シナノホッペ:来歴や特徴と産地や旬
●シナノホッペとは
◆シナノホッペの来歴
シナノホッペは長野県果樹試験場において1987(昭和62)年に「あかね」に「ふじ」を交配して得た実生から選抜、育成されたリンゴで、2011(平成23)年に登録出願、2013(平成25)年に品種登録されています。
長野県オリジナル品種としては最も新しい品種で、濃赤色で甘く、今後期待されている品種です。
◆シナノホッペの特徴
シナノホッペの果実の形は扁円形で大きさは300g程。果皮の色は全体に赤く色づきやすく、環境によって赤黒く感じるほどほく色づきます。
果肉は硬めで、糖度は15~16度程まで上がり酸度は0.3~0.4度と低いため甘味が強く感じられるタイプです。また、フジと同じように蜜が入ることも多いのが特徴となっています。
農林水産省の品種登録データには以下のように記載されています。(画像は当サイトで撮影したもの)
『-----
果実の大きさは大、果実の形は円錐形、果実の王冠の強弱は無又は弱、果実のがくの開閉は小、果皮のろう質の多少は中、
果面の粗滑は中、果皮の地色は黄緑、果皮を被う色の面積は極大、果皮を被う色は紫紅、果皮を被う色の濃淡は濃、果皮を被う色の型は不明瞭なしま模様を伴った全面着色、梗あ周辺のさびの量は無又は小、果実側面のさびの量は無又は小、がくあ周辺のさびの量は無又は小、果点の数は中、果点の大きさは大、スカーフスキンの多少は少、
果柄の長さは長、果柄の太さは太、梗あの深さは深、梗あの幅は広、がくあの深さは中、がくあの幅は中、
果肉の硬さはかなり硬、果肉の色は黄白、果実の甘味は高、果実の酸味は低、果実の蜜の多少は多、果心の形は平円形、開花始期は中、収穫期は晩、普通貯蔵の貯蔵性はやや長、冷蔵貯蔵の貯蔵性はやや長である。
出願品種「シナノホッペ」は、対照品種「ふじ」と比較して、果皮を被う色の面積が極大であること、果皮を被う色の型が不明瞭なしま模様を伴った全面着色であること等で区別性が認められる。
対照品種「スターキングデリシャス」と比較して、果実の形が円錐形であること、果皮を被う色の面積が極大であること、果肉の硬さがかなり硬であること等で区別性が認められる。
-----』以上、抜粋。
◆実際に食べてみたシナノホッペの食味
今回入手したのは1月中旬で長野県産のものです。
外見は写真の通り一部を除き全体に赤く色づいていました。残念ながら今回入手したものには蜜が入っていませんでしたが、食感はやや硬めで香りが良く、予想していたよりは酸味もしっかりとあり、甘みと酸味のバランスもとてもいい感じで個人的にはとても美味しいリンゴだと感じました。
昨今甘さばかり求められているような風潮がありますが、個人的にはリンゴは特有の香りの強さと、甘味に対してそれを支える酸味がしっかりあってこそ美味しいと考えています。
●シナノホッペの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
シナノホッペは長野県オリジナル品種なので、現在は長野県でのみ栽培されています。2019年に撮影試食した時点ではまだ記録がありませんでしたが、平成30年産特産果樹生産動態等調査によると長野県の栽培面積は3haとなっています。
◆シナノホッペの収穫時期と旬
シナノホッペは晩生種で、成熟期は育成地である長野県須坂市で10月下旬から11月上旬とされています。沢山出回るのは11月中旬から1月頃にかけてで、その時期が旬といえます。
品種 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | ||||||||
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シナノホッペ |