アトランティックサーモン(英)salmon(仏)saumon
■アトランティックサーモンとは
●サケ目サケ科タイセイヨウサケ属
日本で獲れる鮭が太平洋に下って、また沿岸の河川に遡上するのに対して、大西洋に下り、ノルウェイをはじめとするヨーロッパ沿岸に遡上する鮭を指します。
とはいっても、流通しているものはほぼ養殖物と考えていいようです。天然のサーモンを商業ベースで漁獲する事はほとんどなく、また、養殖技術がすすみ、政府をあげて生育環境や飼料など徹底した管理がされ、必要な量を必要な時に出荷できる体制が構築されています。アニサキスなどの寄生虫の感染も心配しなくていい状態にあり、安心して生食出来る鮭として定評があります。
●主な産地
1980年代からノルウェイから輸入されるようになり、今でも大半はノルウェイ産です。近年、オーストラリアのタスマニア産が入ってくるようになり、肉厚で旨みも強く、品質が良いという評価から、フレンチやイタリアンなどのレストランでは好んで使う傾向にあります。
●養殖サーモンの安全性
2003年以降、コーネル大学やイリノイ大学、インディアナ大学、また、様々な研究機関による研究で、養殖されたサーモンには、有害物質が含まれており、食べるのは月に1回までとか、論文によっては、年に3回までにした方が良いなどという発表もあるようです。なんでも、発がんのリスクが高まるとか。
餌に問題があるようで、主に魚の脂などを配合されているようですが、この脂に有害物質がふくまれているとか。現在、そういう面での改善が研究されているようです。
●アトランティックサーモンの旬
上にも書いたように、必要な量を必要な時に出荷できる体制が構築されているので、旬は選びません。
旬のカレンダー | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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ノルウェイ・サーモン | ||||||||||||
タスマニア・サーモン |
■アトランティックサーモンの目利きと料理
●選ぶポイント
ウロコが綺麗についていて艶があるもの。身に張りがあるもの。
●調理のポイント
ほとんどが内臓を処理された状態のチルドで輸入されています。そのまま、三枚におろして刺身で食べられます。サーモンは身が柔らかいので、おろす時は身崩れしないよう強く掴んだり引っ張ったりしないようにしてください。
脂肪分が多く、フィレ状にしてラップに包み冷凍しても、解凍後も刺身でもそこそこ美味しく食べる事が出来ます。
●生で
回転寿司から高級寿司店まで、養殖のサーモンは使われています。背の部分でも脂が乗っていて柔らかく、ハラミはまさに大トロ並みの脂肪が含まれて、とろける食感が楽しめます。
スモークサーモンや、ディルやオリーブ油でサーモンマリネにしたものも美味しいです。
また、包丁でひき肉状に叩いて、タルタル状にしたものに塩、胡椒、ニンニク、ハーブなどを効かせてカナッペにしたり、皿にセルクルでまるく盛り付けて前菜としたりします。
●煮物
サイコロにカットして、クリームシチューなどに入れる事も多いですね。ただ、澄まし汁などに使うと、脂が多いので濁りやすくなります。そういう時は、アラもオーブンで焼いて余分な油を落としてから出汁をとり、身はタタキのように、表面だけさっと焼いて出汁に沈めるようにします。そうすると、澄んだ香ばしいサーモンの出汁とジューシーな身を十分に堪能できます。
●焼き物
塩焼きやポアレ、ムニエルなど幅広く使えます。クリームソースやバターとの相性はご存じのとおりです。日本の鮭のようにチャンチャン焼きなどにしても良いですし、フレンチではインゲンなどの野菜と共にパイに包み焼きあげるアンクルートなども人気があります。
●蒸す
サーモンは蒸しても美味しいです。脂が多いので、さっぱりとポン酢やレモンを効かせると美味しい。
すり身にして、生クリーム、卵白を混ぜ、型に詰めて蒸しあげるとテリーヌが出来ます。中にインゲンなどの野菜やエビなどを一緒に詰めて作ると見た目も綺麗で美味しい物が作れます。
●揚げ物
フライや唐揚げは美味しい。
■アトランティックサーモンの栄養価と効用
●ω-3脂肪酸が豊富
養殖サーモンは天然のサーモンと比べ、ω-3脂肪酸(オメガ-3しぼうさん)を多く含んでいます。ω-3脂肪酸とは、多価不飽和脂肪酸の中の、α-リノレン酸やエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などを指すグループの事で、生活習慣病予防に非常に効果がある成分として知られています。
●ビタミンB群がバランスよく沢山含まれています
●生のアトランティックサーモン 可食部100gあたりの成分
下の表は養殖されたアトランティックサーモン/大西洋サケ 生のもの100gあたりの栄養成分量です。
エネルギー | 水分 | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | 灰分 | 飽和脂肪酸 | 不飽和脂肪酸 | コレステロール | 食物繊維 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
237 kcal |
62.1 g |
20.1 g |
16.1 g |
0.1 g |
1.6 g |
3.16 g |
9.15 g |
72 ㎎ |
(0) g |
ビタミン | ||||||||||
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レチノール | D | E | B1 | B2 | ナイアシン | B6 | B12 | 葉酸 | パントテン酸 | C |
17 μg |
10 μg |
3.4 mg |
0.22 mg |
0.09 mg |
7.4 mg |
0.46 mg |
8.9 μg |
8 μg |
1.73 mg |
1 mg |
無機質 | |||||
---|---|---|---|---|---|
ナトリウム | カリウム | カルシウム | マグネシウム | リン | 鉄 |
39mg | 360mg | 8mg | 28mg | 250mg | 0.3mg |
七訂日本食品標準成分表より |