●キヌカツギバイの生態や特徴

◆キヌカツギバイとは

分類:軟体動物門 > 腹足綱 > 直腹足亜綱 > 新生腹足上目 > 吸腔目 > Hypsogastropoda > 新腹足下目 > Buccinoidea > エゾバイ科 > エゾバイ属(BISMaLより)

学名:Buccinum kinukatsugi Habe & Ito, 1968

和名:きぬかつぎばい/ 衣被貝

別名:ケバイ

 キヌカツギバイは北海道羅臼沖で撮れるエゾバイ科エゾバイ属の巻貝。「キヌカツギ」は小さな里芋を皮ごと茹で、指でつまんで皮を剥きながら食べる料理で、元は平安時代に女性が外出時に頭からかぶった「衣被(きぬかずき/きぬかづき)」に因む。本種の名がそんな里芋のキヌカツギに因んで命名されたのかどうかは分からないが、他に思いつく意味が見当たらない。

 食味は悪くないが産地以外ではほとんど目にすることがない貝で、漁獲量が少なくほとんど産地で消費されている。

◆キヌカツギバイの生態

 キヌカツギバイは北海道南岸からオホーツクにかけて分布し、水深78~430mの海底に生息する。

 詳しい生態は不明。

 「日本近海産貝類図鑑 第二版」によるとキヌカツギバイの分布は北海道南岸、北海道東北岸、オホーツク沿岸となっている。

◆キヌカツギバイの特徴

 キヌカツギバイは殻長9cmほどで、殻は薄いわりにやや硬い。螺塔は円錐形で螺層は膨らんでおり縫合線が明瞭。

 殻皮は厚く暗黄褐色で、規則正しく成長線に沿って毛が生え、殻全体が毛で覆われており、他のエゾバイ科の中でも顕著な特徴となっている。フジツガイ科のアヤボラ(毛ツブ)と毛の付き方がよく似ている。「

キヌカツギバイ Buccinum kinukatsugi

●キヌカツギバイの主な産地と旬

キヌカツギバイ Buccinum kinukatsugi

◆主な産地と漁獲量

 キヌカツギバイは主に北海道で獲れ、中でも羅臼に多くみられる。

 漁獲量はそう多くはないようで、ほとんど産地で消費されていると思われる。

◆キヌカツギバイの漁獲時期と旬

 旬は不明。撮影したキヌカツギバイは北海道羅臼の丸の野水産さんから9月上旬に届いたもの。

旬のカレンダー 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
キヌカツギバイ                        

●キヌカツギバイの目利きと調理のポイント

◆選ぶ時のポイント

 他のバイ類同様、生きているものが良い。殻蓋を触ってみてすぐに反応するものを選びたい。

キヌカツギバイ Buccinum kinukatsugi

 手に持って重く感じるものが身も大きい。

◆キヌカツギバイの調理のポイント

 基本的にはエッチュウバイやオオエッチュウバイなどと食べ方は同じ。唾液腺にテトラミンはほとんど含んでいないので取り除く必要もない。

殻から取り出したキヌカツギバイの身

 生食の他、煮る、焼く、蒸すなど色々な食べ方ができる。加熱調理しても硬くならない。クセや臭みは無いが、味は比較的あっさりとした感じ。

●キヌカツギバイの調理例やお勧めの食べ方

◆キヌカツギバイの刺身

 キヌカツギバイの身を取り出し生のまま刺身にしたもの。

キヌカツギバイの刺身

 食感はコリコリではなくシコシコといった感じで、甘味もあり普通に美味しく食べられる。

◆キヌカツギバイの煮付け

 キヌカツギバイを酒、醤油、みりんで煮付けたもの。

キヌカツギバイの煮付け

 身は硬くならず、食べやすい食感。味はまあまあといった印象。

◆その他の料理

 むき身を適当に切り分け、炒め物にしたり、エスカルゴのようにニンニク・パセリ・バターを絡めるようにソテーするのもお勧め。

< 出 典 >

 ※「北海道 羅臼産のエゾバイ科の種類」波部 忠重・伊藤 潔 著 J-STAGE

 ※「日本近海産貝類図鑑 第二版」奥谷喬司編著 東海大出版部 p.271 / p.937 

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