千雪(ちゆき)/あおり27:旬と産地、選び方と保存方法、食べ方と栄養価、種類と特徴
●千雪(ちゆき)とは
◆千雪(ちゆき)の来歴
「千雪」は1983(昭和58)年に青森県りんご試験場(現青森県農林総合研究センターりんご試験場、黒石市)のほ場において、「金星」に「マヘ7」を交配し、その実生の中から選抜育成された皮が赤いリンゴで、正式な品種名は「あおり27」といいます。「千雪」という名称は青森県によってつけられた商標名で、表皮の果点が大きく沢山あり、雪が降っているように見えることから名付けられたそうです。
2006(平成18)年に登録出願され、2008(平成20)年に品種登録されています。
「あおり27」は交配から登録まで実に20数年かけて生み出された青森県としては期待のリンゴだったのですが、なんと品種登録にかかる手数料が支払われなかったために登録された日をもって育成者権が消滅してしまっています。
ちなみに。交配親の「マヘ7」という品種は、「印度」×「ゴールデンデリシャス」から生まれたものに、さらに「レッドゴールド」を掛け合わせた品種となっています。
◆実際に食べてみた千雪(ちゆき)の食味
大きさは250~350gで、偏円から球形に近い形をしています。果皮は全体に赤く色付きやすく、表面には全体にはっきりとした果点が沢山ついていて、これが雪が降っているように見えることから名称の由来にもなっています。
今回入手したものは青森県産で、230~260gのやや小ぶりのものでした。
果肉は薄いクリーム色で、固めでしっかりとした歯触りがあり、酸味が少なく甘味が強く感じられます。香りがいいのもポイントです。
果肉が変色しにくいというのもこのリンゴの大きな特徴の一つです。単に切った切り口も、数時間おいていてもあまり変色しないばかりか、おろし金ですりおろしても「ふじ」などのように茶色くならず、綺麗なまま長時間保存することができます。
お菓子のトッピングやサラダなどに使う上で非常にありがたい特徴と言えます。
◆品種登録データベースによる解説
農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。
『- - - - - -
果形は扁円、王冠及びがくの開閉は中、がくあの深さはやや浅、幅は広、こうあの深さは中、幅は広、果実の大きさは中、
果皮の地色は黄緑、被う色は紫紅、被う色の濃さは濃、色の型は極少、さびの位置はこうあ、量は少、さび状果点は有、果点の大きさは大、密度は高、スカーフスキン及び果皮のろう質は少、粗滑の程度は中である。
果梗の長さはやや長、太さは中、肉こうの有無は有である。
果心の形は広楕円、大きさは小、果肉の色は黄白、果肉の褐変化は極弱、硬さは硬、肉質は粗、蜜の多少は極少、甘味は高、酸味及び渋味は弱、香気及び果汁の多少は多、種子の形は倒卵、大きさは小である。
発芽期及び開花期はやや早、成熟期は中で育成地においては10月中旬である。結果の早晩は早、後期落果は極少、普通貯蔵及び冷蔵貯蔵はやや長、心かびの発生は中である。
「あおり13」と比較して、果実が小さいこと、蜜が少ないこと等で、「ジョナゴールド」と比較して、果皮を被う色が紫紅であること、果点が大きいこと等で区別性が認められる。
-----』以上、抜粋。
●千雪(ちゆき)の主な産地と旬
◆主な産地と生産量
主な産地は青森県で、政府がまとめた平成29年産特産果樹生産動態等調査によると、全国でも記録があるのは青森県だけで、栽培面積は16.8haとなっています。ただ、このリンゴは果肉が変色しにくいという有利な特性があるため、今後需要が見込めるのではと青森県では栽培を進める方向にあるようです。
◆千雪(ちゆき)の収穫時期と旬
産地の青森県での収穫時期は10月中旬から下旬にかけてで、収穫後普通冷蔵での貯蔵はあまり長くなく2か月ほどとなっているので、出回るのは10月中旬から年内位までとなります。
農研機構の研究では、CA貯蔵法を用いることによって、いい状態で約5か月間に貯蔵期間が伸ばせるとされています。
旬のカレンダー | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | ||||||||
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千雪(ちゆき) |