にじゅうまる:来歴や特徴と産地や旬

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●「にじゅうまる」とは

 「にじゅうまる」は佐賀県が「西之香」と「太田ポンカン」の交配から育成したタンゴール類の中晩柑で、佐賀県のオリジナル品種という事で県内でのみ栽培出荷されています。

◆「にじゅうまる」の来歴

 「にじゅうまる」は佐賀県果樹試験場において1996(平成8)年に「西之香(「清見」×「トロビタオレンジ」)」に「太田ポンカン」を交配し、得られた実生から選抜育成されたタンゴールで、2015(平成27)年に「佐賀果試35号」として登録出願、2017(平成29)年に品種登録されました。交配から登録されるまで実に20年以上かけられています。

 「にじゅうまる」という名称はブランド商標で、『見た目、香り、甘さ、果汁、食感。そのすべてが「二重丸」。佐賀の期待を背負って生まれた上出来なみかん。その自信を力強く、まっすぐに表現しました。』と紹介され、2021年2月10日にこうひょうされました。

 また、2月10日を「にじゅうまるの日」として一般社団法人日本記念日協会に記念日登録もされています。

 それだけこの「にじゅうまる」は佐賀県の期待が込められたみかんということなんでしょう。

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◆「にじゅうまる」の特徴

 「にじゅうまる」の果実は平均果重340gほどの扁球形で、果皮表面は滑らかで色は橙、温州みかんを大きくしたような感じで「甘平」に似ています。

 手に持った感じはずっしりと重く、果皮が薄く、中の房が指先に感じられるほどパンパンに張りが感じられます。

 実際に赤道で半分に切ってみると皮の薄さが際立っているのがよく分かります。ジョウノウ膜も薄く、サジョウは外側と内側で少し粒の詰まり具合に差ができやすいようで、これも「甘平」と似ています。

 食味は『つぶつぶ感があり独特の食感を持 つ。食味は果汁多く極めて良好で種子は入らない。 』と紹介されています。

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 農林水産省の品種登録データベースには以下の通り記載されています。

『-----

 果実の形は扁球、果頂部の形は平坦、果頂部放射条溝の有無は無、果頂部の凹環の有無は無、果梗部の形はやや凹、果梗部放射条溝の多少は多、果心の充実度は粗、果心の大きさは極小、果実の重さはかなり重、

 果皮の色は橙、油胞の大きさは大小混合、油胞の密度は中、油胞の凹凸は平、果面の粗滑は滑、果皮の厚さは薄、果皮歩合は極小、剥皮の難易はやや易、

 じょうのう膜の硬さは軟、さじょうの形は中、さじょうの大きさは中、さじょう(果肉)の色は濃橙、果汁の多少は多、甘味は高、酸味は低、香気の多少は中、種子数は無、発芽期は中、開花期は中、成熟期は早、隔年結果性は中、浮皮果の発生は無、裂果の発生は中である。

 出願品種「佐賀果試35号」は、対照品種「はるみ」と比較して、葉身の大きさが大であること、種子数が無であること等で区別性が認められる。

 対照品種「不知火」と比較して、枝梢のとげの多少が無であること、葉身の大きさが大であること、果梗部の形がやや凹であること、果皮の厚さが薄であること、さじょう(果肉)の色が濃橙であること等で区別性が認められる。

-----』以上、抜粋。

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◆実際に食べてみた「にじゅうまる」の食味

 撮影試食した「にじゅうまる」は3月12日に大阪のボニートーンさんから仕入れたもので大きさは平均的な340g前後で、手に持った感じはとても大きく、中にたっぷり果汁が詰まっているのが指先に伝わってくるような弾力が感じられました。

 皮はジョウノウ膜と隙間なくぴったりと張り付いた感じですが、みかんと同じように手で普通にむくことができます。

 ジョウノウ膜も薄く、そのまま食べてもほとんど気にはなりません。サジョウの粒々はしっかりとしていてその粒々感が舌に心地よく、それでいてつぶれた時に果汁がたっぷりと広がります。

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 甘さと酸味のバランスもよく、特別甘味が強いという訳ではありませんがとても美味しいです。糖度を計ってみると13度ほどで、通常は種無しとなっていますが、今回仕入れたものは幾つかに数個の種が入っていました。

●「にじゅうまる」の主な産地と旬

◆主な産地と生産量

 「にじゅうまる」は佐賀県のオリジナル品種で、佐賀県内でのみ栽培されています。また、県が通常利用権を許諾しているJAから苗木の譲渡を受け、圃場の登録と一定の品質が生産できるようになるための始動を受けなければなりません。

 2021年度の生産者は10戸で栽培面積は約1.1ha、約32tほどの出荷だったようです。2022年の時点ではまだまだ出荷量が少なく、百貨店や専門店などにしか並ばず、とても高価なみかんとなっていますが、今後生産者が増え、出荷量も増えていくにつれ、一般のスーパーなどにも並ぶようになっていくでしょう。

◆「にじゅうまる」の収穫時期と旬

 「にじゅうまる」の収穫は12月下旬~1月にかけてですが、収穫してすぐは出荷されず、1~2ヵ月間貯蔵し、酸味を落ち着かせ甘味を引き立つ3月上旬ごろから出荷が始まります。

 「にじゅうまる」は貯蔵性に優れる品種とのことなので、今後生産量が増えてくると他の中晩柑より長い期間楽しむことができるかもしれません。

品種 2月 3月 4月 5月
にじゅうまる                        

< 出 典 >

 ※ 「カンキツ新品種‘佐賀果試35号’ 」佐賀県研究成果情報(平成 27 年度)

 ※ 「佐賀県の新ブランドかんきつ「にじゅうまる」情報」佐賀県ホームページ2022年3月8日

 ※ 登録番号26212 佐賀果試35号 農林水産省 品種登録データベース

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