はつ恋ぐりん(あおり24):来歴や特徴と産地や旬

はつ恋ぐりん、あおり24、青りんご、リンゴ

●はつ恋ぐりんとは

◆はつ恋ぐりんの来歴

 「はつ恋ぐりん」は地方独立行政法人青森県産業技術センターが1983(昭和58)年に、オーストラリア生まれの青りんご「グラニースミス」に「レイ8(「東光」×「紅玉」)」の花粉を交配し育成、2004(平成16)年に「青り24号」として二次選抜され、2011(平成23)年品種登録出願、2013(平成25)年に品種登録されたリンゴで、正式な品種名は「あおり24」です。

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 「あおり24」は果皮が黄緑色で果肉の硬さと強い酸味が持ち味の青りんごで、「はつ恋ぐりん」という名称は2014(平成26)年に唯一このリンゴを栽培できる会員制クラブ「はつ恋ぐりんの会」によって登録された商標です。

 この「はつ恋ぐりん」という名称は、このリンゴがとても甘酸っぱいことと、「初恋の想い出」が「甘酸っぱい」というところに掛けているそうです。”はつ”と”ぐりん”がひらがなになっているところが可愛らしい印象を与えていますね。

 「あおり24」は青森県のオリジナル品種として青森県内でのみ栽培が許諾されていますが、県内であっても「はつ恋ぐりんの会」に入会しなければ苗木の入手もできません。

◆はつ恋ぐりんの特徴

 「はつ恋ぐりん」は、果重300gほどで果形は丸みがあり、果皮色は黄緑色の地色に部分的に緑が混じり、果点も目立たずサビもないため外見がとても綺麗です。完熟を過ぎると太陽に当たっている面が黄色く色付いてくるようです。また、斑点性障害やえくぼのようなくぼみが出やすいようです。

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 果肉は硬く、酸味が0.8g/100mLと強く酸っぱいリンゴですが、糖度も15度前後になり甘みもしっかりとあるため濃厚な味わいとなっています。

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 地方独立行政法人青森県産業技術センターりんご研究所の資料には「あおり24」の特徴として以下のように紹介されています。

 ▶食味は、果肉が硬く、果汁が多く、酸味は強いものの 独特の風味がある濃厚な味

 ▶煮崩れし易いのでジャムやソースに向く ジュースは酸味とコクがあり、酎ハイ等にも好評

 ▶貯蔵性は、普通冷蔵で3か月程度

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 農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

 『-----

 果実の大きさは中、果実の形は球形、果実の王冠の強弱は無又は弱、果実のがくの開閉は小、

 果皮のろう質の多少は中、果面の粗滑は滑、果皮の地色は黄緑、果皮を被う色の面積は無又は極小、梗あ周辺のさびの量は無又は小、果実側面のさびの量は無又は小、がくあ周辺のさびの量は無又は小、果点の数は少、果点の大きさは小、スカーフスキンの多少は無、

 果柄の長さは短、果柄の太さはやや太、梗あの深さは浅、梗あの幅は中、がくあの深さはやや浅、がくあの幅は狭、

 果肉の硬さは硬、果肉の色は帯黄、果実の甘味は中、果実の酸味はやや高、果実の蜜の多少は無又は極少、果心の形は円錐形、

 開花始期は早、収穫期はやや晩、普通貯蔵の貯蔵性は長、冷蔵貯蔵の貯蔵性は長である。

 出願品種「あおり24」は、対照品種「王林」と比較して、果実の形が球形であること、果面の粗滑が滑であること、果点の大きさが小であること等で区別性が認められる。

 対照品種「シナノゴールド」と比較して、果実の形が球形であること、果皮の地色が黄緑であること等で区別性が認められる。

 -----』以上、抜粋。

◆実際に食べてみたはつ恋ぐりんの食味

 今回入手したものは、10月20日に青森県の(株)AT farm 木村りんご園さんに送っていただいたもので、収穫されたばかりのものです。今回、当サイトの撮影用に障害のない綺麗なものばかりを詰めてくださいました。

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 果重は360gほどで黄緑色に緑の縞が入り、どれもとても美しい色合いでしかも艶があります。

 果肉はしっかりとした硬さがあり、噛むとシャキシャキとした食感で果汁もたっぷり染み出てきます。

 はじめに酸味が口いっぱいに広がり、すっぱっ!と思った次の瞬間強い甘みが追いかけてきて味の厚みが感じられました。

●はつ恋ぐりんの美味しい食べ方

◆生食で皮の色合いを活かす

 「はつ恋ぐりん」は酸味が強いリンゴではありますが甘味も強く、生で食べてもとても美味しいです。また、皮の色合いがとても美しいリンゴなので、この色を活かした盛り付けも考えたいところです。

◆ジュース

 果肉は硬いにもかかわらず果汁はたっぷりと含んでいて、甘酸っぱいジュースが絞れます。

 ジュースとして飲むほか、カクテルや酎ハイに使うのもお勧めです。

◆加熱調理に

 りんご研究所の資料には『煮崩れし易い』と紹介されてはいますが、収穫されてからあまり日にちが経っていないものは果肉がしっかりとしており、加熱調理しても煮崩れせずいい感じに仕上がりました。実際にキャラメリゼやジャムを作ってみた時の様子を動画にしているのでご覧ください。

 ソテーしてグラニュー糖を振り、キャラメリゼした感じがこちら。角がつぶれずきれいな形を保てています。食感的には柔らかく、ゴリゴリした感じは全く残っていません。

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 細かく刻んで煮た方も果肉が煮崩れしにくく、ドロッとしたジャム状にはならず、木べらで潰しながら煮てもこの感じです。

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 この感じであれば木べらで潰さなければシュトゥルーデルやパイのアップルフィリングにもちょうどいい感じです。

 ただ、1~2か月貯蔵された状態では果肉の硬さが変わってくるのかもしれません。

●はつ恋ぐりんの主な産地と旬

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◆主な産地と生産量

 「はつ恋ぐりん(あおり24)」は青森県のオリジナル品種で、青森県内の「はつ恋ぐりんの会」会員のみに栽培が許諾されています。

 まだ品種登録されて年数がたっていないことと、酸味が強いリンゴで一般向きではないこともあり生産者は限られており生産量も少なく、現在のところ産地でなければ一般のスーパーでお目にかかることはほぼないでしょう。

◆はつ恋ぐりんの収穫時期と旬

 「はつ恋ぐりん(あおり24)」の収穫は10月中下旬となっています。

 貯蔵性は、普通冷蔵で3か月程度ということなので1月中旬ごろまで美味しく食べられるという事になります。ただ、生産量も少なく、早い時期に市場からは無くなると思います。

旬のカレンダー

品種 10月 11月 12月 1月
はつ恋ぐりん                        

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