スルガエレガント/するが甘夏:来歴や特徴と産地と旬
●スルガエレガントの来歴と特徴
◆スルガエレガントの来歴
「スルガエレガント」は「文担」と「川野夏橙」の交雑によって生まれた早生品種アマナツで、地元で「するが甘夏」という名称で作られてきたものをJA静岡市(静岡市農業協同組合)が1981(昭和56)年に「スルガエレガント」という名称で商標登録し、販売に力を入れているみかんです。
名前は『果皮はなめらかで「さわやかな甘さとまろやかな香り」が調和して、とてもエレガントなことから、スルガエレガントと命名されました。』とのこと。(静岡県ホームページより)
もともとのルーツを2017年に静岡県の果樹研究センターやJA静岡市に問い合わせてみましたが、当時、現在では詳しいことはわからないとのことでした。
JA静岡市のホームページでは『1970年、文旦(ぶんたん)と甘夏を交配してできた甘夏』と紹介されています。また一説では、『昭和25年ごろに生まれ、味がいいことから広まり、その中から昭和33年に静岡市の杉山辰夫氏が選抜し育成した』と紹介されていたり、『昭和33年に静岡市の杉山辰夫氏が選抜した川野夏ダイダイの珠心胚実生』という解説もみられます。
2022年4月にJA静岡市より当内容に関するご指摘や情報を頂き、いくつか訂正及び追記をさせていただきました。その中で、頂いた「するが甘夏」の来歴に関する資料には以下の通り記載されていました。
『昭和33年静岡市の杉山辰雄氏が種無し甘夏を作ろうとして、コルヒチン処理をした谷川文旦と川野夏橙を交配した。得られた種を翌年播種し、昭和36年に10系統を選抜しカラタチ台に接木。昭和43年から結実し、それらの中から特に優れていたものに「するが甘夏」と命名し、昭和50年から県柑橘試験場で果実分析を行った。』※1
現在JA静岡市では「スルガエレガント」は「文担」と「川野夏橙」を交配させてできた甘夏としています。
◆スルガエレガントの特徴
スルガエレガントの大きさは一般的な「川野夏橙」と同じくらいで、外見はよく似ています。今回のものは2Lサイズで一つ400g前後でした。
皮はやはり手で剥くなら、ナイフなどで切り込みを入れてからでないと難しいです。
中のジョウノウ膜はアマナツらしい厚みがあるタイプで、それをむくと中から艶のあるサジョウが出てきます。
スルガエレガントの果肉を食べると、酸味が丸い感じで角が無く、さっぱりとした甘味が口に広がり、いくつでも食べられそうな美味しさでした。ただ、今回入手したのは5月2日で、シーズンの終わりごろだったこともあり、果肉はやや水分が抜けた感じのものが多かったのが残念です。
JAしみずのホームページでは『甘夏よりも糖度が高く、酸味が少ないのが特徴。さわやかな甘味とまろやかな香りで、生食のほか、マーマレードやオレンジピールにもおすすめ。』と紹介されています。
●スルガエレガントの主な産地と旬
◆主な産地と生産量
スルガエレガントはJA静岡市の登録商標で、静岡県内で栽培出荷されています。主な産地はJA静岡市をはじめJAしみず管内でJA静岡市の出荷量は年間800トンほどとなっています。
◆スルガエレガントの収穫時期と旬
他の柑橘と同じように秋に実を付けますが、その時点では酸味が強いので、そのまま木に成らせたまま春まで木で熟させ、酸味が抜けたのを確かめて収穫出荷されています。
収穫は1月中下旬より始まり2月下旬頃までで、食べ頃の旬は3月上旬から4月中旬頃までとなります。
品種 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | ||||||||
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スルガエレガント |
< 謝 辞 >
当サイトに記載していた内容に関し、誤った内容のご指摘、及びより詳しい情報や資料をお送りくださったJA静岡市営農経済営農課の方に深く感謝いたします。
< 出 典 >
※1 「するが甘夏(商標登録 スルガ エレガント)」静岡市特産振興協議会 昭和52年9月20日
※ 「果物の大図鑑」株式会社マイナビ出版
※ 「スルガエレガント、一斉販売開始-じまん市」JA静岡市 おしらせ 2017.03.01
※ 「しみずの農産物 スルガエレガント」 JAしみず
※ 「スルガエレガント」 地方特産食材図鑑 公益財団法人 食の安全・安心財団
※ 「登録番号 第6307853号 スルガエレガント」商標出願・登録情報 特許庁