●マサバの生態と特徴
◆マサバとは
分類:魚類 > 条鰭綱 > スズキ目 > サバ亜目 > サバ科 > Scombrinae(サバ)亜科 > Scombrini(サバ)族 > サバ属(BISMaLより)
学名:Scomber japonicus Houttuyn, 1782
和名:まさば/真鯖
英名:Chub mackerel、Pacific mackerel、Pacific chub mackerel
別名:単にサバ、ホンサバ、ヒラサバ
一般にサバと言えばマサバを指すほど代表的な魚である。マサバは日本の沿岸ならどこでも獲れるのではないかというくらい身近な魚で、古くから家庭でも親しまれてきた。また各地にマサバを使った郷土料理も数多くみられる。
市場などではゴマサバとの区別をするのに、マサバを「平サバ」や「本サバ」などと呼ぶことも多い。かつては大衆魚だったマサバも今では大きくて脂がのったものは高級魚並みとなり、各地にブランドサバと呼ばれるものもある。その流れもあり近年は養殖も各地で盛んに行われ、衛生や鮮度管理など徹底することでこちらもブランド化されている。各地のブランドサバに関しては後述する。
学名の種小名”japonicus”は 日本のという意味。
◆マサバの生態
マサバは沿岸の表層を群れを成して回遊しながら小魚やオキアミなどを食べ、寿命は6~7年。
日本近海には主に関東から東北沿岸にかけて黒潮の内側を回遊する太平洋群と、日本海の沿岸に沿って広く分布する対馬海流系群、それに東シナ海を回遊する東シナ海群の三つのグループがあり、それぞれ夏季に北上し秋から冬にかけて南下する季節回遊をするが、中にはほぼ一定の内湾に居つく瀬付きと呼ばれるものがいる。
産卵期は春で南部ほど早く3~6月で、3~4月が盛期となっている。
「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると日本近海での分布は北海道オホーツク海沿岸、北海道〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸・北海道から九州南岸の太平洋沿岸、瀬戸内海、屋久島、東シナ海とされ、海外では朝鮮半島全沿岸、中国東シナ海・台湾海峡沿岸、台湾、フィリピン諸島、ハワイ諸島、カリフォルニア沿岸にまで分布するとある。
◆マサバの特徴
マサバの体形は紡錘形で、やや側扁し、成長すると全長50cm程になる。体表は鱗で覆われているが、薄くはがれやすいため、漁獲される際にそのほとんどが剥がれ落ち、店頭に並んでいるときには鱗がほぼ無い状態になっている。
マサバの背には青い地色に少し緑がかった濃い色で虫食い模様と呼ばれる迷路のような唐草模様のような独特の模様が付いている。この斑模様が、より明確で太く、くの字状のタイセイヨウサバとの見分けるポイントとなる。
腹側には模様はなく、ほぼ無地の銀白色で、腹にゴマ状の斑点があるゴマサバとの見分けるポイントとなる。
マサバの表皮はとても薄く、傷がつきやすい面もあるが、それゆえ刺身やしめ鯖は皮つきのままでも美味しく食べられる。
身質は青魚らしく少し赤みがかった白身で、血合いがやや大きい。
第一背ビレ9~10棘、第二背ビレ11~12軟条、5個の小離鰭からなる。
●マサバの主な産地と旬
◆主な産地とブランドさば
マサバはほぼ全国で水揚げされています。中でも茨城県や長崎県などの水揚げ量は多いです。また、近年の漁獲量の減少を受け、量より質を高めようと各地でブランド化がすすめられています。その一例をあがておきます。
▼関さば
ブランドサバの先駆け的な存在です。豊予海峡で漁獲され、大分県大分市の佐賀関で水揚げされるサバで、餌が豊富で潮流が速く、サバの身質が締りがありとても美味しいことで知られています。また、一本釣りで獲られ、品質管理が徹底されていることから寄生虫やヒスタミンによる中毒が発生しにくいともいわれています。
▼岬さば
同じく豊予海峡で一本釣りによって漁獲され、対岸の愛媛県佐田岬港に水揚げされたもので、鮮度管理や活締めなど関サバに準じた体制で出荷されたもの。
▼金華さば
宮城県金華山沖で、脂がしっかりとのった秋に漁獲されたもので、石巻港に水揚げされます。
▼旬さば
五島海域から対馬海峡で10月から翌年2月に獲れた寒サバで、400g以上のもの。脂ののりがとてもよく、鮮度の良いものは刺身で食べられると言われています。
▼長崎ハーブ鯖
長崎で養殖されているマサバで、飼料にナツメグ、オレガノ、シナモン、ジンジャーの4種類の西洋ハーブ(香辛料)を混ぜて育てることで、サバ特有の生臭さが少なく、血合いの色が綺麗になるそうです。
◆マサバの漁獲時期と旬
マサバの産卵期は3月頃から始まり夏まで続きます。マサバの身に脂がのって美味しくなる旬の時期は秋から冬にかけてです。
旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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マサバ |
< 出 典 >
※「日本産魚類全種の学名」中坊徹次・平嶋義宏著 東海大出版部 p.260
※「日本産魚類検索全種の同定第三版」中坊徹次編 東海大出版会 p.1649
※「食材魚貝大百科④」平凡社 p.076-077
※「旬の食材- 秋の食材」 -講談社 p.34-37
※「令和元(2019) 年度マサバ太平洋系群の資源評価」中央水産研究所 国立研究開発法人水産研究・教育機構
※ Scomber japonicus Houttuyn, 1782 FishBase
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