スイートスプリング:来歴や特徴と主な産地と旬
■スイートスプリングとは?
●「上田温州」×「はっさく」で生まれたタンゼロの一種
スイートスプリングは静岡県の農林水産省果樹試験場興津支場(現果樹研究所カンキツ研究興津拠点)において、1947(昭和22)年に「上田温州」に「はっさく」を交配し生まれた実生から胚分離培養して選抜・育成されたタンゼロの一種です。
胚分離培養とは分かりやすく言えば、一般的に種が異なる者同士を交配しても、胚は成長できず死んでしまいます。これを、胚が生きている間に取り出して培養し育てる方法です。
●スイートスプリングの特徴
農林水産省の品種登録データベースには下記の通り記載されています。
『果形は扁円(果形指数122程度)、果面ははっさくより粗い。果皮の色は橙黄色ではっさくに近いが、時として緑色の抜けが悪いことがある。果皮の厚さは約4mmで、質は丈夫で硬く、しまりが良く、はく皮はやや困難である。じょうのう膜はやや硬い。果肉の色は橙色で、はっさくより濃いが、温州みかんよりは淡い。肉質はやや硬いが、果汁は多い。果汁の糖度計示度は12~13%で高く、酸含量は0.8%程度でやや少なく、苦味はない。種子の数は少なく、受粉樹の有無により多少ふれるが、1果当たり6個程度で、単胚である。単為結果するが、その性質は弱い。』
●実際に食べてみた食味
今回入手したものは11月初旬に熊本県の直売所で購入したもので、表皮はまだ青々としているものでした。触った感じは皮の表面が荒く、固くてごつい印象を受けます。
皮は手で剥きにくく、ナイフを使わないと綺麗に剥くことができません。果肉は締りがあり中心部にも空洞はなく詰まった感じで、サジョウもしっかりとしていました。ジョウノウ膜はやや固めなので、剥いて中のサジョウだけを食べる方がよさそうです。
食べると見た目とは裏腹で酸味は少なく、甘さが前面に感じられます。どちらかと言えば八朔に近い感じですが八朔よりもジューシーです。甘さも上品で美味しい柑橘でした。
また、今回入手したものは種が入っていませんでした。
■スイートスプリングの主な産地と旬
●主な産地と生産量
スイートスプリングは全国で約64haでつくられ、収穫量は700tあまりと、多くはなく、その多くが地元消費され一般市場にはほとんど出回っていません。政府がまとめた平成23年産の生産量を見ると熊本県が180tで最も多く、次いで鹿児島県137t、香川県119tとなっています。
●スイートスプリングの収穫時期と旬
収穫は11月初旬頃から始まり年明け1月頃まで続きます。食べ頃の旬は11月下旬頃から2月となります。
旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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スイートスプリング |