トゲカジカ/マカジカ

トゲカジカ/マカジカ Myoxocephalus polyacanthocephalus

●トゲカジカ/マカジカの生態や特徴

◆トゲカジカとは

分類:魚類 > 条鰭綱 > カサゴ目 > カジカ亜目 > カジカ科 > ギスカジカ属(BISMaLより)

学名:Myoxocephalus polyacanthocephalus (Pallas, 1814)

和名:とげかじか/棘鰍

英名:Great sculpin

別名:マカジカ(真鰍)、ナベコワシ(鍋壊し)、ヤリカジカ(槍鰍)、モカジカ(藻鰍)

 トゲカジカはカサゴ目カジカ科の海水魚で、ギスカジカなどと共にギスカジカ属に分類されている。東北から北海道にかけて多く漁獲され、産地では食用魚として重要な存在となっているが、産地以外では人気がなく関西などで見かける事はほとんどない。

 和名は、本種の頭部に見られる棘に因む。水揚げされるカジカ類の中ではもっとも大型で漁獲量も多いことから、北海道ではマカジカと呼ばれている。本種はカジカ類の中でも味が良く、特に肝(肝臓)はオレンジ色で海のフォアグラとも言われ、これを使った鍋料理が美味しさのあまり鍋をつつき過ぎて壊してしまうほどであることから「なべこわし」という異名まで付けられており、そこそこ高値で取引されている。

 学名の属名”Myoxocephalus”はギリシャ語で「ヤマネ(山鼠)」を意味する”Myõxos”と、頭を指す”kephalẽ”からなる。ヤマネのような頭をした魚という意味だろうか。そして種名はやはりギリシャ語で「多数の」を意味する”polys”と、棘を指す”akantha”、それに頭を意味する”kephalẽ”からなる。頭に沢山の棘がある魚という意味だろう。

◆トゲカジカの生態

 トゲカジカは沿岸の水深50~300mの大陸棚に生息し、大きな口で小魚や甲殻類を捕食する。産卵期は冬12月から2月にかけてで、その時期には沿岸の浅場にきて産卵する。

トゲカジカ/マカジカ

 「日本産魚類検索全種の同定第三版」によると、トゲカジカは沖合のやや深い水深775m以浅(通常200m以浅)の岩礁近くの砂底に多く生息し、日本近海での分布は北海道全沿岸、武蔵堆、青森県、岩手県、秋田県、新潟県佐渡となっている。また、海外においては朝鮮半島東岸中部から沿海州を経て間宮海峡、サハリン西岸・南東岸、千島列島、オホーツク海東部・北部、カムチャツカ半島東南岸、アリューシャン列島、チュクチ海南島〜ベーリング海、アラスカ湾~ピュージェットサウンドまで分布するとある。

◆トゲカジカの特徴

 トゲカジカは標準体長50cmほどになるカジカ類では最大種で、大きいものになると体長80cm10kg近くにもなる。体形は頭部が大きく、口がカエルのように大きく、後端は眼の後端を超え、横に幅も広い。

トゲカジカ/マカジカ

 エラから後部は肛門にかけて腹が大きく膨らむようになっており、空腹時は比較的スリムだが、満腹時や抱卵時はカエルの腹のようふくらみ、オタマジャクシのような体型になる。

 体側背面に単尖頭の微小な棘条鱗が見られるのも本種の特徴。ただ、棘は小さく、パッと見ただけでは分かりにくく、今回撮影した写真でも分かりにくい。クリックして画像を拡大してみると小さな棘が見て取れる。

トゲカジカ/マカジカ

  後頭部に皮弁はなく、眼の上部後端とその後方に2対の棘がある。ただし、棘が痕跡的になっている個体もいる。

トゲカジカ/マカジカ

 こちらは棘が痕跡状の個体。後方の棘は在るのかないのかも分かりにくい。

 そして、他の近縁種との見分ける際に大きな特徴の一つとして、尾ビレの模様がある。本種の後縁は上端から下端まで白っぽく帯状に縁どられている。

トゲカジカ/マカジカ

●トゲカジカの主な産地と旬

トゲカジカ/マカジカ

◆主な産地と漁獲量

 トゲカジカは東北から北海道で、底引き網や刺し網、延縄漁で漁獲されているが、主な産地は北海道で、ほぼ全域で漁獲されている。

◆トゲカジカの漁獲時期と旬

 トゲカジカは普段沖合の深みに生息しているが、産卵期の12月から2月頃の冬には浅場に集まってくる。漁獲量が多いのはこの時期で、旬は冬である。

 また、本種は「なべこわし」と呼ばれるほど鍋料理が美味しい魚でもあり、北海道では正に冬の食卓にぴったりの魚となっている。

旬のカレンダー 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
トゲカジカ                        

< 出 典 >

 ※「日本産魚類全種の学名」中坊徹次・平嶋義宏著 東海大出版部 p.209 

 ※「日本産魚類検索全種の同定第三版」中坊徹次編 東海大出版会 p.1181

 ※「食材魚貝大百科②」平凡社 p.118

 ※「旬の食材- 冬の食材」 -講談社 p.36

 ※「トゲカジカ[棘鰍]」 北海道お魚図鑑 北海道

 ※ Myoxocephalus polyacanthocephalus FishBase

 当サイトの画像一覧ページにある画像に関しまして、透かしロゴなしの元サイズ画像をご利用になりたい場合はダウンロードサイトからご購入頂けます。そちらに無いものでも各画像一覧からご希望の画像をクリックした際に表示される拡大画像のURLをお問い合わせフォームからお知らせ頂ければアップロードいたします。また、点数が多い場合は別途ご相談にも対応いたします。企業様の場合は請求書・振込払いも可能です。