アニーエリザベス(Annie Elizabeth):来歴や特徴と産地や旬
●アニーエリザベスとは
◆アニーエリザベスの来歴
「アニーエリザベス」は1855年にイギリスで発見され、現在も昔ながらのクッキングアップル(調理用リンゴ)として親しまれている”Annie Elizabeth”という品種です。
本種は”Blenheim Orange”(ブレナム オレンジ)という1740年にブレナム宮殿で発見されたリンゴ品種の偶発実生として1855年にSamuel Greatorex(サミュエル・グレイトレックス)氏によって発見され、その後ハリソン&サン というナーセリーによって商業的に栽培され広まりました。
アニーエリザベス(Annie Elizabeth)という名称はこの苗木会社のトーマス・ハリソン氏の 2 人の娘の名前に由来すると言う説と、サミュエル・グレイトレックス氏が1866 年に生後 13 か月で悲劇的な死を遂げた赤ん坊の娘にちなんで名付けられたとする説があります。
本種はイギリスでは”Carter’s Seedling”(カーターズ・シードリング)や”The George”(ザ・ジョージ)とも呼ばれています。
1868年に英国王立園芸協会から一級証明書を受け取り、1930年代まで広く栽培されていたそうです。
◆アニーエリザベスの特徴
アニーエリザベスの果実は200~300gで果形はやや扁平な球形のものが多く、王冠は控えめですができやすいようです。
果皮色は全体に赤く着色していますが、本場のイギリスでは主に調理用という事もありここまで着色する前に収穫され、部分的に黄緑色が残る程度のものが多くみられます。
果肉はやや黄色が強い黄白色で肉質は硬く、甘さと共に酸味も強いリンゴです。香りも強めで加熱調理しても煮崩れしにくく、甘味と共にしっかりとした酸味があるので調理用リンゴとして優れた特性を持っています。
◆実際に食べてみたアニーエリザベスの食味
撮影したアニーエリザベスは11月下旬に届いた岩手県産のものです。果重は250~300gあり、果皮色はかなり濃いめの赤で、がくあまでしっかりと着色していました。
生のまま食べてみると食感は「紅玉」よりも硬いかもと思う感じです。果汁感は弱いですが甘味が思いのほか強く、活き活きとした酸味と相まって濃厚な甘酸っぱさとなって口に広がり、これはこれで美味しいリンゴだと思いました。計った糖度は16%ありました。
試しに、串切りにしたアニーエリザベスをキャラメルソテーにしてみました。
フライパンにバターを入れて加熱し、その中でリンゴをソテーしていきます。ある程度火が通ってきたらグラニュー糖(あればバニラシュガー)を加えキャラメリゼしていきます。ソテーしている間も、キャラメリゼしている間もリンゴは崩れることなくしっかりしているので裏返したりフライパンをあおったりしやすいです。
出来上がったものを食べてみるとリンゴそのものの甘みに加えた砂糖の甘味がリンゴの酸味を絶妙のバランスで包み込み、リンゴらしい香りもあってとても美味しいです。タルトタタンにもぴったりだと思います。
●アニーエリザベスの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
アニーエリザベスは主にイギリスで作られてきたリンゴで、国内で栽培している生産者がどれくらいいるのかは不明ですが、ネット販売されているものはどれも岩手県産のものしかなく、今回取り寄せたものもその一つです。
◆アニーエリザベスの収穫時期と旬
アニーエリザベスの収穫時期は11月中旬頃のようです。貯蔵性は収穫時の熟度にもよると思いますが、冷蔵で3~4か月はもつようです。
食べ頃の旬は11月中旬から2月頃までですが、とにかく生産者が少なく、出回る数が少ないので12月上旬頃までしか手に入らないと思います。
品種 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
アニーエリザベス |
< 出 典 >
※ 「Annie Elizabeth」Pomiferous(world's most extensive apples (pommes) database.)
※ 「Annie Elizabeth」National Fruit Collection(One of the largest fruit collections in the world)