ブラムリーズ・シードリング(Bramley's Seedling):来歴や特徴と産地や旬
●ブラムリーとは
◆ブラムリーの来歴
「ブラムリー」はイギリス・ノッティンガム州サウスウェルで1809年にメアリー・アン・ブレイルズフォード-トランプ(Mary Ann Brailsford-Trump)さんが植えた種から育ったと伝えられています。
その後1846年に地元の肉屋、マシュー・ブラムリー(Matthew Bramley)がこのリンゴの木も含む土地を買いました。更に年月が過ぎ、このリンゴを売りたいという者が出たことから、それなら自身の名をつけるよう主張したことから現在の名称になったそうです。正式には「ブラムリーズ・シードリング(Bramley's Seedling)」と言います。
今から200年以上前に生まれたリンゴの伝統品種という事になりますが、現在でもイギリスではリンゴの主要品種として栽培され続けており、日本へも明治時代に導入されたのですが、当時は一般に受け入れられませんでした。
それからずいぶん年月が過ぎ、近年になってこのリンゴに注目する者が現れ、1990年に長野県小布施町で商業栽培されるようになりました。
◆ブラムリーの特徴
ブラムリーの果実は果重300~400gとやや大きく、形は偏平で果皮色は黄緑色をしており、日光に当たっている面は赤く色付きます。
表皮は滑らかで果点は目立たず果梗部に少しサビが出るものがあり、収穫されてから室温に長く置いておくと表面にワックス成分が出て少しべたつくようになります。
果肉は白っぽくち密で硬く、生のまま食べると強い酸味や渋みがありますが加熱調理すると果肉が柔らかくなるため、調理用リンゴ=クッキングアップルとして扱われています。
ジャムやパイなどの加熱調理の他、酸味を活かしたジュースや、ミキサーにかけてピューレ状にし、シャーベットやムースなどにしてもいいでしょう。
◆実際に食べてみたブラムリーの食味
今回入手したものは岩手県産のもので果重400g前後もある大きなものでした。果皮は全体に黄緑色で美しく、扁平な形が印象的です。
生のままかじってみるとやはりまず初めに強い酸味が口いっぱいに広がり、続いてしっかりとした甘みも追いついてきました。後口に少し渋みが感じられます。生食は美味しく無くて食べられない・・・という事は全然ないです。このままでも酸味が効いたリンゴとしてそれなりに楽しむことはできます。
●ブラムリーを加熱調理してみました
◆キャラメリゼ
皮を剥き、串切りにしてバターで両面軽くソテーしてからグラニュー糖を加えキャラメリゼにしてみたところ、果肉がとても柔らかくなり、いくつか煮崩れてしまいました。
崩れないようそっと裏返して何とか形が残せたものも、食べた時の食感はほとんどジャムのような感じになりました。
味的には酸味がしっかりとあるので、砂糖をたっぷりと加えても甘酸っぱいいバランスが取れていい感じです。香りもいいです。
ただ、パイのフィリングに食感を残したい場合には柔らかくなりすぎるかも…
◆ブラムリーのジャム
果肉を細かめに切り、皮は更に細く細かく刻んで、リンゴに対し半分量のグラニュー糖をまぶして煮てみました。
すると煮始めてすぐに果肉から果汁がたっぷりと染み出し、果肉はふわふわの状態に柔らかくなりあっという間に崩れてしまいました。あとは程よく煮詰めるだけでジャムになりました。これほどジャムにしやすいリンゴは初めてです。
ジャム状に煮るのに時間がかからないため、色的にも綺麗に仕上がり、あじも甘酸っぱくとても美味しいジャムが出来ました。
◆ブラムリーを使った料理をレシピサイトで探す
主な料理レシピサイトのブラムリーを使ったレシピのページにリンクしています。参考にされると良いでしょう。
クックパッド | レシピブログ | 楽天レシピ |
●ブラムリーの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
ブラムリーはイギリスで作られてきたリンゴで、現在もイギリスでは主要品種の一つです。その他の国ではアメリカやアイルランドなどでつくられています。
国内では長野県のほか、北海道や岩手県でも栽培されています。調理用リンゴという事で一般にはまだまだ馴染みがないこともあり生産量は多くはありません。
◆ブラムリーの収穫時期と旬
ブラムリーの収穫時期は産地にもよりますが、長野県では8月下旬から9月初旬にかけてのようです。北に行くほど遅く、今回入手した岩手県では10月に入ってからでした。
品種 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | ||||||||
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ブラムリー |