春明21(あおり21):来歴や特徴と産地や旬

春明21,あおり21,しゅんめい,りんご

●春明21(あおり21)とは

◆春明21(あおり21)の来歴

 「春明(しゅんめい)21」は青森県りんご試験場(現・地方独立行政法人青森県産業技術センターりんご研究所)において1984(昭和59)年に「ふじ(「国光」×「デリシャス」)」に「レイ8(「東光」×「紅玉」)」を交配して得られた実生から育成され、1997(平成9)年に一時選抜、2004(平成16)年に二次選抜され2006(平成18)年に種苗法に基づき青森県によって「あおり21」として登録出願、2008(平成20)年に品種登録されました。

 交配から登録まで実に20数年かけて生み出された青森県としては期待のリンゴだったのですが、なんと品種登録にかかる手数料が支払われなかったために登録された日をもって育成者権が消滅してしまっています。

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 とはいえ、本種は貯蔵性が高い有望な品種であることに変わりはなく、2010(平成22)年に青森県が「春明21」という名称で商標登録しています。

◆春明21(あおり21)の特徴

 「春明21」は果重300~400gで、果形はわずかに縦に長い長円形です。

 果皮色は黄色の地色に、縞状に赤く着色していき、外見的には「ふじ」とそっくりです。

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 今回撮影したリンゴは青森県の(株)AT farm 木村りんご園さんに送っていただいたもので、通常は貯蔵後、春に出荷されるところを、当サイト用に収穫されたばかりのものを送ってくださいました。

 全体に綺麗に着色しているものと、あえて縞が顕著なもの、そしてこうあにはっきりとサビが出ているものを分かりやすく配置して送ってくださいました。

 上の写真の右のものが縞が顕著でこうあにサビがあるものです。 

 果肉は黄白色で緻密。収穫したばかりのものは非常に硬く、酸味甘味ともに強く日持ち性に優れたリンゴとなっています。

 蜜はあまり入らないようですが、今回送っていただいたものは写真のように少し蜜が入っていました。

 貯蔵性が非常に高いリンゴではありますが、木村りんご園さん曰く、『貯蔵することにより果肉は粉質化しやすく、つる元の果肉から茶色に変色してくることから、有袋ふじほど貯蔵性に優れるとはいえない』とのことです。

 また、蜜入りにすることはできますが、蜜入りにすると貯蔵性が悪くなるため入る前に収穫する農園もあるようです。

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 農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

 果形は長円、王冠は弱、がくの開閉は閉、がくあの深さはやや浅、幅及びこうあの深さは中、幅は広、果実の大きさは大、

 果皮の地色は黄、被う色は赤、被う色の濃さ及び色の型は中、さびの位置はこうあ、量は中、さび状果点は無、果点の大きさは中、密度は低、スカーフスキンは中、果皮のろう質は少、粗滑の程度は滑である。

 果梗の長さは長、太さは太、肉こうの有無は無である。

 果心の形は広楕円、大きさは中、

 果肉の色は黄白、果肉の褐変化は強、硬さは極硬、肉質は密、蜜の多少は少、甘味は高、酸味は強、渋味は弱、香気は少、果汁の多少はやや多、種子の形は倒卵、大きさは小である。

 発芽期及び開花期は中、成熟期は晩で育成地においては10月下旬である。

 結果の早晩は中、後期落果は極少、普通貯蔵及び冷蔵貯蔵は極長、心かびの発生は極少である。

 「ふじ」と比較して、果肉が硬いこと、蜜が少ないこと等で区別性が認められる。

-----』以上、抜粋。

◆実際に食べてみた春明21(あおり21)の食味

 今回入手したリンゴは青森県の(株)AT farm 木村りんご園さんで11月中旬に収穫されたばかりのものです。

 果皮色は全体に一様に赤く色づいているものは中に放射状の蜜が少し入っていました。糖度を量ってみると14.1度でした。

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 届いて数日中にいくつか食べてみたところ、果肉は食べてみると特徴に『硬さは極硬』とあるようにとても固く、切った角の部分が口内に当たって噛みにくい位でした。そしてまずは強い酸味が広がり酸っぱさが第一印象に。でもその次に強い甘みが舌を包み込んできます。

 一月ほど冷蔵庫で貯蔵してからまた試食してみることにします。

◆3か月後に食べてみた春明21(あおり21)の食味

 先の試食後、密封袋に4玉を入れ、約3か月あまり家庭用冷蔵庫で貯蔵しておいたものを試食してみました。

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 外見的にはほとんど変化は見られず、とても綺麗な状態で、触った感じもしっかりとしています。半分に切ってみると要所見られた蜜入りの状態ではなく、果実全体に散っているようでした。

 食べてみると、11月に食べた時ほどの硬さではありませんが、それでもまだ普通のリンゴよりも硬く感じます。

 果汁もしっかりとあり、とても強い甘みが口に広がり、続いてしっかりとした酸味が甘味を支えるように広がる感じで穫れも美味しいリンゴになっていました。家庭でもこれだけ貯蔵できることに驚きを感じました。

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 糖度を計ってみると以前より更にあがっていて15.7度もありました。

●春明21(あおり21)の主な産地と旬

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◆主な産地と生産量

 「春明21(あおり21)」は本来青森県のオリジナル品種として育成された品種なので、主な産地は青森県です。

 ただ、育成者権が消滅してしまっているので、他の産地でも栽培することができる状態にあります。

 農林水産省がまとめた平成29年産特産果樹生産動態等調査では青森県で25.8haで作られていると記録されています。

◆春明21(あおり21)の収穫時期と旬

  「春明21(あおり21)」は晩生種で青森県において10月下旬に成熟するとあります。

 収穫はその年の天候に左右されますが、10月末から始まり11月中旬にかけてとなります。

 ただ、収穫してすぐは果肉が強烈に硬くまた酸味も強いためこのリンゴ本来の良さが味わえる状態ではありません。

 食べごろは貯蔵され、果肉の硬さと酸味が落ち着く3月から6月ごろまでとされています。

旬のカレンダー

品種 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
春明21(あおり21)                     収穫   

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