崩壊性、果汁の甘味はかなり高、果汁の多少は多、果実の香りはマスカット、熟しょうの色は橙褐、花振るいの多少は中である。
出願品種「長果G11」は、対照品種「クイーンニーナ」と比較して、果粒の形1が丸卵形体であること、果皮の色が濃紫赤であること等で区別性が認められる。
対照品種「甲斐路」と比較して、若葉裏面の葉脈間の綿毛の密度が密であること、果皮の色が濃紫赤であること等で区別性が認められる。
-----』以上、抜粋。
◆実際に食べてみたクイーンルージュの食味
撮影試食した「クイーンルージュ」は大阪市福島区にあるボニートーンさんで購入したパック入りの物で、果粒の色が濃紫赤でした。
食べてみると皮がとても歯切れよく、パリッと果肉と共にかじれ、種もなくとても食べやすいです。甘味も強く酸味は甘味に対して少なく、とても甘く感じます。
糖度は20.9~21.8度と22度には達していませんでしたが美味しいです。今回はパックものでしたが、今後贈答向けの大きなものも試してみたいと思います。
おそらく樹がまだ若いので、これから成熟してくるとブドウの粒もより大きくなってくると思います。
●クイーンルージュの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
「クイーンルージュ」は長野県が育成したオリジナル品種として令和3年3月現在、長野県内に住所を有する者が誓約・契約書の締結により長野県内においてのみ栽培可能となっています。
デビューしたばかりなので、令和元年の長野県における栽培面積は76haとなっていますが、これからどんどん増えていくでしょう。
◆クイーンルージュの収穫時期と旬
「クイーンルージュ」の成熟期は育成地(長野県須坂市)では9月下旬頃となっています。
収穫と出荷は9月中旬から始まり、10月中旬まで続きます。
品種 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | ||||||||
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クイーンルージュ |
< 出 典 >
※ オリジナル品種開発「長果G11(クイーンルージュ®)」長野県農業関係試験場ホームページ
※ 「クイーンルージュ®(長果G11)について」 JA中野 花むすび 2018.10月 P.4
※ 品種登録データベース 農林水産省ホームページ